関税定率法基本通達(昭和47年3月1日蔵関第101号)(抄)
関税評価関係法令等
関税定率法基本通達(昭和47年3月1日蔵関第101号)(抄)
第2節 課税価格の決定
(課税価格の決定方法の適用順序等)
4〜4の8―1 法第4条から第4条の8まで((課税価格の決定方法))の適用順序等は、次のとおりである。
(1) 法第4条から第4条の4まで((課税価格の決定の原則、同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定、国内販売価格又は製造原価に基づく課税価格の決定、特殊な輸入貨物に係る課税価格の決定))は、輸入貨物の課税価格の計算方法を具体的に規定したものであり、各条の適用順序は、当該各条の順による。
なお、法第4条の2((同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定))を適用する場合において、同種の貨物に係る取引価格と類似の貨物に係る取引価格の双方があるときは、同種の貨物に係る取引価格が優先し、また、法第4条の3((国内販売価格又は製造原価に基づく課税価格の決定))を適用する場合において、輸入者が要請するときは、同条第2項((製造原価に基づく課税価格の決定))の規定は、同条第1項((国内販売価格に基づく課税価格の決定))の規定に優先して適用することとなる。
(2) 法第4条の5((変質又は損傷に係る輸入貨物の課税価格の決定))及び法第4条の6((航空運送貨物等に係る課税価格の決定の特例))は、法第4条から第4条の4までの規定により課税価格を計算する場合において、輸入貨物がこれらの条に規定する変質若しくは損傷に係る貨物、航空運送貨物又は輸入者等の個人的な使用に供される貨物であるときは、これらの条に規定する調整を行って当該貨物の課税価格を計算することを規定したものである。
(3) 法第4条の7((価格の換算に用いる外国為替相場))及び法第4条の8((政令への委任))は、それぞれ、外国通貨により表示された価格の本邦通貨への換算に用いる外国為替相場及び課税価格の計算に関して必要な事項についての政令への委任について規定したものである。
(一般的に認められている会計原則の使用)
4〜4の8―2 法第4条から第4条の8までの規定により輸入貨物の課税価格を計算する場合の取扱いは、次による。
(1) 法第4条から第4条の8までの規定により輸入貨物の課税価格を計算するに当たっては、適用条項に関連する国(又は地域)において一般的に認められている会計原則に適合する方法で作成された資料を使用するものとする。したがって、例えば、法第4条の3第1項第1号に規定する「通常の利潤及び一般経費」の計算に当たっては、本邦において一般的に認められている会計原則に適合する方法で作成された資料を使用し、また、法第4条の3第2項に規定する「通常の利潤及び一般経費」の計算に当たっては、輸入貨物の生産国において一般的に認められている会計原則に適合する方法で作成された資料を使用するものとする。また、法第4条第1項第3号ロ((課税価格に含まれる工具等に要する費用))に規定する工具等であって本邦において生産されたものの額の計算に当たっては、本邦において一般的に認められている会計原則に適合する方法で作成された資料を使用するものとする。
(2) 法第4条から第4条の8までの規定により輸入貨物の課税価格を計算する場合において、その前提となる事実の認定は、真実の契約関係に基づいて行うものとする。なお、真実の契約関係は、一義的には輸入者により提出された資料を使用して判断するものとするが、当該資料が真実の契約関係を正確に示していることについて疑義がある場合には、当該疑義の内容を当該輸入者に対して説明のうえ補足説明及び追加資料の提出を求めるものとし、当該補足説明及び追加資料並びにその他の客観的な資料に示されている個別的な事情を総合的に勘案して判断するものとする。
(輸入取引の意義及び取扱い)
4―1 法第4条((課税価格の決定の原則))に規定する「輸入取引」の意義及び取扱いについては、次による。
