関税評価用語等解説
1.関税評価全般
(問1-1)関税評価とは、何ですか。
(答) | 関税評価とは、価格を課税標準として関税が課される輸入貨物について、その課税標準となる価格(これを「課税価格」といいます。)を、法令の規定に基づいて計算・決定することをいいます。 |
(問1-2)輸入貨物の課税価格の計算は、どのような法令に基づいて行うのですか。
(答) | 輸入貨物の課税価格の計算・決定方法は、関税定率法(第4条から第4条の9)、関税定率法施行令(第1条の4から第1条の13)及び関税定率法施行規則(第1条)に規定されています。 また、これらの法令の規定の解釈及び取扱いは、関税定率法基本通達(4〜4の4−1から4の8−1)において示されています。更に、関税評価に関する具体的な取扱いを取り纏めた事例集も、個別通達(「関税評価に関する取扱事例について」)として公開されていますので、参考としてください。 なお、上記の法令の規定は、国際的な基準であるWTO(世界貿易機関)関税評価協定(正式名称は、「1994年の関税及び貿易に関する一般協定第7条の実施に関する協定」)に則したものとなっており、上記の通達の規定は、WTO関税評価協定の解釈及び適用の統一を技術的に確保するために、WCO(世界税関機構)関税評価技術委員会において行われている国際的な検討の結果として合意された指針(いわゆる「採択文書」)を反映したものとなっています。 |
(問1-3)輸入貨物の課税価格の計算は、どのような方法により行うのですか。
(答) | 輸入貨物の課税価格の計算は、原則として、「輸入貨物の取引価格による方法」(関税定率法第4条第1項)により行うこととなります。 この原則的な方法により課税価格を計算することができない場合には、次の方法を順次適用して計算することとなります。
また、次の輸入貨物については、特別な取扱いが定められていますので、留意してください。
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(問1-4)従量税が課される輸入貨物についても、従価税が課される輸入貨物と同様に価格を計算する必要があるのですか。
(答) | 従量税が課される輸入貨物についても、従価税が課される輸入貨物と同様に価格を計算する必要があります。 (参考)
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(問1-5)関税が無税である輸入貨物についても、従価税が課される輸入貨物と同様に価格を計算する必要があるのですか。
(答) | 関税が無税である輸入貨物についても、従価税が課される輸入貨物と同様に価格を計算する必要があります。 (参考)
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(問1-6)関税も消費税も免除される輸入貨物についても、従価税が課される輸入貨物と同様に価格を計算する必要があるのですか。
(答) | 関税と消費税が免除される輸入貨物についても、従価税が課される輸入貨物と同様に価格を計算する必要があります。 (参考)
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2.輸入貨物の取引価格による方法(原則的な方法)
(1)輸入取引
(問2-1)「輸入貨物の取引価格による方法」(原則的な方法)とは、どのような方法ですか。
(答) | 「輸入貨物の取引価格による方法」とは、輸入貨物の「取引価格」を、その輸入貨物の課税価格とする方法です。輸入貨物の「取引価格」とは、その輸入貨物に係る輸入取引がされた場合において、その輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、その輸入貨物について現実に支払われた又は支払われるべき価格(これを「現実支払価格」といいます。)に、運賃等所定の費用等(これを「加算要素」といいます。)の額を加えた価格をいいます。 「輸入貨物の取引価格による方法」は、原則的な課税価格の計算方法であり、実際にほとんどの輸入貨物の課税価格が、この方法により計算されています。 |
(問2-2)「輸入取引」とは、どのような取引をいうのですか。
(答) | 「輸入取引」とは、本邦に拠点(住所、居所、本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるもの。)を有する者(個人であるか法人であるかを問いません。)が買手として貨物を本邦に到着させることを目的として売手との間で行った売買であって、現実にその貨物が本邦に到着することとなったものをいい、通常、現実に貨物を輸入することとなる売買がこれに該当します。したがって、贈与や賃貸借といった売買でない取引は、「輸入取引」とはなりません。 なお、ある売買が貨物を本邦に到着させることを目的として行われていたとしても、現実にその貨物がその売買により本邦に到着していない場合には、その売買は「輸入取引」とは認められません。 |
(問2-3)「輸入貨物の取引価格による方法」(原則的な方法)により課税価格の計算をすることができないのは、どのような場合ですか。
(答) | 原則的な方法である「輸入貨物の取引価格による方法」は、輸入貨物の「取引価格」を課税価格とするものですので、輸入取引によらずに輸入される貨物については適用できません。 また、輸入貨物が輸入取引により輸入される場合であっても、その輸入取引に関して特別な事情があるとき(問3−1参照)やその輸入貨物の課税価格への疑義が解明されないときは、この方法により課税価格を計算することはできません。 |
(問2-4)輸入取引によらない輸入貨物とは、どのような貨物ですか。
(答) | 例えば、次のような貨物が、輸入取引によらない輸入貨物に該当します。
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(問2-5)逆委託加工貿易取引により輸入される貨物は、輸入取引によらない輸入貨物ではないのですか。
(答) | 逆委託加工貿易取引により輸入される貨物は、形式的には売買により輸入される貨物ではありませんが、可能な限り取引価格を用いるというWTO関税評価協定の趣旨を踏まえまして、この取引を輸入取引と、この取引の委託者を買手と、受託者を売手と、その加工等の対価として現実に支払われた又は支払われるべき額を現実支払価格とそれぞれみなし、輸入取引により輸入される貨物と同様に課税価格を計算します。 |
