AEO(Authorized Economic Operator)制度
1.制度概要 2.各制度のメリット 3.事業者になるには 4.相互承認 5.改正状況 6.よくある質問 7.その他資料 8.問い合わせ先
1.制度概要
AEO制度とは
貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された事業者に対し、税関が承認・認定し、税関手続の緩和・簡素化策を提供する制度です。
2001年9月11日、米国で発生した同時多発テロ以降、国際物流においてはセキュリティの確保と円滑化の両立が不可欠となっています。このような流れを受け、WCO(世界税関機構)において、セキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された事業者を税関が認定し、税関手続の簡素化等のベネフィットを与える「AEO(Authorized Economic Operator)制度」の概念を含む国際的な枠組み(「基準の枠組み」)が2005年に採択されました。
AEO制度は、現在、世界70以上の国・地域において導入されており、我が国も2006年3月に輸出者を対象にAEO制度を導入し、その対象を輸入者(2007年4月)、倉庫業者(2007年10月)、通関業者・運送者(2008年4月)、製造者(2009年7月)に広げ、制度の拡大に努めています。
(注)AEO制度は官民パートナーシップに基づくプログラムであり、参加には事業者による申請が必要です。
2.各制度のメリット
- AEO事業者数:702者(2019/11/29現在)
( 輸出者:236者、 輸入者:97者、 保税承認者:142者、 通関業者:218者、 保税運送者:9者 ) - AEO事業者一覧
- 各税関別AEO事業者一覧
函館税関、東京税関、横浜税関、名古屋税関、大阪税関、神戸税関、門司税関、長崎税関、沖縄地区税関
特定輸出者制度
(AEO輸出者)
貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された輸出者については、税関による審査・検査が軽減され、輸出貨物の迅速かつ円滑な船積み(積込み)が可能となるほか、貨物を保税地域に搬入することなく、輸出申告を行い、自社の倉庫等で輸出の許可を受けることや輸出申告官署の自由化を利用した輸出申告が可能となります。
特例輸入者制度
(AEO輸入者)
貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された輸入者については、税関による審査・検査が軽減されるほか、貨物の引き取り後に納税申告を行うことや輸入申告官署の自由化を利用した輸入申告が可能となります。
特定保税承認者制度
(AEO保税承認者)
貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された保税蔵置場等の被許可者(特定保税承認者)については、税関長へ届け出ることにより保税蔵置場を設置すること等が可能となるほか、当該届出蔵置場に係る許可手数料も免除となります。
認定通関業者制度
(AEO通関業者)
貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された通関業者については、輸入者の委託を受けた輸入貨物について貨物の引取り後に納税申告を行うことが可能となるほか、輸出者の委託を受けて保税地域以外の場所にある貨物について輸出の許可を受けることや輸出入申告官署の自由化を利用した輸出入申告が可能となります。
特定保税運送者制度
(AEO保税運送者)
貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された認定通関業者のほか、特定保税承認者その他の国際運送貨物取扱業者については、個々の保税運送の承認が不要となるほか、 特定委託輸出申告に係る貨物について、輸出者の委託を受けて保税地域以外の場所から直接積込港等まで運送を行うことなどができます。
認定製造者制度
(AEO製造者)
貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された製造者が製造した貨物について、当該製造者以外の輸出者が行う輸出通関手続において、保税地域に当該貨物を搬入することなく輸出の許可を受けることが可能となります。
3.AEO事業者になるには