(1) 「輸入取引」とは、原則として、貨物を外国から本邦に向けて輸出することを目的として行われたときの売買をいい、当該売買は、通常、輸出国(又は第三国)の者と本邦に居住する者との間又は本邦に居住する者の間で行われるものであるが、外国から本邦への当該貨物の輸出を現実にもたらした売買であることを要する。
なお、加工賃方式による逆委託加工貿易取引により外国において加工された貨物が輸入される場合には、加工賃を対価として当該貨物の売買が委託者(買手)と受託者(売手)との間で行われたものとみなし、当該取引を輸入取引とする。
(2) 輸入貨物について複数の売買が行われている次のような場合は、それぞれ以下のとおり取り扱うものとする。
イ 貨物が外国から本邦へ輸出される前に当該貨物を本邦へ向けて輸出する目的で複数の売買が行われた場合には、当該貨物の本邦への輸出を現実にもたらすこととなった売買を輸入取引とする。例えば、次のような場合には、それぞれに定めるところによる。
(イ) 外国の卸売業者と本邦の居住者(以下(イ)において「甲」という。)との間で貨物を外国から本邦へ向けて輸出することを目的とした売買契約が締結された後、甲と本邦の甲以外の居住者(以下(イ)において「乙」という。)との間で当該貨物の売買契約が締結され、甲の指示により、当該貨物が当該卸売業者から本邦へ向けて乙を荷受人として輸出された場合は、当該貨物の本邦への輸出は甲と乙との間の売買により現実にもたらされたものであることから、甲と乙との間の売買が輸入取引となる。
(ロ) 外国の卸売業者と本邦の居住者との間で貨物を当該外国から本邦に向けて輸出することを目的とした売買契約が締結された後、当該契約を履行するために当該卸売業者と当該外国又は第三国の生産者との間で当該貨物の売買契約が締結され、当該貨物が当該生産者から本邦に向けて輸出された場合は、当該卸売業者と当該生産者との間の売買は当該卸売業者と本邦の居住者との間の売買から派生したものに過ぎず、当該貨物の本邦への輸出は当該卸売業者と本邦の居住者との間の売買により現実にもたらされたものであることから、当該卸売業者と本邦の居住者との間の売買が輸入取引となる。
ロ 外国から本邦又は第三国へ輸出することを目的として行われた売買に基づいて外国から輸出された貨物が、本邦又は当該第三国への運送途上において、当該売買の買手と本邦の第三者との間で売買され、当該第三者により本邦に輸入される場合には、当該第三者を買手とする売買を輸入取引とする。
ハ 外国から本邦へ輸出することを目的として行われた売買に基づいて本邦へ到着した貨物が本邦到着後又は保税地域に蔵置中に転売されて輸入される場合には、当該転売は国内取引とし、当該貨物の本邦への到着をもたらすこととなった売買を輸入取引とする。
(課税価格の決定の原則により課税価格を決定することができない輸入貨物)
4―1の2 法第4条の規定により課税価格を計算することができない輸入貨物は、次に掲げる貨物である。
(1) 輸入取引によらない輸入貨物
例えば、次に掲げる貨物がこれに該当する。
イ 無償貨物(例えば、寄贈品、見本、宣伝用物品)
ロ 委託販売のために輸入される貨物(例えば、本邦において開催されるオークションで販売するために受託者により輸入される貨物)
ハ 売手の代理人により輸入され、その後売手の計算と危険負担によって輸入国で販売される貨物
(注) 売手の代理人により輸入される貨物であっても、売手と買手との間で締結された売買契約を履行するために輸入される貨物は輸入取引による輸入貨物に該当し、法第4条の規定により課税価格を計算するものとする。
ニ 賃貸借契約(買取権付であるか否かを問わない。)に基づき輸入される貨物
ホ 送り人の所有権が存続する貸与貨物(例えば、外国の発注者から本邦の製造者に貸与される注文品生産のための特殊機械)
ヘ 同一の法人格を有する本支店間の取引により輸入される貨物
ト 本邦で滅却するために、輸出者が輸入者に滅却費用を支払うことにより輸入される貨物(例えば、廃棄物、スクラップ)
