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原産地規則のいろは

(注意)理解を容易にするために、法令の用語と異なる用語を使用した部分、説明を簡略化した部分等がありますので、ご留意ください。

原産地規則とは

 「原産地規則」とは、貨物の原産地を決めるためのルールのことです。
 関税政策等には、その適用・不適用が物品の原産地に依存する場合が存在するため、目的に応じて原産地規則を定め、原産地を決定することが必要となります。
 一の国で生産が全て完結するような場合(例えば、ある国で生まれ育った牛をその国で加工した牛肉等)、その国を物品の原産地と決定するのは容易であると考えられます。一方、複数の国にわたって生産が行われるような物品の場合(ある国で栽培されたぶどうを使って醸造し、別の国でボトル詰めしたワイン等)には、生産に関わっている複数国のうちどの国が原産地になるのかについて、原産地規則を定めておく必要があります。また、特定の国の原産品について特恵税率を適用する場合には、迂回輸入を防止する観点から、原産地規則が必要になります。
 「原産地規則」には、どのような貨物が原産品と認められるのかの基準を規定した「原産地基準」と、輸入者が輸入申告時に貨物が原産品であることを申告する手続と、輸入国の税関が、輸入者や輸出国政府等に対して質問・検査を行う事後確認手続等を規定した「原産地手続」があります。

経済連携協定等の原産地規則

 経済連携協定等を結んでいる相手国から輸入する貨物であっても、全ての貨物が一般の関税率よりも低い関税率(EPA税率)の適用を受けられる訳ではなく、各協定に定める原産品であることが必要です。

1.原産地基準

 EPAの原産地基準は相手国との交渉によって決定されるため、協定によって異なる部分がありますが、基本的には、「完全生産品」、「原産材料のみから生産される産品」、「実質的変更基準を満たす産品」が原産品とされます。

  1. 完全生産品
     完全生産品とは、その「生産」が1か国で完結している産品をいいます。
  2. 原産材料のみから生産される産品
     締約国の原産材料のみから、当該締約国において完全に生産される産品のことをいいます。生産に使用された材料は全て原産材料であるため、外見上は1か国で生産が完結しているように見えますが、原産材料の生産に使用された材料にまで遡ると、第三国の材料(非原産材料)が使用されています。
  3. 実質的変更基準を満たす産品
     第三国の材料(非原産材料)を使用した場合であっても、最終産品が元の材料から大きく変化している場合には、原産品と認められます。この大きな変化を「実質的変更」、実質的変更があったと判断する具体的な基準を「実質的変更基準」と呼んでいます。実質的変更基準は、品目毎に異なるため、「品目別規則」としてまとめられ、各協定の附属書等になっています。
     我が国の多くの協定においては、実質的変更基準は、品目毎に「関税分類変更基準」、「付加価値基準」、「加工工程基準」いずれかの考え方、あるいは、その組合せを採用しています。
    • 関税分類変更基準
       非原産品である材料の関税分類番号と、その材料から生産される産品の関税分類番号が一定以上異なる場合に、実質的変更が行われたとする考え方です。
    • 付加価値基準
       締約国での生産により価値が付加され、この付加された価値が基準値以上の場合に実質的変更が行われたとする考え方です。
    • 加工工程基準
       締約国で、特定の加工工程(例えば、化学反応、蒸留、精製等)が施されれば実質的変更が行われたとする考え方です。

2.原産地手続

  1. 証明制度
     輸入する貨物が協定に定める原産品であることを証明する方法として、我が国では、自己申告制度、第三者証明制度、認定輸出者自己証明制度があり、どの証明方法が利用できるかは、協定毎に異なります。
    • 自己申告制度
       貨物の輸入者、輸出者又は生産者自らが、当該貨物が協定上の原産品である旨を明記した書面(以下、「原産品申告書)といいます。」を作成し、輸入者が輸入国税関にその原産品申告書を提出することにより、原産品であることを申告する制度です。日豪協定、TPP11(CPTPP)及び日EU協定において採用されおり、日米貿易協定においては、輸入者自己申告制度のみが採用されています。
       なお、自己申告制度の下における日本での輸入申告時には原産品申告書のほか、原産品であることを明らかにする書類の提出も原則として必要となります。また、相手国においても、必要に応じ原産品申告書以外の書類の提出を求められることがあります。
    • 第三者証明制度
       輸出者や生産者が輸出国発給当局(あるいはその指定機関)に申請し、原産地証明書を取得、それを輸入者に送付し、輸入者が輸入国税関にその原産地証明書を提出することで、原産品であることを証明する制度です。TPP11(CPTPP)、日EU協定及び日米貿易協定以外の協定で採用されています。
    • 認定輸出者自己証明制度
       輸出国の権限のある当局から認定を受けた輸出者自らが、貨物が協定上の原産品である旨を明記した申告文(認定番号を含む)をインボイス等の商業上の文書に作成し、輸入者が輸入国税関に提出することで、原産品であることを証明する制度です。日メキシコ協定、日スイス協定、日ペルー協定において採用されています。
  2. 積送基準を満たすことを示す書類の提出
     積送基準とは、原産品が輸入国に到着するまでに、原産品としての資格を失っていないかどうかを判断する基準のことをいいます。特恵税率の適用を受けるためには、第三国を経由することなく原産国から輸入国に直送されるか、第三国を経由する場合であっても、第三国において積卸し、蔵置等の許容された作業のみが行われたこと等が条件となります。第三国を経由して日本に輸入する場合で、特恵税率の適用を受けようとする場合には、輸入申告に際して、積送基準を満たすことを示す書類(通し船荷証券、経由国の税関等が発給した証明書、その他税関長が適当と認める書類)の提出が必要となります。
  3. 事後確認
     「事後確認」とは、特恵税率にて輸入申告された貨物について、各協定や関税関係法令の規定に基づき、輸入通関後にその貨物が原産品であるか否かについて確認を行うことをいいます。確認の結果、輸入申告された貨物が原産品であることが確認できない場合には、特恵税率の適用が否認されます。
    事後確認

