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金密輸の取締強化について

1. 背景

 金地金の密輸入(以下、「金密輸」という。)は、金を隠匿して日本国内に持ち込むことによって内国消費税の納税を回避し、その金を国内において消費税込みの価格で金買取事業者に売却することで、消費税額相当分を利益として獲得することを目的として行われています。平成26年4月に消費税率が8%へと引き上げられると、金密輸は急増し、平成29年には1,347件、押収量にして約6.3トンもの金密輸の摘発がありました。急増する金密輸への緊急対策として、財務省関税局は平成29年11月に「ストップ金密輸」緊急対策を策定し、取締りの強化や金密輸の厳罰化等、総合的な金密輸対策に取り組みました。その結果、翌年には金密輸は急減し、その後もコロナ禍により我が国への入国者数が激減したこともあって、金密輸の摘発は極めて低位で推移してきました。

<金密輸による消費税脱税スキーム>
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 しかし、足元では、訪日外国人旅行者数が急速に回復していることに加え、金価格の上昇により内国消費税の脱税から得られる不正な利益も上昇しています。このため、金密輸の摘発件数・押収量は再び急激な増加に転じ、令和6年1−6月の摘発件数は前年同期比81%増、押収量は同約8.1倍となっています。

<摘発件数と押収量の推移>
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 加えて、近年では、旅客が加工した金を身辺等に隠匿する密輸事例や、海上・航空貨物に巧妙に隠匿する密輸事例など、これまでにない密輸の手口が増加しています。金密輸を税関が摘発している反面、相当程度の金の密輸がなされ、それによって得られた利益が犯罪組織などに流れているおそれがあります。訪日外国人旅行者数と輸入貨物の更なる増加が見込まれる中、金密輸への対策は喫緊の課題です。

<密輸された金の摘発事例>

事例1【航空機旅客】
身辺に隠匿された
粉末状の金を摘発

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事例2【航空貨物】
ICチップに偽装隠匿された
金を摘発

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事例3【海上貨物】
コンプレッサーに隠匿された
金を摘発

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2. 対応

 上記のような金密輸を巡る状況に鑑み、財務省関税局・税関は、11月28日、臨時税関長会議を開催し、関税局長から各税関長に対して、税関における金密輸の水際取締りをより一層強化するよう指示しました。
 加えて、関税局・税関は、隠匿された金の摘発に効果が期待される検査機器を整備すること等により、旅客や輸入貨物に対してより一層深度ある検査等を実施できるよう検討を進めるほか、金密輸に対して経済的不利益を与え、抑止効果を高める観点から、犯則調査を通じた更なる厳正な処分を実施します。

 <整備する検査機器のイメージ>

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3. おわりに

 金密輸に係る関税法上の罰則では、5年以下の懲役若しくは最高で金の価格の5倍の罰金等が科せられ、またはその両方が科せられます。関税局・税関として、金密輸には厳格に対応します。
 国民の皆様には、金密輸の深刻な現状を改めて認識いただいた上で、税関検査の強化等の対策の必要性をご理解いただくとともに、密輸情報の提供など、税関行政へのより一層のご協力をお願いします。

(参考リンク)

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