(2) その輸入取引に関し、法第4条第2項第1号から第4号まで(輸入取引に関する特別な事情)のいずれかの号に掲げる事情がある輸入貨物(ただし、同項第4号(売手と買手の間の特殊関係)に該当する場合において、輸入者が同項ただし書(輸入貨物の取引価格が特殊関係により影響を受けていないことの証明)に規定する証明をした場合を除く。)
なお、変質若しくは損傷に係る貨物、航空運送貨物で法令に定めるもの又は輸入者等の個人的な使用に供する貨物は、法第4条の5((変質又は損傷に係る輸入貨物の課税価格の決定))又は第4条の6((航空運送貨物等に係る課税価格の決定の特例))の規定により必要な調整を行って課税価格を計算することとなる。
(売手、買手及び現実支払価格の意義及び取扱い)
4―2 法第4条第1項《課税価格の決定の原則》に規定する「売手」、「買手」及び「現実に支払われた又は支払われるべき価格」(以下「現実支払価格」という。)の意義及び取扱いについては、次による。
(1) 輸入取引における売手及び買手とは、実質的に自己の計算と危険負担の下に輸入取引をする者をいう。具体的には、売手及び買手は自ら輸入取引における輸入貨物の品質、数量、価格等を取り決め、瑕疵、数量不足、事故、不良債権等の危険を負担する。
(2) 令第1条の4において「当該輸入貨物につき、買手により売手に対し又は売手のために行われた又は行われるべき支払の総額(買手により売手のために行われた又は行われるべき当該売手の債務の全部又は一部の弁済その他の間接的な支払の額を含む。)」と規定する現実支払価格とは、買手が売手に対して又は買手が売手の負っている債務を弁済するために第三者に対して、輸入取引の条件として現実に支払った又は支払うべき総額をいい、当該支払は、必ずしも金銭の移転によるものであることを要しない。なお、令第1条の4各号((現実支払価格に含まれない費用等))に掲げるその額が明らかである費用等は現実支払価格に含まれないが、同条各号の規定に関する用語の意義及び取扱いは、次による。
イ 令第1条の4第1号に規定する「据付け」に要する役務の費用は、輸入貨物の据付作業の一環として当該輸入貨物の輸入前に本邦において行われる役務(例えば、据付用土台の設置作業)の費用を含む。
ロ 令第1条の4第1号に規定する「整備」は、輸入貨物の機能を維持するために恒常的に行われる予防的措置をいい、当該輸入貨物の瑕疵を是正するために行われる保証の履行(修繕、取替え)は含まない。(注) 保証費用の取扱いは、後記4−2の4に定めるところによる。
ハ 令第1条の4第3号に規定する「関税その他の課徴金」は、その性質上その額を明らかにすることができることから、現実支払価格に含まれることはない。
(3) 現実支払価格は、輸入貨物の輸入取引に係る仕入書又はこれに代わる書類(以下「仕入書」という。)であって、当該取引の価格その他の条件を正当に表示するものがある場合には、当該仕入書に表示された金額(以下「仕入書価格」という。)に基づき認定するものとするが、例えば、次のような場合には、現実支払価格と仕入書価格とが一致しないこととなるので留意する。
イ 輸入貨物に係る仕入書価格の支払に加えて当該輸入貨物の輸入取引の条件として割増金、契約料等が支払われる場合(この場合の現実支払価格は、仕入書価格に割増金、契約料等を加えた価格である。)
ロ 輸入貨物の売手が買手以外の第三者に対して何らかの債務を負っており、当該債務を買手に弁済させることとし、輸入貨物に係る価格から当該弁済される額を控除した残額を当該輸入貨物の仕入書価格とした場合(この場合の現実支払価格は、仕入書価格に弁済される額を加えた価格である。)
ハ 輸入貨物の売手が買手に対して何らかの債務(例えば、融資金若しくは立替金を返済すべきこと又は過去の輸入取引に係る価格調整金、違約金若しくは損害賠償金を支払うべきこと)を負っており、当該債務の全部又は一部を当該輸入貨物に係る価格の一部と相殺するため、当該債務の額を控除した残額を当該輸入貨物の仕入書価格とした場合(この場合の現実支払価格は、仕入書価格に相殺される額を加えた価格である。)
