関税法基本通達(昭和47年3月1日蔵関第100号)(抄)
評価申告関係法令等
関税法基本通達(昭和47年3月1日蔵関第100号)(抄)
第2章 関税の確定、納付、徴収及び還付
第2節 申告納税方式による関税の確定
(評価申告書の使用区分)
7―8 令第4条第1項第3号若しくは第4号又は令第4条の2第1項第9号若しくは第10号《評価申告を要する事項》に掲げる事項に関する申告を要する場合には、次に掲げる区分に応じ、それぞれに定める評価申告書を使用させる。
(1) 定率法第4条第1項《課税価格の決定の原則》の規定により課税価格を計算する場合には、「輸入貨物の評価(個別・包括)申告書I」(C―5300)(以下「評価申告書I」という。)を使用させる。
(2) 定率法第4条の2から第4条の6まで《同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定、国内販売価格又は製造原価に基づく課税価格の決定、特殊な輸入貨物に係る課税価格の決定、変質又は損傷に係る輸入貨物の課税価格の決定、航空運送貨物等に係る課税価格の決定の特例》の規定のいずれかにより、課税価格を計算する場合には、「輸入貨物の評価(個別・包括)申告書II」(C―5310)(以下「評価申告書II」という。)を使用させる。
(3) 上記(1)の評価申告書Iにより課税価格を計算することとなつている貨物について、定率法第4条の5又は第4条の6の規定を適用するときは、評価申告書I及びIIの双方を使用させる。
(評価申告書の提出の方法等)
7―9 評価申告書I及びII(以下「評価申告書」という。)は、令第4条第3項《包括申告》(令第4条の2第4項《特例申告の場合における準用》において準用する場合を含む。以下この項及び後記7―14(包括申告書のあて先税関を変更する場合の取扱い)において同じ。)に規定する場合にあつては、令第4条第3項に規定する方法により、あらかじめ包括的に提出させ、その他の場合にあつては、納税申告の都度個別的に提出させるものとし、それぞれの方式による場合の提出の時期、提出先及び提出部数は、次による。
なお、保税蔵置場、保税工場又は総合保税地域に置かれる貨物(全量積戻しされることが明らかな貨物を除く。)については、なるべくその蔵入れ、移入れ若しくは総保入れの承認の申請の時又はそれ以前に評価申告書を提出させるよう指導する。
評価申告書の提出方法 | 提出の時期 | 提出先 | 提出部数 |
| 包括申告方式 | 輸入(納税)申告書等の提出と同時又はそれ以前 | 貨物の主要な輸入予定地を管轄する税関長(支署長、出張所長を含む。) | 2部(原本及び申告者交付用。) |
| 個別申告方式 | 輸入(納税)申告書等の提出と同時 | 納税申告をする税関長(支署長、出張所長を含む。) | 1部 |
(評価申告書の提出を要しない場合)
7―10 次に掲げる場合においては、評価申告書の提出を要しない。
(1) 納税申告に係る貨物の関税が無税(免税を含む。)又は従量税である場合。
(2) 納税申告に係る貨物の仕入書ごとの課税価格の総額が100万円以下である場合。ただし、その貨物が、次のいずれかに該当する場合を除く。
イ 同一人との間に継続して行われる輸入取引に係るもの
ロ 一契約の契約価格が100万円を超える輸入取引に係る貨物を分割したもの
ハ その他課税価格の決定のために税関長が必要と認めるもの
(評価申告書Iの提出を要しない場合)
7―11 前記7―4及び7―8の(1)の規定にかかわらず、納税申告に係る貨物について、次に掲げる場合においては、評価申告書Iの提出を要しないものとする。
(1) 評価申告書IのAの2の欄の(1)及び(2)の項目の記載内容が□印の欄に該当し、かつ、Bの欄に記載すべき調整項目がない場合
(2) 評価申告書IのAの2の欄の(1)及び(3)の項目の記載内容が□印の欄に該当し、かつ、Bの欄に記載すべき調整項目がない場合
(評価申告書IIの提出の省略)
7―12 納税申告に係る貨物が前記7―8の(2)の規定により評価申告書IIの提出を要する場合においても、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その提出を省略させて差し支えない。
(1) 評価申告書I及びIIの提出を要する場合において、評価申告書IIに記載すべき課税価格の計算の基礎を評価申告書I(添付する計算書を含む。)に記載することができるとき。
(2) 税関長が課税標準及び税額の調査のため、その提出がなくても支障がないと認めるとき(例えば、無償貨物であるが仕入書等の書類により課税価格の計算ができる場合)。
(包括申告書の変更届)
7―13 令第4条第5項《包括申告書の変更届》(令第4条の2第4項において準用する場合を含む。)の規定による包括申告書の記載事項の変更の届出は、次により行わせるものとする。
(1) 当該変更が包括申告書の上部枠内の欄の記載事項に係るもの(例えば、関係税関若しくは品名の一部追加又はまつ消、輸入者の住所、名称等の変更)である場合その他当該変更の内容が簡易のものである場合には、「評価(包括)申告書記載事項の一部変更届」(C―5320)2部を当該包括申告書のあて先税関へ提出させる。