(問2-6)輸入取引における「買手」、「売手」とは、それぞれ輸入貨物の「輸入者」、「輸出者」をいうのですか。
(答) | 輸入取引における「買手」とは、本邦に拠点(住所、居所、本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるもの。)を有する者(個人であるか法人であるかを問いません。)であって、その拠点において実質的に自己の計算と危険負担の下に売手との間で輸入貨物に係る輸入取引をする者をいい、輸入取引における「売手」とは、実質的に自己の計算と危険負担の下に買手との間で輸入貨物に係る輸入取引をする者をいいます。 具体的には、自ら輸入取引における輸入貨物の品質、数量、価格等を取り決め、瑕疵、数量不足、事故、不良債権等の危険を負担する者が、その輸入取引における「買手」、「売手」となります。 したがって、輸入貨物の「輸入者」、「輸出者」が、必ずしも輸入取引における「買手」、「売手」となるものではありません。 |
(2)現実支払価格
(問2-7)「現実支払価格」とは、どのような価格をいうのですか。
(答) | 「現実支払価格」とは、買手が売手に対し又は売手のために、輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために現実に支払った又は支払うべき総額をいい、売手の債務の弁済等の間接的な支払の額を含みます。したがって、輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために、買手が売手の負っている債務を弁済するために第三者に対して、現実に支払った又は支払うべき額は、すべて「現実支払価格」に含まれます。ただし、輸入貨物の輸入港到着後の運送に要する運賃等、「現実支払価格」に含まないこととされている費用等もあります(問2−10参照)。なお、支払は、必ずしも金銭の移転によるものに限られません。 「現実支払価格」は、輸入貨物の仕入書が輸入取引に係る価格等の条件を正当に表示するものである場合には、その仕入書価格に基づいて認定することとなりますが、必ずしも仕入書価格と一致するものではないので留意してください(問2−9参照)。 |
(問2-8)「現実支払価格」は、外国向けの支払だけをいうのですか。国内における支払も含まれるのですか。
(答) | 「現実支払価格」は、支払われる場所や受領する者の所在地を問いません。したがって、本邦において本邦の居住者に対して行われる支払であることをもって、「現実支払価格」に含まれないということにはなりません。 |
(問2-9)「現実支払価格」は、仕入書価格とは違うのですか。
(答) | 「現実支払価格」は、輸入貨物の仕入書が輸入取引に係る価格等の条件を正当に表示するものである場合には、その仕入書価格に基づいて認定することとなります。したがって、輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために買手により行われる支払が仕入書価格のみである場合は、「現実支払価格」は仕入書価格と一致することとなります。 しかしながら、例えば、次のような場合には、「現実支払価格」と仕入書価格は一致しませんので、留意してください。
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(問2-10)「現実支払価格」に含まれない費用には、どのようなものがありますか。
(答) | 輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために買手により支払われるものであっても、次の費用等の額は、「現実支払価格」に含まれません。
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(問2-11)「現実支払価格」に含まれない輸入貨物の「据付け」のための役務は、その輸入貨物の輸入後に行われたものだけをいうのですか。輸入前に行われたものも含まれるのですか。
(答) | 輸入貨物の据付作業の一環として、その輸入貨物の輸入前に本邦において行われる役務(例えば、据付用土台の設置作業)の費用は、その輸入貨物の輸入申告がなされた日以後に行われる、その輸入貨物に係る「据付け」に要する役務の費用の一部として取り扱われます。 |
(問2-12)「整備」とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | 輸入貨物の輸入申告がなされた日以後に行われる、その輸入貨物に係る「整備」に要する役務の費用は、「現実支払価格」に含まれないこととされていますが、ここでいう「整備」とは、その輸入貨物の機能を維持するために恒常的に行われる予防的措置をいいます。その輸入貨物の瑕疵を是正するために行われる保証(ワランティ又はギャランティ)の履行(修繕、取替え)は、「整備」には該当しません。 |
(問2-13)「延払金利」が「現実支払価格」に含まれないのは、どのような場合ですか。
(答) | 輸入貨物に係る輸入取引が延払条件付取引である場合、買手により支払われる延払金利の額が明らかであるときは、その延払金利の額は、「現実支払価格」に含まれません(問2−10参照)。 なお、延払金利の額が「明らかであるとき」とは、次のすべての要件を満たす場合をいいます。
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(3)加算要素
(問2-14)輸入貨物の「現実支払価格」に加算すべき費用等(「加算要素」)には、どのようなものがありますか。
(答) | 原則的な方法である「輸入貨物の取引価格による方法」により輸入貨物の課税価格を計算する場合において、その輸入貨物の「現実支払価格」に加算することとなる費用等(「加算要素」)は、次のとおりです。
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1)輸入港までの運賃、保険料等
(問2-15)輸入貨物が「輸入港に到着する」とは、どの時点をいうのですか。
(答) | 輸入貨物が「輸入港に到着する」とは、単に輸入港の港域に到着することをいうのではなく、その輸入貨物の船卸し等ができる状態になることをいいます。 |