3.参考

輸入貨物へのEPA利用のステップ

一般特恵関税制度の原産地規則

 一般特恵関税制度は、開発途上国(特恵受益国)を原産地とする貨物に対して、一般の関税率よりも低い関税率(特恵税率)を適用する制度です。

1.原産地基準

 一般特恵関税制度の原産地基準上の原産品には、「完全生産品」及び「実質的な変更を加える加工又は製造により生産された産品」があります。

完全生産品

 貨物が一つの特恵受益国において完全に生産された物品であった場合には、その特恵受益国の原産品と認められます。基本的にはEPAの完全生産品と同様ですが、具体的には、関税暫定措置法施行規則第8条の各号に掲げられています。

実質的変更基準を満たす産品

 貨物が、他の国の物品をその原料又は材料の全部又は一部とし、これに実質的な変更を加える加工・製造を行って生産される物品であった場合には、完全生産品と同様に当該特恵受益国の原産品と認められます。
 「実質的な変更を加える加工又は製造」とは、原則として、特恵税率の適用を受けようとする物品が該当する関税分類番号の項(HS4桁)と当該物品の生産に使用されて非原産材料の該当する項(HS4桁)が異なる加工・製造であることが、関税暫定措置法施行規則第9条に規定されています。ただし、関税暫定措置法施行規則別表(第9条関係)に掲げられた物品については、同表に規定する原産品としての資格を与えるための条件を満たしている限り、実質的な変更を加える加工又は製造を行って生産された物品となります。
 なお、上記の基準を満たした場合でも、輸送や保存のための操作、単なる切断、選別、包装、改装、仕分け、ラベルの張り付け等に該当する場合には、実質的変更基準を満たす産品とは認められません。

2.原産地手続

  1. 証明制度
     輸出者や生産者が輸出国発給当局(あるいはその指定機関)に申請し、原産地証明書を取得、それを輸入者に送付し、輸入者が輸入国税関にその原産地証明書を提出することで、原産品であることを証明する第三者証明制度が採用されています。
  2. 積送基準を満たすことを示す書類の提出
     積送基準とは、原産品が輸入国に到着するまでに、原産品としての資格を失っていないかどうかを判断する基準のことをいいます。特恵税率の適用を受けるためには、第三国を経由することなく原産国から輸入国に直送されるか、第三国を経由する場合であっても、第三国において積卸し、蔵置等の許容された作業のみが行われたこと等が条件となります。第三国を経由して日本に輸入する場合で、特恵税率の適用を受けようとする場合には、輸入申告に際して、積送基準を満たすことを示す書類(通し船荷証券、経由国の税関等が発給した証明書、その他税関長が適当と認める書類)の提出が必要となります。
  3. 事後確認
     「事後確認」とは、特恵税率にて輸入申告された貨物について、各協定や関税関係法令の規定に基づき、輸入通関後にその貨物が原産品であるか否かについて確認を行うことをいいます。確認の結果、輸入申告された貨物が原産品であることが確認できない場合には、特恵税率の適用が否認されます。
    事後確認
    国内法令等

非特恵原産地規則

 特定の国等に特恵待遇を与えるのではなく、WTO協定税率の適用や貿易統計の作成等のために用いられる非特恵原産地規則については、WTO原産地規則協定に基づき、各国がそれぞれ策定しています。

1.原産地基準

 我が国においては、直接には、関税法施行令第4条の2第4項に、輸入申告において申告する貨物の原産地は、次に掲げる物品の区分に応じて規定する国又は地域と規定されています。

  • 一の国又は地域において完全に生産された物品として財務省令で定める物品
  • 一の国又は地域において、完全に生産された物品以外の物品をその原料又は材料の全部又は一部として、これに実質的な変更を加えるものとして財務省令で定める加工又は製造により生産された物品

完全生産品

 完全に生産された物品は、関税法施行規則第1条の6の各号に掲げられています。基本的には、EPAやGSPと同様です。

実質的な変更を加える加工又は製造

 実質的な変更を加える加工又は製造は、物品の該当する関税分類番号の項(HS4桁)が、全ての原料又は材料の該当する項(HS4桁)と異なることとなる加工又は製造とされています。
 ただし、輸送や保存のための操作、単なる切断、選別、包装、改装、仕分け、ラベルの張り付け等は除かれます。

2.原産地手続

 非特恵原産地規則の適用に際しては、インボイス等の通関関係書類により原産国の確認は行われますが、通常、原産地証明書の提出等の特別な手続は不要です。