(2) 上記(1)以外の場合には、変更後の内容に基づく包括申告書を改めて提出させるものとする。
(3) 包括申告書に添付して提出した書類(例えば、価格表)の内容に変更が生じ、かつ、当該包括申告書の記載事項に変更のない場合においても、「評価(包括)申告書記載事項の一部変更届」に変更に係る書類を添付したもの2部(原本、交付用)を当該包括申告書のあて先税関へ提出させる。
(包括申告書のあて先税関を変更する場合の取扱い)
7―14 令第4条第3項《包括申告書》に規定する包括申告書(以下この項、後記7―16(評価申告の再審査等の結果行う更正等の取扱い)及び7―21(個別評価申告書の事前審査の手続等)において「包括申告書」という。)を提出していたが、当該包括申告書を提出した税関での輸入がなくなり、他の税関で継続輸入されることとなつた場合その他これに準ずる場合において、輸入者が当該包括申告書のあて先税関を他の税関に変更することを希望するときは、当該包括申告書を後記7―15《包括申告書の撤回》により撤回させた上、当該他の税関に対し新たに包括申告書を提出させる。
なお、当初の包括申告書を受理した税関は、その撤回後遅滞なく当該包括申告書その他の関係書類のそれぞれの写しを変更後のあて先税関に送付する。
(包括申告書の撤回)
7―15 包括申告書の提出後において、その申告に係る貨物の取引がなくなり、又は長期間にわたりその貨物の輸入の申告がないことになつたときは、包括申告書の提出先税関に対して、その包括申告書を撤回する旨の申出をさせる。
(評価申告の再審査等の結果行う更正等の取扱い)
7―16 評価申告の再審査等の結果、申告内容が正当でないことが判明した場合等における既往の納税申告に係る課税標準及び税額の更正等の取扱いは、次による。
(1) 包括申告書が提出されている場合の取扱い
イ 包括申告書が提出されている場合において、当該包括申告書の再審査又は事後調査等の結果、当該包括申告書の記載事項(税額の計算に影響を及ぼす事項に限る。)が正当に表示されていない(当該包括申告書の提出後その記載事項に変更があつた場合を含む。)ことが判明したときは、当該包括申告書に係る個々の納税申告で当該記載事項が正当に表示されていないこととなつた日以後の日を法第5条《適用法令》に規定する日(以下この項において「法令適用の日」という。)とするものについて、その課税標準及び税額(以下この項において「税額等」という。)を更正し、又はこれを修正する申告をさせるものとする。
ロ 上記イの場合において、次の各号のいずれかの場合に該当するときは、当該各号に定めるところにより処理するものとする。
(イ) 当該包括申告書の提出後における税関の取扱いの変更により、提出時には正当表示されていた記載事項が正当でなくなつた場合又は提出時には申告を要しなかつた事項が申告を要する事項となつた場合 当該税関の取扱いの変更の日以後の日を法令適用の日とする納税申告について、上記イの処理を行う。
(ロ) その他当該記載事項が正当に表示されていないこととなつた日以後の日を法令適用の日とする納税申告について上記イの処理を行うことが著しく不適当であると認められる場合 上記イにかかわらず、当該記載事項が正当に表示されていないことが判明した日以後の日を法令適用の日とする納税申告について、上記イの処理を行う。
(2) 包括申告書が提出されていない場合の取扱い
令第4条第3項の規定により包括申告書を提出することができる場合であるにもかかわらず包括申告書が提出されていない場合(前記7―11(評価申告書?Tの提出を要しない場合)の規定により提出されていない場合を含む。)において、同条第1項第3号若しくは第4号又は令第4条の2第1項第9号若しくは第10号《評価申告を要する事項》に掲げる事項につき個々の納税申告においても申告されておらず、又は正当に申告されていないことが判明したときは、当該個々の納税申告について上記(1)に準じて処理するものとする。
(3) 事前審査を受けた個別申告書が提出されている場合の取扱い
後記7―20(個別評価申告書の事前審査)の規定による事前審査を受けた個別評価申告書(以下この項において「個別申告書」という。)が提出されている場合において、令第4条第1項第3号若しくは第4号又は令第4条の2第1項第9号若しくは第10号に掲げる事項につき、正当に申告されていないことが判明したときは、当該個別申告書に係る納税申告について上記(1)に準じて処理するものとする。
(個別評価申告書の事前審査)
7―20 前記7―9(評価申告書の提出の方法等)において個別申告方式により提出することとされている評価申告書(以下本項及び次項において「個別評価申告書」という。)について、当該個別評価申告書に係る貨物を輸入しようとする者(委任を受けた通関業者を含む。以下本項及び次項において「輸入者等」という。)が、納税申告前にこれを提出し、その審査(以下本項及び次項において「事前審査」という。)を求める場合は、次のいずれにも該当するときにこれを行うものとする。
(1) 個別評価申告書が令第4条第1項第3号若しくは第4号又は令第4条の2第1項第9号若しくは第10号に掲げる事項を申告するものであるとき。
ただし、次のいずれかに該当する個別評価申告書は除く。