(問2-16)「輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | 「輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」とは、輸入貨物を輸入港まで運送するために実際に要した運送費用をいい、その輸入貨物の輸出港までの運送費用を含みます。 ただし、運送が特殊な事情の下において行われたことにより、実際に要した輸入港までの運賃の額が、通常必要とされるその輸入港までの運賃の額を著しく超えるものとなった場合は、その通常必要とされる運賃となります(問2−19参照)。 |
(問2-17)「輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する保険料」とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | 「輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する保険料」とは、輸入貨物の輸入港までの運送に関して実際に要した保険料をいい、その輸入貨物の輸出港までの運送に係る保険料を含みます。 ただし、運送が特殊な事情の下において行われたことにより、実際に要した輸入港までの保険料の額が、通常必要とされるその輸入港までの保険料の額を著しく超えるものとなった場合は、その通常必要とされる保険料となります(問2−19参照)。 |
(問2-18)「輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要するその他その運送に関連する費用」とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | 「輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要するその他その運送に関連する費用」とは、輸入貨物の輸入港までの運送に付随して発生する積卸しその他の役務の対価として支払われる費用をいい、例えば、輸出国における一時的な保管料、輸出の際に税関手続等に要した費用、輸出国において要したコンテナー・サービス・チャージ等が含まれます。 |
(問2-19)「通常必要とされる輸入港までの運賃等の額を著しく超えるものである場合」とは、どのような場合をいうのですか。
(答) | 運送が特殊な事情の下において行われたことにより、実際に要した輸入港までの運賃等の額が、通常必要とされるその輸入港までの運賃等の額を著しく超えるものとなった場合は、実際に要した運賃等の額ではなく、通常必要とされる運賃等の額を「現実支払価格」に加算することとなります。 例えば、輸入貨物の輸入取引に係る契約(運送条項を含む契約に限ります。)又は輸入貨物の運送契約の成立後に、天災、港湾ストライキ等その輸入貨物の輸出者若しくは売手又は輸入者若しくは買手の責に帰し難い理由により、その契約に基づく運送方法により運送できなかった場合がこれに該当します(この場合には、実際の運送方法及び運送経路に関わらず、その契約が前提とする運送方法及び運送経路により運送されたものとした場合の通常の運賃等の額を、「現実支払価格」に加算することとなります。) 。 |
2)手数料
(問2-20)「仲介料その他の手数料(買付手数料を除く。)」とは、どのような手数料をいうのですか。
(答) | 仲介料その他の手数料とは、輸入取引に関して業務を行う者に対し買手が支払う手数料をいい、このうち、「買付手数料(問2−22参照)」以外のものは課税価格に算入します。仲介料その他の手数料に該当するか否かの判断は、契約書等における名称のみによるものではなく、手数料を受領する者が輸入取引において果たしている役割及び提供している役務の性質を考慮して行うものとします。例えば、次のような手数料が、これに該当します。
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(問2-21)「売手に代わり業務を行う者」とは、どのような者をいうのですか。
(答) | 「売手に代わり業務を行う者」とは、売手の管理の下で、売手の計算と危険負担により次のような業務を行う者をいいます。
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(問2-22)「買付手数料」とは、どのような手数料をいうのですか。
(答) | 「加算要素」とならない「買付手数料」とは、買付けに関し買手を代理する者に対し、その買付けに係る業務の対価として支払われる手数料をいいます。 なお、買付手数料という名目で買手により支払われる手数料であっても、「買付手数料」には該当しないものもありますので留意してください(問2−24参照)。 |
(問2-23)「買付けに関し買手を代理する者」とは、どのような者をいうのですか。
(答) | 「買付けに関し買手を代理する者」とは、買手の管理の下で、買手の計算と危険負担により次のような業務を行う者をいいます。
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(問2-24)「買付手数料」であるか否かの判断は、どのように行うのですか。
(答) | 買手により支払われる手数料が、「加算要素」とならない「買付手数料」に該当するか否かの判断は、契約書等における名称のみによるものではなく、その手数料を受領する者が輸入取引において果たしている役割及び提供している役務の性質を考慮して行うものとします。具体的には、次の要件を満たすものであることが必要です。
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3)輸入貨物の容器、包装に要する費用
(問2-25)「輸入貨物の容器」には、どのようなものが該当しますか。
(答) | 買手により負担される「輸入貨物の容器」の費用は、「加算要素」となりますが、ここでいう「輸入貨物の容器」には、写真機用ケース、楽器用ケース、製図機器用ケース等、特定の輸入貨物を収納するために特に製作し又は適合させたものであって、長期間の使用に適し、その容器に収納される輸入貨物とともに提示され、かつ、通常その輸入貨物とともに販売されるもの等が該当します。ただし、再輸入免税等の適用を受けるものは、「輸入貨物の容器」には該当しません。 |
(問2-26)「輸入貨物の包装に要する費用」には、どのような費用が含まれますか。
(答) | 「加算要素」となる「輸入貨物の包装に要する費用」には、包装に係る材料費や包装作業に従事する者に係る人件費等の費用で、買手により負担されるものが含まれます。 |
4)無償提供等物品、役務