AEO事業者になるには、下図の承認(認定プロセス)の様に、法令遵守のための体制整備等を行って頂くこととなります。詳しい要件等についてはリンク先(AEO事業者になるには)をご覧ください。
【参考】AEO制度に関するよくある質問(Q1 AEO制度全般に関するもの)
4.相互承認
AEO制度の相互承認とは、AEO制度を有する二国間で、それぞれのAEO制度(AEO事業者)を相互に承認することにより、二国間物流におけるセキュリティレベルを向上させつつ、国内外一貫した一層の物流円滑化を目指すものです。
日本のAEO事業者に対するAEO相互承認の効果の例
- 自社が関与する輸出入貨物について日本税関のみならず、相手国における税関手続でもリスクに応じて書類審査・検査の負担が軽減される等の追加的効果が発生します。
- AEOとしての企業ステータスが国際的に認知されます。
日本と相手国における相互承認のメリット(イメージ)
AEO 相互承認への取組状況
世界では、70組を超えるAEO相互承認が成立し、そのうち11組が日本の関係するものとなっています。
なお、日本は、米国とEUの両方とAEO相互承認の署名・実施をしている唯一の国です。
それぞれのAEO相互承認による効果は、相手国のAEO制度の対象事業者の違いなどに応じて、異なってきます。
〔資料〕AEO制度相互承認に関する報道発表・リーフレット
報道発表
- 日ニュージーランド間AEO相互承認合意(平成20年5月)【財務省ホームページ】
- 日米間AEO相互承認合意(平成21年6月)【財務省ホームページ】
- 日EU間AEO相互承認合意(平成22年6月)【財務省ホームページ】
- 日カナダ間AEO相互承認合意(平成22年6月)【財務省ホームページ】
- 日韓AEO相互承認合意(平成23年5月)【財務省ホームページ】
- 日シンガポールAEO相互承認合意(平成23年6月)【財務省ホームページ】
- 日韓AEO相互承認実施(平成23年10月)【財務省ホームページ】
- 日米AEO相互承認双方向化(平成24年11月)【財務省ホームページ】
- 日マレーシアAEO相互承認合意(平成26年6月)【財務省ホームページ】
- 日香港AEO相互承認合意(平成28年8月)【財務省ホームページ】
- 日中AEO相互承認合意(平成30年10月)【財務省ホームページ】
- 日台AEO相互承認(民間取決め)合意(平成30年11月)【日本台湾交流協会ホームページ】
- 日豪AEO相互承認合意(令和元年6月)【財務省ホームページ】
掲載リーフレット
- 日EU間AEO相互承認実施(平成23年5月)[PDF:130KB]
- 日シンガポール間AEO相互承認実施(平成23年7月)[PDF:163KB]
- 日韓AEO相互承認実施(平成23年10月)[PDF:151KB]
- 日カナダ間AEO相互承認実施(平成24年11月)[PDF:143KB]
- 日米AEO相互承認双方向化実施(平成24年11月)[PDF:154KB]
- 日マレーシア間AEO相互承認実施(平成27年2月)[PDF:146KB]
- 日香港間AEO相互承認実施(平成28年10月)[PDF:118KB]
- 日中AEO相互承認実施(平成31年4月)[PDF:148KB]
- 日台AEO相互承認実施(令和元年5月)[PDF:255KB]
- 日豪AEO相互承認実施(令和元年9月)[PDF:211KB]
AEO相互承認の利用方法
AEO相互承認の実施は、各国税関の電算システムにおける相手国輸出入者の認識方法の違いなどの理由から、相互承認相手国ごとに方法が異なっております。
既に実施されているAEO相互承認の利用について、以下に具体的な方法を記載しておりますので、ご参照下さい。
なお、相互承認用コードなど不明な点につきましては、各税関AEO担当にご連絡下さい。
相互承認相手国 | 相互承認相手国での効果発生方法 (日本のAEO事業者) | 日本での効果発生方法 (相手国AEO事業者と取引する日本の事業者) |
---|---|---|
EU | AEO輸出入者が自身のAEO相互承認用コードを相互承認相手国の取引先に通知する。 ※相互承認用コードについては、AEOの承認を受けた税関のAEO部門にご確認ください。 | 取引相手(EUのAEO輸出入者)から12桁の相互承認用コードを聞き取り、日本の輸出入申告の際に海外仕出人・仕向人コード欄に入力する。 【対象事業者:輸出入者】 |
