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権利の概要及び侵害行為

権利

権利の内容

保護期間

侵害となる行為

特許権


 発明を対象としています。
 発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいいます(特許法第2条第1項)


 原則として、登録日から最長出願日の20年後の日までです(特許法第66条第1項、第67条第1項)。


 特許権者は、原則として、業として特許発明を独占して実施する権利を持ち、他人が特許権者の許諾なしに当該特許発明を業として実施する行為は特許権の侵害となります(特許法第68条本文)。
 ここでいう実施とは、特許が物の発明の場合は、その物を生産、使用、譲渡、輸出、輸入する等の行為、特許が方法の発明の場合は、その方法を使用する行為、特許が物を生産する方法の発明の場合は、その方法を使用、その方法により生産した物を使用、譲渡、輸出、輸入する等の行為を指します(特許法第2条第3項)。
 また、特許が物の発明の場合で、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡、輸入等をする行為、その物を業としての譲渡等、輸出のために所持する行為等は特許権の侵害とみなされます(特許法第101条各号)。

実用新案権


 物品の形状、構造又は組合せに係る考案を対象としています。
 考案とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいいます(実用新案法第2条第1項)。




 登録日から最長出願日の10年後の日までです(実用新案法第14条第1項、第15条)。


 実用新案権者は、原則として、業として登録実用新案を独占して実施する権利を持ち、他人が実用新案権者の許諾なしに、当該登録実用新案を業として実施する行為は実用新案権の侵害となります(実用新案法第16条本文)。
 ここでいう実施とは、考案に係る物品の製造、使用、譲渡、輸出、輸入する等の行為を指します(実用新案法第2条第3項)。
 また、業として、登録実用新案に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡、輸入等をする行為、登録実用新案に係る物品を業としての譲渡、貸渡し、輸出のために所持する行為等は実用新案権の侵害とみなされます(実用新案法第28条各号)。

意匠権


 意匠を対象としています。
 意匠とは、物品(物品の部分を含む。)の形状、模様、色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの、機器が機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。)であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいいます(意匠法第2条第1項)。


 登録日から最長出願日の25年後の日までです(意匠法第20条第1項、第21条第1項)。


 意匠権者は、原則として、業として登録意匠及びこれに類似する意匠を独占して実施する権利を持ち、他人が意匠権者の許諾なしに、当該登録意匠又はこれに類似する意匠を業として実施する行為は意匠権の侵害となります(意匠法第23条本文)。
 ここでいう実施とは、意匠に係る物品等の製造、使用、譲渡、輸出、輸入する等の行為を指します(意匠法第2条第2項)。
 また、登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物品等の製造、譲渡、輸入等をする行為、登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を業としての譲渡、貸渡し、輸出のために所持する行為等は意匠権の侵害とみなされます(意匠法第38条各号)。

商標権


 商標を対象としています。
 商標とは、文字、図形、記号、立体的形状、色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるものであって、1.業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用するもの
2.業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用するもの
をいいます(商標法第2条第1項)。


 登録日から10年間で、申請により更新が可能です(商標法第19条第1項、第2項)。

 
 商標権者は、原則として、指定商品・指定役務について、登録商標を独占して使用する権利を持ち、他人が商標権者の許諾なしに、当該登録商標を指定商品・指定役務について使用する行為は商標権の侵害となります(商標法第25条本文)。
 また、登録商標に類似する商標を指定商品・指定役務に使用する行為、登録商標又は類似する商標を指定商品又は指定役務に類似する商品・役務に使用する行為、指定商品又は類似する商品であって、その商品又は包装に登録商標又は類似する商標を付したものを譲渡、引渡し、輸出のために所持する行為、登録商標又は類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引き渡し、輸入する行為等は商標権の侵害とみなされます(商標法第37条各号)。

著作権

 
 著作物を対象としています。
 著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいいます(著作権法第2条第1項第1号)。
 