(問2-27)「輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して、買手により無償で又は値引きをして直接又は間接に提供された物品又は役務」とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | その費用が「加算要素」となる、「輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して、買手により無償で又は値引きをして直接又は間接に提供された物品又は役務」に該当するものは、次のとおりです。
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(問2-28)輸入貨物の生産に関する役務について、「本邦以外において開発されたもの」とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | 買手により無償で又は値引きをして直接又は間接に提供された、輸入貨物の生産に関する役務のうち、その費用が「加算要素」に該当するものは、「本邦以外において開発されたもの」に限られますが、「本邦以外において開発されたもの」とは、実際の作成が本邦以外の場所で行われたものをいい、その役務の作成に係る契約の締結場所や作成者の国籍は問いません。したがって、例えば、日本人が外国において作成したデザインは「本邦以外において開発されたもの」に該当しますが、外国人が本邦において作成したデザインは「本邦以外において開発されたもの」には該当しません。 |
(問2-29)無償提供等された物品又は役務に要する費用の額は、どのように計算するのですか。
(答) | 無償提供等された物品に要する費用の額は、次に定める費用に、その物品を輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して提供するために要した運賃、保険料その他の費用であって買手により負担されるものを加算した費用(その物品がその輸入貨物以外の貨物にも使用される場合には、その物品の使用の程度に応じて按分したもの)となります。
また、無償提供等された役務に要する費用の額は、次に定める費用に、その役務を輸入貨物の生産に関連して提供するために要した運賃、保険料その他の費用であって買手により負担されるものを加算した費用(その役務がその輸入貨物以外の貨物にも利用される場合には、その役務の利用の程度に応じて按分したもの)となります。
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(問2-30)「物品を取得するために通常要する費用」及び「役務の提供を受けるために通常要する費用」とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | 「物品を取得するために通常要する費用」及び「役務の提供を受けるために通常要する費用」とは、一般的な競争的条件の下に買手がその物品又はその役務を購入又は賃借するとした場合に通常必要とされる費用のことをいいます。 例えば、買手が自己と特殊関係にある者からその特殊関係による影響を受けた価格により物品又は役務を購入するような場合には、「一般的な競争的条件」の下に買手がその物品又は役務を購入しているとはいえないことから、その購入価格に基づく費用を「通常要する費用」とすることはできません。 |
5)ロイヤルティ等
(問2-31)「特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもの」には、どのような権利が含まれますか。
(答) | 「特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもの」とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権及び著作隣接権並びに特別の技術による生産方式その他ロイヤルティ又はライセンス料の支払の対象となるものをいいますが、輸入貨物を本邦において複製する権利は含まれません。 なお、「特別の技術による生産方式その他のロイヤルティ又はライセンス料の支払の対象となるもの」とは、特許権その他の工業所有権には至らないが、生産その他の事業等に関して繰り返して使用される程度に確立された技術上の創作、独自の考案、秘けつその他経済的価値を有するもの(例えば、ノウハウ、登録されていない意匠等)をいいます。 |
(問2-32)輸入貨物に関連して買手が支払うロイヤルティ等を「現実支払価格」に加算する必要があるのは、どのような場合ですか。
(答) | ロイヤルティ等は、「輸入貨物に係る」ものであり、かつ、「取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするため」に買手により直接又は間接に支払われるものである場合に、「現実支払価格」に含まれていない限度において、「現実支払価格」に加算することとなります。 |
(問2-33)「輸入貨物に係る」ロイヤルティ等とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | 「輸入貨物に係る」ロイヤルティ等とは、輸入貨物に関連のあるものをいいます。例えば、次のような場合に、ロイヤルティ等は「輸入貨物に係る」ものとして取り扱われます。
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(問2-34)「取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするため」に支払われるロイヤルティ等とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | 「取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするため」に支払われるロイヤルティ等とは、買手がそのロイヤルティ等を特許権者等に支払わなければ、実質的にその輸入貨物に係る輸入取引を行うことができないこととなる又は行われないこととなるものをいい、その判断は、その輸入貨物に係る売買契約やライセンス契約の内容だけではなく、その輸入貨物に係る取引に関する契約の内容及び実態、取引に関与する者がその取引に関して果たす役割、その取引に関与する者の間の関係その他のその取引に関する事情を考慮して行うものとします。 例えば、次のようなロイヤルティ等がこれに該当することとなります。
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(問2-35)「輸入貨物を本邦において複製する権利」とは、どのような権利をいうのですか。