ニ 輸入貨物の輸入取引に付されている価格調整条項の適用により当該輸入貨物に係る仕入書価格について調整が行われる場合(この場合の現実支払価格は、調整を行った後の輸入貨物に係る価格である。なお、このような価格調整条項のあることが法第4条第2項第2号((課税価格の決定を困難とする条件))に該当すると認められる場合には、この取扱いは適用しないものとする。)
ホ 輸入貨物に係る仕入書価格に令第1条の4各号に規定するその額が明らかである費用等が含まれている場合(この場合の現実支払価格は、仕入書価格から当該費用等の額を控除した価格である。)
(4) 買手が自己のために行う活動のうち法第4条第1項各号((加算要素))に規定する加算の対象となる活動以外の活動に係る支払(例えば、買手のための広告宣伝、販売促進、アフターサービス等に係る支払)は、売手の利益になると認められる活動に係るものであっても、売手に対する間接的な支払に該当しないものとする。したがって、当該活動に係る費用は、現実支払価格に加算しない。
また、買手による売手への配当金の移転その他の支払であって輸入貨物と関係のないもの(例えば、売手から受けた融資に対する金利の支払)は、当該輸入貨物の課税価格に算入しない。
(5) 輸入貨物が、その輸入取引に係る取引条件に従って売手から買手に引き渡されるまでの間に輸出国(積替え国を含む。以下この項において同じ。)で保管される場合、当該保管に要する費用で買手が負担するものは現実支払価格に含まれるものとする。 なお、輸入貨物が、その輸入取引に係る取引条件に従って売手から買手に引き渡された後に、本邦への輸出に先立ち、買手が自己のために当該輸入貨物を輸出国において保管する場合、買手が負担する当該保管に要する費用は現実支払価格に含まれない。ただし、当該保管に要する費用が法第4条第1項第1号((輸入港までの運賃等))に規定する当該輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に関連する費用に該当する場合には、現実支払価格に加算することとなるので留意する(後記4―8(課税価格に含まれる輸入港までの運賃等)(5)イ参照)。
(別払金等がある場合の現実支払価格の算出)
4―2の2 輸入貨物の輸入取引に係る仕入書価格と現実支払価格が一致しないこととなる場合の取扱いは、前記4―2(3)によるほか、次に定めるところによる。
(1) 輸入貨物に係る仕入書価格の支払に加えて、当該輸入貨物の輸入取引の条件として買手により売手に対し又は売手のために行われる何らかの支払(以下「別払金」という。)がある場合の現実支払価格は、当該仕入書価格に別払金を加えた価格である。
(2) 買手による輸入貨物に係る仕入書価格の支払後に、当該輸入貨物の輸入取引に付されている価格調整条項の適用等により当該輸入貨物に係る価格について調整が行われ、別払金の支払が行われる場合の現実支払価格は、当該仕入書価格に当該別払金を加えた価格である。当該輸入貨物に係る関税法第7条第1項((申告))に規定する申告(以下「納税申告」という。)が行われた後に当該調整が行われ、別払金の支払が行われたときも同様である。
(注) この場合は、関税法第7条の14((修正申告))の規定により当該納税申告に係る課税標準又は税額(以下「税額等」という。)を修正する申告がされなければ、同法第7条の16((更正及び決定))の規定により当該税額等を更正することとなることに留意する。
(3) 買手による輸入貨物に係る仕入書価格の支払後に、当該輸入貨物の輸入取引に付されている価格調整条項の適用等により当該輸入貨物に係る価格について調整が行われ、当該支払額の一部が買手に返金された場合の現実支払価格は、当該仕入書価格から返戻金を控除した価格である。当該輸入貨物に係る納税申告が行われた後に当該調整が行われ、買手による返戻金の受領が行われたときも同様である。
(注1) この場合は、当該納税申告をした者は、関税法第7条の15((更正の請求))の規定により当該納税申告に係る税額等につき更正すべき旨の請求をすることができることに留意する。
