事後確認
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(1)事後確認の目的
経済連携協定又は一般特恵関税制度を利用して特恵税率を適用するためには、輸入する貨物が相手国の原産品である必要があります。
「事後確認」とは、特恵税率を適用して輸入申告された貨物について、各経済連携協定及び関税関係法令の規定に基づき、輸入通関後にその貨物が相手国の原産品であるか否かについての確認を行うことをいいます。
輸入申告された貨物が原産品であることを事後的に確認することによって、特恵税率の便益の適正な確保を目的としています。
(2)事後確認の方法
輸入者に対する事後確認は、書面での情報提供要請又は輸入者等の事業所を個別に訪問して行う調査(事後調査)により実施され、輸入者から提出された資料等に基づき、輸入申告された貨物が相手国の原産品であるか否かを確認します。また、上記の方法により輸入申告された貨物が原産品であることを確認できない場合には、税関から輸出者又は生産者に対し、当該貨物が原産品であるか否かについての情報提供要請や現地への訪問による検証を行うことがあります。以上の結果、輸入申告された貨物が原産品であることを確認できない場合には、特恵税率の適用が否認されます。また、事案の内容に応じて、過少申告加算税等の対象にもなります。
なお、日EU協定及び日英協定において輸入者自己申告に基づき特恵税率を適用した場合、協定上、輸入国税関は輸出者又は生産者に対して当該貨物が原産品であるか否かについての情報提供要請や現地への訪問による検証を実施することができません。そのため、輸入者が貨物の原産性を証明できない場合、特恵税率の適用が否認されますのでご留意ください。
- 根拠法令
- リーフレット『特恵税率適用に関する「事後確認の実施について」』
- リーフレット「日EU協定・日英協定に基づく情報提供要請」
- 輸入者自己申告における留意事項について
- よくある質問@:原産品であることを明らかにする根拠資料について
- よくある質問A:輸出締約国内で調達した材料について
- 具体的な事例:原産品であることの説明について 〜Aさんの場合〜
- (参考)「EPA/GSPでの原産性に係る非違事例」
(3)日本から輸出された貨物
各協定上の原産品として輸出された貨物について、相手国税関当局が、各協定等の規定に基づき、その貨物が輸出締約国(日本)の原産品であるか否かについての確認を事後的に行う際に、日本の輸出者・生産者が情報の提供を求められることがあります。
日EU協定・日英協定
日本から輸出した貨物の原産性についてEU税関当局又は英国税関当局(輸入締約国税関当局)が事後確認をする場合、まずはEUや英国側の輸入者に対して確認が行われますが、それに加えて原産地に関する申告文を記載した輸出国(日本)の輸出者・生産者に対して情報提供要請を行う必要があると輸入締約国税関当局が判断した場合は、日本税関に対して協力要請が行われます。
当該要請を受けた日本税関は、当該輸出者・生産者に対し、書面又は訪問等の方法により当該貨物の原産性の判断に使用した資料の提出を求め、提供された情報等を基に、貨物が原産品であるか否かの意見を作成して輸入締約国税関当局に提供します。ただし、当該貨物が原産品か否かの最終的な判断は、当該情報提供要請を行った輸入締約国税関当局が行います。
なお、期限内に回答をしない場合や提供された情報が原産品であることを確認するために十分でない場合には、輸入締約国税関当局により、特恵税率の適用が否認されることがありますので、ご注意ください。
また、輸出者、生産者の自己申告の場合は、作成の日から4年間、申告書面の写し及び産品が原産品としての資格を得るための要件を満たすことを示す全ての記録を保管する必要がありますので、ご留意ください。