(答) | 輸入貨物に係るロイヤルティ等が、その「輸入貨物を本邦において複製する権利」の対価として支払われるものである場合は、そのロイヤルティ等は「加算要素」には該当しませんが、ここでいう「輸入貨物を本邦において複製する権利」とは、輸入貨物を本邦において物理的に複製する権利その他の輸入貨物に化体され又は表現されている考案、創作等を本邦において複製する権利をいいます。 例えば、次のような権利が、「輸入貨物を本邦において複製する権利」に該当します。
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6)売手帰属収益
(問2-36)「買手による輸入貨物の処分又は使用による収益」とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | 「買手による輸入貨物の処分又は使用による収益」とは、買手による輸入貨物の再販売その他の処分又は使用によって得られる売上代金、賃貸料、加工賃等をいい、買手による売手への配当金の移転その他の支払であって輸入貨物と関係のないものは該当しません。 なお、「加算要素」となるのは、「買手による輸入貨物の処分又は使用による収益」のうち、直接又は間接に売手に帰属するものであり、例えば、輸入貨物の利潤分配取引に基づいて買手が売手に分配する利潤がこれに該当します。 |
7)加算方法
(問2-37)「加算要素」に該当する費用等は、「現実支払価格」にどのように加算するのですか。
(答) | 「加算要素」に該当する費用等は、客観的で数値化された資料に基づいて、「現実支払価格」に含まれていないもののみを、「現実支払価格」に加算することとなります。 なお、「現実支払価格」に加算すべき「加算要素」がある場合において、加算を行うための客観的で数値化された資料がないときは、原則的な方法である「輸入貨物の取引価格による方法」により課税価格を計算することはできません。 |
(問2-38)複数の輸入貨物に係る「加算要素」に該当する費用等が一括して支払われる場合は、どのように加算するのですか。
(答) | 複数の輸入貨物に係る「加算要素」に該当する費用等が一括して支払われる場合は、その運賃等を個々の輸入貨物の数量等に応じた合理的な方法により按分して、個々の輸入貨物の「現実支払価格」に加算することになります。 ただし、無償提供等された物品又は役務に要する費用については、輸入者から希望する旨の申し出があり、かつ、課税上その他特に支障がないと認められるときは、便宜特定の輸入貨物の「現実支払価格」に一括して加算することができます。 また、その他の「加算要素」に該当する費用等についても、課税上その他特に支障がないと認められる場合で、個々の輸入貨物への按分が困難と認められるときは、便宜特定の輸入貨物の「現実支払価格」に一括して加算することができます。 |
(問2-39)「課税上その他特に支障がない」とは、どのような場合をいうのですか。
(答) | 「課税上その他特に支障がない」とは、特定の輸入貨物の「現実支払価格」に一括して加算して課税価格を計算することにより、税額が過少とならず、また、税収が不均衡とならない場合をいいます。 例えば、貨物の輸入が2年間にわたって行われることとなっている場合で、その貨物に適用される関税率が1年目と2年目で異なるときは、相対的に低い関税率が適用される年に輸入される特定の輸入貨物の「現実支払価格」に一括して加算して課税価格を計算することは、それにより税額が過少となりますので、課税上支障がないとは認められません。 また、貨物の輸入が異なる都道府県に所在する複数の税関官署を通じて行われる場合は、特定の輸入貨物の「現実支払価格」に一括して加算して課税価格を計算することは、それにより都道府県間における地方消費税収入の不均衡が生じますので、課税上支障がないとは認められません。 |
(問2-40)「個々の輸入貨物への按分が困難」とは、どのような場合をいうのですか。
(答) | 例えば、一定期間に輸入される貨物に係る「加算要素」に該当する費用等が一括して支払われる場合で、その期間に輸入される貨物の数量が不確定であるときは、「個々の輸入貨物への按分が困難」と認められます。この場合には、その期間に輸入される最初の貨物の「現実支払価格」に一括して加算することとして差し支えありません。 |
3.輸入取引に係る特別な事情等
(問3-1)「輸入貨物の取引価格による方法」(原則的な方法)を適用できない特別な「事情」とは、どのような事情をいうのですか。
(答) | 輸入貨物に係る輸入取引に関して、次の事情のいずれかがある場合には、原則的な方法である「輸入貨物の取引価格による方法」により課税価格を計算することはできません。
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(問3-2)「買手による輸入貨物の処分又は使用について制限がある」場合とは、どのような場合ですか。
(答) | 次のような場合は、「買手による輸入貨物の処分又は使用について制限がある」場合に該当し、原則的な方法である「輸入貨物の取引価格による方法」により課税価格を計算することはできません。
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(問3-3)「輸入貨物の課税価格の決定を困難とする条件がその輸入貨物の輸入取引に付されている」場合とは、どのような場合ですか。
(答) | 次のような場合は、「輸入貨物の課税価格の決定を困難とする条件がその輸入貨物の輸入取引に付されている」場合に該当し、原則的な方法である「輸入貨物の取引価格による方法」により課税価格を計算することはできません。
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(問3-4)「売手と買手との間に特殊関係がある場合」とは、どのような場合ですか。
(答) | 売手と買手との関係が、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、両者の間には特殊関係があることになります。
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(問3-5)「売手と買手との間に特殊関係がある場合」に、その特殊関係が取引価格に影響を与えているか否かは、どのように判断するのですか。