(注2) 売手が本邦における販売代理店である買手に対して支払うリターン・コミッションの取扱いは、契約内容及び販売代理店としての活動実態等を勘案して個別に判断するものとするが、当該リターン・コミッションは、一般的には国内販売等の費用の補てんとして支払われるものであり、その場合には輸入貨物に係る価格の調整として支払われる返戻金とは認められないので、現実支払価格の算出に際して仕入書価格から控除しないものとする。
(4) 上記(2)及び(3)に定める取扱いは、当該価格調整条項があることが法第4条第2項第2号((課税価格の決定を困難とする条件))に該当すると認められる場合には、適用しない。
(輸入貨物に係る検査費用の取扱い)
4―2の3 輸出国における輸入貨物の検査に要する費用の取扱いは次による。
この場合において「検査」とは、輸入貨物が売買契約に定める品質、規格、純度、数量等に合致しているか否かを確認するための検査又は分析をいう。
(1) 売手(売手の依頼を受けた検査機関等の第三者を含む。)が自己のために行つた検査に要した費用で買手が負担する場合は、課税価格に算入する。
(2) 買手(買手の依頼を受けた検査機関等の第三者を含む。)が自己のために行つた検査に要した費用で買手が負担する場合は、課税価格に算入しない。
なお、売手と買手との合意に基づき検査機関等の第三者が行つた検査に要した費用の全部又は一部を買手が負担する場合の当該買手の負担する検査費用も同様に取り扱つて差し支えない。ただし、買手が検査機関等の第三者に支払う検査費用が売手への間接支払(売手が買手以外の第三者に対して負つている債務を買手が弁済する場合等)に該当する場合は、課税価格に算入する。
(3) 輸入貨物の製造過程において買手が検査を行う場合、当該検査に要する費用は、課税価格に算入しない。ただし、検査と合わせて製造作業に従事している場合は、当該業務を行う者に係る費用は売手のために行われた間接支払に該当するので留意する。
なお、「製造作業」及び「当該業務を行う者に係る費用」とは、次のような作業及び費用をいう。
イ 製造作業
(イ) 加工又は生産のための作業
(ロ) 生産管理
(ハ) 工程管理
(ニ) 加工又は生産のための運搬等
ロ 当該業務を行う者に係る費用
(イ) 渡航費(支度金を含む。)
(ロ) 滞在費
(ハ) 人件費(内地給与及び賞与を含む。)
(ニ) 留守宅手当
(ホ) その他これらに類する費用
(輸入貨物に係る保証費用の取扱い)
4―2の4 輸入貨物に係る保証費用の取扱いは次による。 この場合において「保証」とは、当事者間で合意された所定の条件を満たす場合に行われる対象貨物に係る瑕疵の是正(修繕、取替え又はそれらに要した費用の補填)をいい、いわゆるワランティ(Warranty)又はギャランティ(Guarantee)と称されるものがこれに該当する。なお、輸入貨物が輸入された後、当該輸入貨物に係る保証の履行として当該輸入貨物の買手に対して交換部品等が外国から無償で提供される場合、当該部品等は輸入取引により輸入される貨物には該当せず、当該部品等の課税価格は法第4条の2以下の規定により計算する。
(1) 輸入貨物の輸入取引に係る契約において売手が買手に対して当該輸入貨物に係る保証を履行することとなっている場合で、売手が負担する当該保証の費用を考慮して当該輸入貨物の価格が設定されているときは、当該費用は現実支払価格に含まれ、その額を明らかにすることができる場合であっても、現実支払価格から控除しない。また、売手が当該費用を買手に対して仕入書価格とは別に請求し、買手が当該費用を支払う場合は、当該費用の額は仕入書価格に加算され、現実支払価格に含まれる。
(2) 輸入貨物の輸入取引に係る契約において売手が買手に対して当該輸入貨物に係る保証を履行することとなっている場合で、売手が第三者との間で締結した保証契約により当該保証履行義務を当該第三者に移転し、買手が売手からの指示により当該保証の費用を当該第三者に支払うときは、当該費用は売手に対する間接支払に該当し、現実支払価格に含まれる。
(3) 売手と買手との間で輸入貨物の輸入取引に係る契約とは別に、売手が買手に対して当該輸入貨物に係る保証を履行する契約を締結し、買手が売手に対して当該輸入貨物の代金と当該保証の費用を各々支払う場合、売手が買手に対して当該輸入取引の条件として当該保証契約の締結を義務付けているときは、当該費用は現実支払価格に含まれる。