イ 定率法第4条第1項第3号《課税価格決定の原則》のイ、ロ又はハのいずれかに該当するもの
ロ 後記67―4―1(輸入少額貨物の簡易通関扱い)の規定による取扱いを受ける貨物に係るもの
ハ 定率法等の関税等の減免税の規定の適用を受ける貨物に係るもの
(2) 個別評価申告書に係る貨物が納税申告前(原則として本邦到着前)であつて、かつ、事前審査に必要と認められる書類(例えば、売買契約書、仕入書、評価加算・控除額が確認できる帳票類等)の提出が可能であるとき。
なお、前記7―10(評価申告書の提出を要しない場合)の(1)に掲げる場合であつても、輸入者等が個別評価申告書を提出し、事前審査を求めることができることに留意する。
(個別評価申告書の事前審査の手続等)
7―21 前記7―20(個別評価申告書の事前審査)に規定する事前審査の手続は、次による。
(1) 提出書類等
事前審査を受けようとする場合には、包括申告書に係る規定を準用して個別評価申告書の提出を行うものとする。
なお、個別評価申告書のあて先欄には、当該個別評価申告書に係る貨物の納税申告を予定している官署名、申告年月日欄には納税申告の予定日を記入するとともに、当該申告書の関係税関名欄(以下「事前審査欄」という。)には事前審査である旨(例えば「事前審査」)を朱書きする。
(2) 提出官署及び提出部数
事前審査を受けようとする個別評価申告書は、当該個別評価申告書に係る貨物の納税申告を予定している官署(以下本項において「通関予定官署」という。)を管轄する税関に2部提出するものとする。
なお、通関予定官署を経由して提出することが適当と認められる場合は、これを認めて差し支えないものとする。
(3) 事前審査に係る個別評価申告書の受付
事前審査に係る個別評価申告書を受け付けたときは、当該個別評価申告書の事前審査欄に記された「事前審査」等の朱書きの下に受付番号及び受付年月日を付す。
なお、当該個別評価申告書に記載漏れがある場合又は添付書類に不備がある場合には、その旨を輸入者等に通知し、所要の補正等を行わせた上で受け付けるものとする。
おつて、事前審査の過程で必要な書類が提出されない場合又は事前審査に係る個別評価申告書の提出日と納税申告の予定日とが近接している場合には、事前審査を受け付けず、又は、受付番号等を抹消した上で受付を取り消すことができる。
(4) 事前審査の処理等
事前審査に当たつては、事前審査に係る個別評価申告書の申告年月日欄に記入された納税申告の予定日までに審査を終了させるよう努めるものとし、審査が終了した場合は、事前審査欄に審査印(C―5000)を押なつする。
なお、事前審査の過程で、提出された個別評価申告書の内容に異動が生じている場合には、審査の終了前に輸入者等による補正が必要であることに留意する。
おつて、事前審査の終了後に、当該審査を終了した個別評価申告書の内容に異動が生じた場合には、輸入者等からの申し出を受けて、当該個別評価申告書の補正を行う必要があるが、異動の内容によつては事前審査の受付を取り消すこととなるので留意する。
(5) 通関予定官署への送付等
事前審査が終了した個別評価申告書は、原本の写しを通関予定官署に送付(納税申告予定日までに通関予定官署に到着しないことが明らかな場合は、ファクシミリにより送付する。)し、首席関税評価官(首席関税評価官を置かない税関にあっては関税評価官。(6)ロにおいて「首席関税評価官等」という。)においては原本のうち1部を保管し、残る1部は輸入者等に交付の上、納税申告書に添付するよう指導する。
(6) 通関予定官署が変更された場合の取扱い
イ 変更後の通関予定官署が同一税関の管内である場合
輸入者等に事前審査に係る個別評価申告書のあて先欄の訂正を求める。
ロ 変更後の通関予定官署が他税関の管内となる場合
輸入者等に交付済みの個別評価申告書の提出を求め、当該個別評価申告書の審査印等を抹消した上で、輸入者等に返却する。
なお、輸入者等からの希望があり、かつ、納税申告予定日までに一定の期間がある場合には、当該個別評価申告書の輸入者等への返却に代えて、変更後の通関予定官署を管轄する税関(首席関税評価官等)に原本等を送付する。送付を受けた税関においては、(2)の規定による個別評価申告書の提出があつたものとして、処理を行うものとする。
おつて、事前審査の過程で通関予定官署が他税関の管内に所在する官署に変更された場合についても同様に取り扱うものとする。
(7) 事前審査の終了前に納税申告が行われる場合等の取扱い
輸入者等は事前審査の必要がなくなつたとき又は事前審査の終了前に納税申告(予備申告を含む。)を行うときは、速やかに当該事前審査に係る個別評価申告を提出した税関にその旨を連絡する。連絡を受けた税関は受付番号等を抹消の上、当該個別評価申告書を輸入者等に返却する。
なお、輸入者等が事前審査の結論に同意しない旨の意思表示を行つたときについても、同様に取り扱うものとする。
おつて、事前審査が終了していないこと等は、当該事前審査に係る貨物の輸入(納税)申告書等の受理に何らの影響を与えるものではないことに留意する。




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