(答) | 「売手と買手との間に特殊関係がある場合」に、その特殊関係が輸入貨物の取引価格に影響を与えているか否かは、その輸入貨物の価格の成立の仕組みや取引関係の実態等、その輸入貨物に係る輸入取引の種々の側面について検討を行うことにより判断することとなり、その検討の結果、売手と買手が特殊関係にないような状態でその輸入取引を行っているものと認められるときは、その輸入貨物の取引価格は特殊関係の影響を受けていないものとして取り扱うこととなります(問3−6参照)。 また、輸入貨物の取引価格が、その輸入貨物と同種又は類似の貨物(その輸入貨物の本邦への輸出の日又はこれに近接する日に本邦へ輸出されたもので、その輸入貨物の生産国で生産されたものに限ります。)の課税価格(原則的な方法、「国内販売価格に基づく方法」又は「製造原価に基づく方法」により計算されたものに限ります。)と同一の額又は近似する額である場合も、その輸入貨物の取引価格は特殊関係の影響を受けていないものと認められます。 |
(問3-6)どのような場合に、特殊関係にないような状態で輸入取引を行っているものとして取り扱われるのですか。
(答) | 例えば、次のような場合は、売手と買手が特殊関係にないような状態で輸入取引を行っているものと認められます。
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4.同種又は類似の貨物に係る取引価格による方法
(問4-1)「同種又は類似の貨物に係る取引価格による方法」とは、どのような方法ですか。
(答) | 「同種又は類似の貨物に係る取引価格による方法」とは、輸入貨物と同種又は類似の貨物(その輸入貨物の本邦への輸出の日又はこれに近接する日に本邦へ輸出されたもので、その輸入貨物の生産国において生産されたものに限ります。)に係る取引価格(原則的な方法により課税価格とされたものに限ります。)を、その輸入貨物の課税価格とするものです。 なお、「同種又は類似の貨物に係る取引価格」は、原則として、その輸入貨物と同一の取引段階及び実質的に同一の取引数量により輸入取引がされた同種又は類似の貨物の取引価格をいい、運送距離又は運送形態が異なるために輸入港までの運賃等に相当の差異があるときは、その差異により生じた価格差について調整を行うこととなります。 また、輸入貨物と同種又は類似の貨物に係る取引価格が複数ある場合に、その輸入貨物の課税価格の計算に用いる取引価格の優先順位は、次のとおりです。
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(問4-2)「同種の貨物」とは、どのような貨物をいうのですか。
(答) | 「同種の貨物」とは、形状、品質及び社会的評価を含むすべての点で輸入貨物と同一である貨物をいい、外見上些細な差異があっても他の点で同一であるものを含みます。 |
(問4-3)「類似の貨物」とは、どのような貨物をいうのですか。
(答) | 「類似の貨物」とは、輸入貨物とすべての点において同一というわけではないが、同様の形状及び材質の貨物であって、その輸入貨物と同一の機能を有し、かつ、その輸入貨物との商業上の交換が可能である貨物をいいます。 なお、「類似の貨物」であるか否かの認定に際しては、貨物の品質、社会的評価及び商標について考慮することとなります。 |
(問4-4)「輸出の日」とは、いつをいうのですか。
(答) | 「輸出の日」とは、原則として、輸出国において、輸入貨物を本邦に向けて船舶等に積み込み又は本邦に仕向けた日をいい、仕入書、船荷証券等により確認します。 |
(問4-5)「これ(輸出の日)に近接する日」とは、どの程度の期間をいうのですか。
(答) | 「これ(輸出の日)に近接する日」とは、輸入貨物の価格に影響を与える商慣行及び市場条件が輸出の日と同じであると認められる期間内の日をいいます。 なお、原則として、輸出の日の前後1月以内の日であれば、「これ(輸出の日)に近接する日」として認められますが、価格が短期間に変動する貨物については、輸出の日の前後1月以内の日であっても「これ(輸出の日)に近接する日」とは認められないこととなります。他方、価格が安定的な貨物については、輸出の日の前後1月を超える日であっても「これ(輸出の日)に近接する日」として認められることがあります。 |
5.国内販売価格に基づく方法
(問5-1)「国内販売価格に基づく方法」とは、どのような方法ですか。
(答) | 「国内販売価格に基づく方法」とは、輸入貨物に係る輸入申告の日又はこれに近接する期間内に、国内における売手と特殊関係にない買手に対して国内において販売されたその輸入貨物又はその輸入貨物と同種若しくは類似の貨物(その輸入貨物の生産国で生産されたものに限ります。)に係る国内販売価格から、所定の費用等を控除して得られる価格を課税価格とするものです。 なお、原則として、課税物件確定の時における性質及び形状により国内において販売された上記の貨物に係る国内販売価格を基に計算することとなりますが、そのような貨物がない場合には、課税物件確定の時の属する日以後に加工された上で国内において販売された上記の貨物に係る国内販売価格を基に計算することもできます。 また、輸入貨物の国内販売価格又はその輸入貨物と同種若しくは類似の貨物に係る国内販売価格が複数ある場合に、その輸入貨物の課税価格の計算に用いられる国内販売価格の優先順位は、次のとおりです。
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(問5-2)「国内販売価格」とは、どのような価格をいうのですか。
(答) | 「国内販売価格」とは、国内における最初の取引段階における販売に係る単価に基づいて計算された価格をいいます。 国内販売が複数回行われ、その単価が異なるときは、その異なる単価ごとの販売に係る数量が最大である販売に係る単価に基づいて計算することとなります。 (例)
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(問5-3)輸入申告の日に「近接する期間内」とは、どの程度の期間をいうのですか。
(答) | 輸入申告の日に「近接する期間内」とは、「課税物件確定の時の属する日に近接する日」とし、これによれない場合は、「課税物件の確定の時の属する日後90日以内の最も早い日」とします。 なお、「近接する日」とは、おおむね、課税物件確定の時の属する日の前後1月以内の日をいいます。 また、「最も早い日」とは、貨物がその単価を確定するに足りる数量で国内において販売されるに至った日をいいます。例えば、輸入貨物が1,000単位輸入された場合で、その輸入貨物の国内販売が輸入後70日目に30単位、輸入後85日目に800単位行われたときは、85日目が「最も早い日」となります。 |