 創作から著作者の死後70年間(無名・変名の著作物、団体名義の著作物、映画の著作物は、原則として公表後70年間)です(著作権法第51条〜第54条)。
 
 著作権者は、原則として、その著作物を複製、上演・演奏、上映、公衆送信、公の伝達、口述、展示、頒布、譲渡、貸与、二次的著作物の創作・利用を独占して行う権利を持ち、他人が著作権者の許諾なしに、これらの行為を行うと著作権の侵害となります(著作権法第21条〜第28条)。
 また、国内で頒布する目的で、国内で作成したならば著作権侵害となる物を輸入する行為、著作権を侵害する行為により作成された物を、情を知って、業として輸出し、業としての輸出の目的をもって所持する行為等は、著作権の侵害とみなされます(著作権法第113条)

著作隣接権

 
 実演、レコード、放送、有線放送を対象としています。
 著作隣接権は、実演家(楽団、歌手、俳優)、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者が著作物などを公衆に伝達する媒体を対象としています(著作権法第89条)。


 原則として、実演を行ったときから70年間、音を最初に固定したときからレコード発行後70年間、放送又は有線放送を行ったときから50年間です(著作権法第101条)。


 著作隣接権者は、原則として、その著作物を複製、送信可能化、譲渡、貸与等を独占して行う権利を持ち、他人が著作隣接権者の許諾なしに、これらの行為を行うと著作隣接権の侵害となります(著作権法第96条〜第97条の3など)。
 また、国内で商業用レコードを自ら発行又は他の者に発行させている著作隣接権者が、当該レコードと同一のレコードを国外において自ら発行又は他の者に発行させている場合において、情を知って、当該国外で発行されたレコードを国内で頒布する目的で輸入する行為、当該国外で発行されたレコードを国内で頒布し又は国内で頒布する目的をもって所持する行為等は、著作隣接権の侵害とみなされます(著作権法第113条第10項など)

育成者権


 植物の品種を対象としています。
 品種とは、重要な形質に係る特性の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別することができ、かつ、その特性の全部を保持しつつ繁殖させることができる一の植物体の集合をいいます(種苗法第2条第2項)。


 品種登録日から25年間(果樹等の永年性植物は30年間)です(種苗法第19条)。


 育成者権者は、原則として、登録品種及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を独占して業として利用する権利を持ち、他人が育成者権者の許諾なしに、業として当該品種を利用する行為は育成者権の侵害となります(種苗法第20条第1項本文)。
 ここでいう利用とは、その品種の種苗、その品種の種苗を用いることにより得られる収穫物、その品種の加工品を、生産、譲渡、輸出、輸入する等の行為を指します(種苗法第2条第5項)。

回路配置
利用権


 半導体集積回路の回路配置を対象としています。
 回路配置とは、半導体集積回路における回路素子及びこれらを接続する導線の配置をいいます(半導体集積回路の回路配置に関する法律第2条第1項、第2項)。


 登録日から10年間です(半導体集積回路の回路配置に関する法律第10条)。


 回路配置利用権者は、原則として、業として登録回路配置を独占して利用する権利を持ち、他人が回路配置利用権者の許諾なしに、業として当該回路配置を利用する行為は回路配置利用権の侵害となります(半導体集積回路の回路配置に関する法律第11条本文)。
 ここでいう利用とは、その回路配置を用いて半導体集積回路を製造する行為、その回路配置を用いて製造した半導体集積回路を譲渡、輸入する等の行為を指します(半導体集積回路の回路配置に関する法律第2条第2項)。

不正競争防止法
により保護される
営業上の利益


 不正競争を対象としています。
 不正競争は、不正競争防止法第2条第1項各号に限定列挙されている行為(不正競争行為)です。


 商品形態模倣行為は、国内で最初に販売された日から3年間です(不正競争防止法第19条第1項第5号)。


 不正競争によって営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれがある者は、侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、侵害の停止・予防を請求することができます。また、侵害行為を組成した物の廃棄、侵害行為に供した設備の除却など侵害の停止・予防に必要な行為を請求することができます(不正競争防止法第3条)。
 税関での取締りの対象は、不正競争行為のうち、周知表示混同惹起行為(第1号)、著名表示冒用行為(第2号)、商品形態模倣行為(第3号)、営業秘密侵害品輸出入行為(第10号)及び技術的制限手段無効化装置等譲渡行為(第17号、第18号)を組成する物品に限られます。  

 

(参考)

専門委員制度