(4) 輸入貨物の買手が自己のために当該輸入貨物に係る保証の取決めを行い、当該保証の費用を負担するときは、当該費用は現実支払価格に含まれず、また、法第4条第1項各号((加算要素))に掲げる費用等にも該当しない。
(現実支払価格と数量値引きとの関係)
4―3 輸入貨物の売手が数量値引き(貨物の取引数量に応じた当該貨物の価格の割引き)を行うこととしている場合で、当該輸入貨物に係る納税申告の際に当該値引きが行われることが確定しており、かつ、当該値引き後の価格が買手により現実に支払われるときは、当該値引き後の価格が法第4条第1項に規定する現実支払価格となる。具体的には、次による。
(1) 売手が個々の輸入取引における取引数量に応じて値引きを行うこととしている場合において、買手が値引きの適用される数量の貨物を購入し、当該貨物について当該値引き後の価格を現実に支払うときは、当該貨物が分割して輸入され、個々の納税申告に係る輸入貨物の数量が当該値引きの適用される数量に満たない場合であっても、当該値引き後の価格が現実支払価格となる。
例
(数量) | (値引き) | (単価) |
1〜9単位 | なし | 100 |
10〜49単位 | 5% | 95 |
50単位以上 | 10% | 90 |
(数量) | (値引き) | (単価) | (買手の支払額) |
27単位 | 5% | 95 | 2,565(=27×95) |
この場合、5%の数量値引き後の単価(95)に基づく支払額(2,565)が現実支払価格となり、当該27単位について9単位ずつ3回に分割して輸入される場合にも、5%の数量値引き後の単価(95)に基づく支払額(各855)が現実支払価格となる。
(2) 売手が特定の期間(例えば1暦年)における累積取引数量に応じて値引きを行うこととしている場合において、買手による当該期間における累積取引数量が値引きの適用される数量となったため、買手が納税申告に係る輸入貨物について当該値引き後の価格を現実に支払うときは、当該値引き後の価格が現実支払価格となる。
なお、買手が当該輸入貨物について支払う価格が、当該値引きに加えて当該値引きが適用される前に輸入された貨物に係る遡及値引き相当額を控除した価格であるときは、当該遡及値引き相当額の控除は売手が買手に対して負っている債務を当該輸入貨物に係る価格の一部と相殺するものであることから容認されず、当該遡及値引き相当額は現実支払価格に含まれる(前記4―2(3)ハ参照)。
(注) 過去に輸入された貨物に係る現実支払価格は、当該貨物に係る納税申告の時点において遡及値引きが適用されることとなっていた場合は、当該遡及値引き後の価格となる。
例
イ 遡及値引きがない場合
(年間累計取引数量) | (値引き) | (単価) |
1〜9単位 | なし | 100 |
10〜49単位 | 5% | 95 |
50単位以上 | 10% | 90 |
(年間累計取引数量) | (値引き) | (単価) | (買手の支払額) |
30単位 | 5% | 95 | 2,850 (=30×95) |
この場合、5%の数量値引き後の単価(95)に基づく支払額(2,850)が現実支払価格となる。
(年間累計取引数量) | (値引き) | (単価) | (買手の支払額) |
70単位 | 10% | 90 | 3,600 (=40×90) |
この場合、10%の数量値引き後の単価(90)に基づく支払額(3,600)が現実支払価格となる。
ロ 遡及値引きがある場合
(年間累計取引数量) | (値引き) | (単価) |
1〜9単位 | なし | 100 |
10〜49単位 | 5% | 95 |
50単位以上 | 10% | 90 |
(年間累計取引数量) | (値引き) | (単価) | (買手の支払額) |
30単位 | 5% | 95 | 2,850 (=30×95) |
この場合、5%の数量値引き後の単価(95)に基づく支払額(2,850)が現実支払価格となる。