(問5-4)国内販売価格から控除する費用等には、どのようなものがありますか。
(答) | 「国内販売価格に基づく方法」により課税価格を計算する場合、国内販売価格から次の費用等を控除することとなります。
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(問5-5)「同類の貨物」とは、どのような貨物をいうのですか。
(答) | 「国内販売価格に基づく方法」により課税価格を計算する場合における輸入貨物と「同類の貨物」とは、同一の産業部門において生産されたその輸入貨物と同一の範疇に属する貨物をいい、その輸入貨物とは異なる国から輸入されたものを含みます。 |
(問5-6)「手数料」又は「利潤及び一般経費」は、それぞれどのような場合に控除するのですか。
(答) | 貨物の国内販売価格から「手数料」又は「利潤及び一般経費」のいずれを控除するかについては、その貨物に係る商慣習を勘案して判断することとなります。 例えば、その貨物の販売が、通常、手数料上乗せ方式により行われている場合には、通常の「手数料」を控除し、その貨物の販売が、通常、手数料を伴わないものである場合には、通常の「利潤及び一般経費」を控除することとなります。なお、「利潤及び一般経費」は、一体のものとして取り扱います。 |
6.製造原価に基づく方法
(問6-1)「製造原価に基づく方法」とは、どのような方法ですか。
(答) | 「製造原価に基づく方法」とは、輸入貨物の製造原価に、その輸入貨物の生産国で生産されたその輸入貨物と同類の貨物の本邦への輸出のための販売に係る通常の利潤及び一般経費並びにその輸入貨物の輸入港までの運賃等の額を加えた価格を課税価格とするものです。 なお、「製造原価に基づく方法」は、輸入貨物を輸入しようとする者とその輸入貨物の生産者との間のその輸入貨物に係る取引に基づきその輸入貨物が本邦に到着することとなる場合に限り適用できるものです。 また、製造原価は、輸入貨物の容器及び包装の費用並びに買手により無償提供等された物品及び役務の費用を含みます(また、本邦で開発された役務の費用であっても、生産者が負担した場合は、その負担した額を含みます。)。 |
(問6-2)「同類の貨物」とは、どのような貨物をいうのですか。
(答) | 「製造原価に基づく方法」により課税価格を計算する場合における輸入貨物と「同類の貨物」とは、同一の産業部門において生産されたその輸入貨物と同一の範疇に属する貨物をいい、その輸入貨物と同一の国から輸入される貨物に限られます。 |
(問6-3)「製造原価に基づく方法」による場合、どのような資料に基づいて計算するのですか。
(答) | 「製造原価」については、生産者により又は生産者のために提供された輸入貨物の生産に関する資料(原則として、生産者の商業帳簿(輸入貨物の生産国において一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従って算定されたものに限ります。)。)により計算することとなります。 「利潤及び一般経費」の額についても、原則として、生産者により又は生産者のために提供された資料に基づいて計算することとなります。ただし、その資料の数値が「同類の貨物」に係る通常の利潤及び一般経費の額と乖離していると認められるときは、その資料を用いることはできません。 |
7.その他の方法
(問7-1)「その他の方法」とは、どのような方法ですか。
(答) | 「その他の方法」とは、「輸入貨物の取引価格による方法」から「製造原価に基づく方法」までのいずれの方法によっても輸入貨物の課税価格を計算することができない場合に用いることとなる方法で、次の2つに大別されます。 まず、「輸入貨物の取引価格による方法」から「製造原価に基づく方法」までの方法による課税価格の計算の基礎となる事項の一部がこれらの方法による計算を行うために必要とされる要件を満たさないためこれらの方法により課税価格を計算することができない場合において、その必要とされる要件を満たさない事項につき合理的な調整を加えることによりその事項がその要件を満たすこととなるときは、その要件を満たさない事項につき調整を加えてこれらの方法により計算される価格が、その輸入貨物の課税価格となります。例えば次に掲げる方法とし、この掲載順に適用することとなります。
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(問7-2)「税関長が定める方法」とは、どのような方法ですか。
(答) | 「税関長が定める方法」は、税関長が本邦において入手できる資料に基づき計算する方法であって、合理的と認められるものをいいます。例えば、税関長が入手できる資料に応じて、次のような方法による場合があります。
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(問7-3)WTO関税評価協定の規定に適合しない方法には、どのような方法がありますか。
(答) | WTO関税評価協定では、次の方法により課税価格を計算することを禁じています。
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8.変質又は損傷に係る輸入貨物の課税価格
(問8-1)「変質又は損傷に係る輸入貨物」についての特別な取扱いとは、どのようなものですか。
(答) | 輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみて、輸入申告の時までに、輸入貨物に変質又は損傷があったと認められるときは、その変質等がなかったものとした場合に計算される課税価格から、その変質等があったことによる減価に相当する額を控除して得られる価格を課税価格とするものです。 |
9.課税価格の決定の特例
(問9-1)「航空運送貨物に係る課税価格の決定の特例」は、どのような貨物に適用されるのですか。
(答) | 航空機により運送された輸入貨物のうち次のものについては、「航空運送貨物に係る課税価格の決定の特例」が適用され、その課税価格に算入することとなる輸入港に到着するまでの運送に要する運賃及び保険料は、航空機による運送方法以外の通常の運送方法による運賃及び保険料によることとなります。
