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見本検査

□ 見本検査制度とは

 

 認定手続が執られた貨物について、一定条件の下、権利者に見本の分解検査等を認める制度です。

  《関税法第69条の16》

 

□ 見本検査の一般的な流れ

(見本検査の承認申請)
 輸入差止申立てが受理された権利者は、認定手続が執られている間に限り、税関長に対し、見本検査を承認するよう申請することができます。

 税関長は、見本検査の承認申請があった場合、その旨を当該貨物の輸入者に通知します。

(輸入者から意見聴取等)
 

 輸入者は、見本検査の承認申請があった旨の通知から3日以内(行政機関の休日は参入しない)に限り、当該申請について意見を述べることができます。
 税関は、その際、見本検査後の見本返還の要否を確認します。

(見本検査に係る供託)
 見本検査に係る貨物が知的財産侵害物品と認定されなかった場合に輸入者が被るおそれのある損害の賠償を担保するため、税関長は見本検査の申請者(権利者)に対して、原則として供託命令を行います。

 供託額は次に揚げる額を合算したものとなります。ただし、供託額が千円程度以下と見込まれる場合は供託を省略することができます。

見本の課税価格、関税、内国消費税(地方消費税を含む)に相当する額

当該見本が輸入できないことにより輸入者が被る逸失利益の額(見本の課税価格の20%程度を目安)

以上のほか、当該見本が輸入できないことにより輸入者が被るおそれのある損害の額


 供託命令は供託命令書を交付することにより通知します。供託の期限は、供託命令書の日付の日の翌日から起算して3日以内となります。

(見本検査の承認要件)
 次の要件を満たす場合は、見本検査が承認されます。

証拠・意見提出ために見本検査の必要があると認められること

輸入者の利益が不当に侵害されるおそれがないと認められること

見本が不当な目的に用いられるおそれがないと認められること

見本の運搬、保管、検査その他見本の取扱いを適正に行う能力・資力を有すると認められること


 承認要件が満たされ、かつ、上記供託が行われた場合は、見本検査が承認され、その旨、権利者と輸入者に通知されます。

(見本検査の立会申請等)
 輸入者は、税関長に申請し、見本検査に立ち会うことができます。権利者にはその旨が通知されます。

(見本検査と秘密保持義務)
 権利者は、見本の運搬、保管、検査費用その他必要な費用を負担しなければなりません。
 また、見本検査その他見本の取扱いにおいて知り得た事項を、みだりに他人に知らせ、又は不当な目的で使用してはいけません。(関税法第69条の12第8項)

(見本の返還等)
 輸入者から、見本返還不要同意書の提出がある場合は、税関が侵害の該否の認定をするまでの間、見本は権利者が保管します。この場合において、侵害物品と認定されたときは、当該見本を速やかに税関へ返還しなければなりません。非侵害と認定されたとき、又は、認定前に通関解放が行われたときは、当該貨物の輸入許可後に権利者が処分することになります。

 見本返還不要同意書の提出がない場合は、権利者による検査の終了後速やかに当該見本を税関へ返還しなければなりません。

 

 

(参考)

専門委員制度