(年間累計取引数量) | (値引き) | (単価) | (遡及値引き) | (買手の支払額) |
70単位 | 10% | 90 | 150 | 3,450 |
|
|
| (=30×5) | (=40×90-150) |
この場合、累計取引数量が70単位となったことから、1回目の輸入取引に係る30単位の貨物に関しても10%の数量値引きが遡及的に適用されることとなり、40単位の貨物に係る10%の数量値引きに加えて、当該30単位の貨物に関して既に行われた5%の数量値引きとの差額分(150)に相当する遡及値引きも併せて適用され、当該2の値引き後の価格(3,450)が支払われるが、当該遡及値引きについては売手が買手に対して負っている債務の相殺に当たることから容認されず、当該40単位の輸入貨物自体に係る10%の数量値引き後の単価(90)に基づく支払額(3,600)が現実支払価格となる。
(注) 1回目の輸入取引に係る30単位の貨物について、当該貨物に係る納税申告の時点において遡及値引きが適用されることとなっていた場合は、当該貨物に係る現実支払価格は当該遡及値引き後の価格(2,700)となる。
(現実支払価格と決済条件との関係)
4―4 法第4条第1項に規定する現実支払価格と決済条件との関係については、次による。
(1) 法第4条第1項に規定する現実支払価格は、輸入取引における実際の決済条件に対応する価格である。したがって、輸入貨物に係る輸入取引の決済条件が当該輸入貨物若しくはその船積書類の受領と同時又はそれ以前に代金を支払う条件である場合には、当該決済条件に基づき現実に支払われる価格が現実支払価格となる。
(2) 輸入貨物の輸入取引に係る契約において現金値引きが取り決められている場合の取扱いは、次による。
イ 当該輸入貨物に係る納税申告の時までに当該値引き後の価格が買手により現実に支払われているときは、当該価格が現実支払価格となる。
ロ 当該輸入貨物に係る納税申告の時までに代金が支払われていない場合であっても、買手が当該値引き後の価格を現実に支払うことを予定しているときは、当該値引き後の価格を現実支払価格として取り扱って差し支えない。ただし、当該輸入貨物に係る納税申告が行われた後に、当該値引きが適用されないことが明らかになったときは、関税法第7条の14((修正申告))の規定により当該納税申告に係る税額等を修正する申告がされなければ、同法第7条の16((更正及び決定))の規定により当該税額等を更正することとなることに留意する。
(3) 輸入貨物に係る輸入取引が延払条件付取引(当該輸入貨物又はその船積書類の受領後に代金を支払う条件が付された取引をいう。)である場合において、延払金利の額が明らかであるときは、当該延払金利の額は、現実支払価格に含まれないこととなるので留意する(令第1条の4第4号)。
この場合において「延払金利の額が明らかであるとき」とは、次のすべての要件を充足する場合をいう。
イ 延払金利の額が現実支払価格と区別されていること
ロ 延払金利に関する取決めが書面で行われていること
ハ 税関が要請する場合、買手は次の事項を挙証する資料等を提示することができること
(イ) 現実支払価格(延払金利の額を含まない。)として申告した価格で、貨物が現実に販売されていること
(ロ) 当該取引に係る延払金利の利率が、金融を与えられた国及び時点における一般的な水準を超えていないこと
なお、本規定は、法第4条第1項の規定により課税価格を計算する方法以外の方法によって計算する場合にも準用する。
(データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアの評価)
4―5 データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアの評価については、次による。
(1) 用語の意義 この項において用いる用語の意義は、それぞれ次による。
イ 「ソフトウェア」とは、データ処理機器の運用に関係する計算機プログラム、手順、規則又はデータ処理機器に使用されるデータをいう。ただし、サウンド、シネマチック及びビデオ・レコーディングは含まない。