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(問9-2)「航空機による運送方法以外の通常の運送方法による運賃及び保険料」は、どのように算出するのですか。
(答) | 「航空機による運送方法以外の通常の運送方法による運賃及び保険料」は、原則として、船舶による通常の運賃及び保険料によることとなり、運賃率表及び保険料率表等の資料により輸入貨物に係る単位当たりの運賃及び保険料を求め、これに基づいて算出することとなります。 また、上記により算出することが困難な場合は、輸入申告実績に基づき通常要すると認められる運賃及び保険料の額として税関長が公示する額を、その輸入貨物に係る運賃及び保険料の額として納税申告を行うこともできます。 なお、遅延貨物については、当初手配されていた運送方法に係る運賃及び保険料の額によることとなります。 |
(問9-3)「個人的な使用に供される輸入貨物」についての特別な取扱いとは、どのようなものですか。
(答) | 輸入取引が小売取引の段階によるものと認められる貨物で、輸入者の個人的な使用に供されると認められるものの課税価格は、その貨物の輸入が通常の卸取引の段階でされたとした場合の価格とするものです。 なお、「その貨物の輸入が通常の卸取引の段階でされたとした場合の価格」は、その貨物の海外小売価格(輸入者がその貨物を取得する際に実際に支払った価格をいいます。)に0.6を乗じて算出することとなります。 |
10.価格の換算に用いる外国為替相場
(問10-1)仕入書価格が外国通貨建ての場合、課税価格を計算する際の日本円への換算は、どのように行うのですか。
(答) | 輸入貨物の課税価格を計算する場合において、外国通貨により表示された価格を本邦通貨へ換算するときは、その輸入貨物に係る輸入申告の日の属する週の前々週における実勢外国為替相場の平均値に基づいて税関長が公示する相場を用いることとなります。 |
(問10-2)税関長公示レートは、どこで確認できますか。
(答) | 税関長公示レートは、税関の窓口等に掲示しているほか、税関ホームページ(「外国為替相場(課税価格の換算)」)にも掲載しています。 |
11.課税価格の計算に用いる資料等
(問11-1)輸入貨物の課税価格を計算するにあたっては、どのような資料を用いる必要がありますか。
(答) | 輸入貨物の課税価格を計算する場合には、その「計算の基礎となる額その他の事項」が、「合理的な根拠を示す資料」によって証明されるものでなければならず、さらに、「一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従って算定されたもの」である必要があります。 |
(問11-2)「計算の基礎となる額その他の事項」とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | 「計算の基礎となる額その他の事項」とは、課税価格の計算の際に用いられる価格、手数料、利潤及び一般経費、費用等の額その他取引に関する事情等をいいます。 例えば、「輸入貨物の取引価格による方法」の場合は、「現実支払価格」や「加算要素」である手数料、無償提供する物品又は役務に要した費用等のことを指します。 |
(問11-3)「合理的な根拠を示す資料」とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | 「合理的な根拠を示す資料」とは、客観的な資料であって、輸入貨物の課税価格の「計算の基礎となる額その他の事項」の真実性及び正確性を示すものをいいます。 例えば、「現実支払価格」であれば、買手から売手に対し支払われた輸入貨物に係る決済資料であって、その輸入貨物に対する決済であることが客観的に確認できるものを指します。 |
(問11-4)「一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従って算定されたもの」とは、どのようなものをいうのですか。
(答) | 「一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従って算定されたもの」とは、「その計算の基礎となる額その他の事項」に関連する国又は地域において、その事項に係る産業において相当の期間にわたり広く慣例的に行われている会計の処理に関する具体的な基準及び処理方法に従って算定されたものをいいます。 例えば、買手が無償提供する本邦で生産された金型の費用の額については、その金型に係る本邦の産業において、相当の期間にわたり広く慣例的に行われている会計の処理に関する具体的な基準及び処理方法に従って算定することとなります。 |
12.関税評価に係る手続等
(問12-1)納税申告に際して、課税価格の計算に関する手続きが何かありますか。
(答) | 納税申告に際しては、課税価格の計算の基礎等を記載した評価申告書を提出する必要があります。 ただし、課税価格の計算が、原則的な方法である「輸入貨物の取引価格による方法」により行われる場合で、輸入申告の際に提出する仕入書、運賃明細書等により課税価格の計算の基礎が明らかであるときは、評価申告書を提出する必要はありません。 また、輸入貨物に係る関税が無税である場合や従量税である場合にも、評価申告書の提出は必要ありません。 |
(問12-2)評価申告書は、納税申告の都度提出しなければならないのですか。
(答) | 評価申告書は、原則として、納税申告の都度提出することとなります。ただし、貨物の輸入が同一人との間の継続的な輸入取引により行われる場合で、その記載内容が同一となるときは、予め包括申告書を提出することにより、個々の申告時の提出を省略することができます。 なお、評価申告の具体的な手続き等については、「評価申告制度」をご参照ください。 |
(問12-3)輸入を予定している貨物に係る課税価格の計算方法等について、税関に照会を行うことはできますか。
(答) | 輸入を予定している貨物に係る関税評価上の取扱い(法令の解釈・適用等)を、輸入前に確認することを希望される場合には、事前教示制度を利用することができます。 この事前教示の照会は、原則として、文書により行っていただき、税関はそれに対して文書により回答を行うこととしており、文書回答の内容は、評価申告及び輸入(納税)申告の審査の際に尊重されます。 なお、口頭による照会も可能ですが、その場合には回答も口頭で行われることとなり、口頭回答については、その取扱いが文書回答とは異なりますのでご留意ください。 関税評価に係る事前教示の具体的な手続等については、「関税評価に係る事前教示制度」をご参照ください。 |