シンガポール | 取引相手(シンガポールのSTP-Plus輸出入者)が保有する17桁のコードを聞き取り、ルールに従って12桁に変換し、日本の輸出入申告の際に海外仕出人・仕向人コード欄に入力する。 【対象事業者:輸出入者】 掲載リーフレット:コード変換ルール(PDF) ![]() | |
韓国 | 取引相手(韓国のAEO輸出入者)が保有する12桁のコードを聞き取り、ルールに従って12桁に変換し、日本の輸出入申告の際に海外仕出人・仕向人コード欄に入力する。 【対象事業者:輸出入者】 掲載リーフレット:コード変換ルール(PDF) ![]() | |
マレーシア | 取引相手(マレーシアのAEO輸出入者)が保有する14桁のコードを聞き取り、ルールに従って12桁に変換し、日本の輸出入申告の際に海外仕出人・仕向人コード欄に入力する。 【対象事業者:輸出入者】 掲載リーフレット:コード変換ルール(PDF) ![]() | |
中国 | 取引相手(中国のAEO輸出入者)が保有する15桁のコードを聞き取り、ルールに従って12桁に変換し、日本の輸出入申告の際に海外仕出人・仕向人コード欄に入力する。 【対象事業者:輸出入者】 掲載リーフレット:コード変換ルール(PDF) ![]() | |
台湾 | 取引相手(台湾のAEO輸出入者)が保有する14桁のコードを聞き取り、ルールに従って12桁に変換し、日本の輸出入申告の際に海外仕出人・仕向人コード欄に入力する。 【対象事業者:輸出入者】 掲載リーフレット:コード変換ルール(PDF) ![]() | |
オーストラリア | 取引相手(オーストラリアのAEO輸出入者)が保有する11桁のコードを聞き取り、ルールに従って12桁に変換し、日本の輸出入申告の際に海外仕出人・仕向人コード欄に入力する。 【対象事業者:輸出入者】 掲載リーフレット:コード変換ルール(PDF) ![]() | |
アメリカ | 作業不要(取引相手に通知の必要はありません) | 取引相手(米国のC-TPAT輸出入者)から12桁の相互承認用コードを聞き取り、日本の輸出入申告の際に海外仕出人・仕向人コード欄に入力する。 【対象事業者:輸出入者】 |
カナダ | 取引相手(カナダのPIP輸出者)が保有する5桁のコード又は12桁の相互承認用コードを聞き取り、5桁のコードを通知された場合には、ルールに従って12桁に変換し、日本の輸入申告の際に海外仕出人コード欄に入力する。 【対象事業者:輸出者】 掲載リーフレット:コード変換ルール(PDF) ![]() | |
ニュージーランド | 取引相手(ニュージーランドのSES輸出者)から12桁の相互承認用コードを聞き取り、日本の輸入申告の際に海外仕出人コード欄に入力する。 【対象事業者:輸出者】 | |
香港 | 取引相手(香港のAEO輸出入者)から12桁の相互承認用コードを聞き取り、日本の輸出入申告の際に海外仕出人・仕向人コード欄に入力する。 【対象事業者:輸出入者】 |
5.改正状況
- 特定委託輸出申告制度[PDF:260KB]
- 特例委託輸入者における担保について[PDF:1,396KB]
- 国際運送事業者のためのAEO制度実務手引書(概要)[PDF:260KB]
- 特定輸出貨物の運送に係る消費税の免税について(リーフレット、平成22年4月)[PDF:251KB]
- AEO制度に係るシンボルマークについて(平成23年7月)
- 保全担保の提供要件緩和について(平成24年4月)
- 通い容器に係る免税手続の簡素化について(平成24年7月)[PDF:93KB]/Q&A[PDF:69KB]
- 輸出許可内容の変更手続について(平成25年4月)[PDF:224]
- 加工再輸入減税制度を利用して行う輸入申告の減税手続の簡素化について(平成25年7月)[PDF:152KB]/Q&A(平成25年9月一部修正)[PDF:20KB]
- 「認定通関業者に係る申告官署の選択制」の取扱い終了(予定)について[PDF:99KB]
- 輸出入申告官署の自由化について(平成29年10月)
- AEO輸入者及びAEO通関業者に対する経済連携協定(TPP11(CPTPP)及び日EU・EPA)に基づく加工又は修繕のため輸出された貨物に係る輸入申告時の簡素な免税手続について[PDF:210KB]
/ Q&A[PDF:192KB]
6.よくある質問
7.その他資料
広報資料
8.問い合わせ先
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