ロ 「キャリアメディア」とは、磁気テープ、メタルテープ、磁気ディスク、カードその他これらに類するものでソフトウェアを運搬又は貯蔵するための物品をいい、集積回路、半導体及び類似のデバイス並びにこれらの回路やデバイスを組み込んだ物品を含まない。
(2) 評価上の取扱い
イ ソフトウェアを記録しているキャリアメディアの課税価格は、当該ソフトウェアの価格がキャリアメディアの価格と区別される場合はキャリアメディアの価格とする。
ロ キャリアメディアの価格には、キャリアメディア自体の価格、ソフトウェアをキャリアメディアに記録するための費用等を含む。
(3) 税関における確認の時期及び方法 ソフトウェアの価格がキャリアメディアの価格と区別されているか否かの確認は、原則として当該キャリアメディアに係る納税申告の時、仕入書等の関係書類に基づいて行う。
(注) この項の規定は、ソフトウェアがキャリアメディア以外の貨物に記録又は内蔵されている場合の当該ソフトウェアの評価上の取扱を定めたものではない。
(輸出国において輸出の際に軽減又は払戻しを受けるべき関税その他の課徴金の意義)
4―6 法第4条第1項に規定する「輸出国において輸出の際に軽減又は払戻しを受けるべき関税その他の課徴金」とは、輸出国において課せられるべき関税、内国消費税その他の課徴金であつて、輸出国の法令の規定によつて、当該貨物の輸出を条件として軽減(免除を含む。)又は払戻しをされるものをいう。
なお、一般には、このような関税その他の課徴金は仕入書価格に含まれていないので、実務上、課税価格の調査に際しては、原則として、これらに関する調査は必要ないので留意する。
(現実支払価格への運賃等の加算)
4―7 法第4条第1項の規定に基づき、現実支払価格に同項各号に掲げる運賃等の額を加算する場合の取扱いは、次による。
(1) 現実支払価格に同項各号に掲げる運賃等の額を加算する場合には、当該運賃等の額で当該現実支払価格に含まれていないものを加算する。
(2) 同項各号に掲げる運賃等の額の加算は、客観的なかつ数値化された資料に基づいて行う。なお、当該運賃等を加算する必要がある場合において、当該運賃等に係る客観的なかつ数値化された資料がないときは、法第4条の2以下の規定により課税価格を計算する。
(3) 複数の輸入貨物に係る同項各号に掲げる運賃等が一括して支払われる場合には、原則として、個々の輸入貨物に関連する額をあん分して当該輸入貨物の課税価格に算入する。ただし、次に掲げる費用等の額の加算について輸入者から要請があり、かつ、課税上その他特に支障がないと認められるときは、当該費用等の額は、便宜特定の輸入貨物の課税価格に一括して算入することとして差し支えない。
イ 同項第3号に掲げる費用
ロ 同項第1号、第2号、第4号及び第5号に掲げる費用等であって、個々の輸入貨物へのあん分が困難と認められるもの
なお、本規定は、別払金がある場合において前記4―2の2の規定により現実支払価格を算出するとき及び法第4条第1項の規定により課税価格を計算する方法以外の方法によって課税価格を計算する場合についても準用する。
(課税価格に含まれる輸入港までの運賃等)
4―8 法第4条第1項第1号((課税価格に含まれる輸入港までの運賃等))の規定に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
(1) 「輸入港」とは、本邦において外国貿易船又は外国貿易機から輸入貨物の船卸し又は取卸し(仮陸揚げを除く。以下「船卸し等」という。)がされた港をいう。
(2) 「輸入港に到着する」とは、単に輸入港の港域に到着することを意味するのではなく、輸入貨物の船卸し等ができる状態になることをいう。
(3) 「輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」とは、輸入貨物を輸入港まで運送するために実際に要した運送費用をいい、当該輸入貨物の輸出港までの運送費用を含み、次に掲げる場合には、それぞれに定めるところによる。
イ 輸入貨物が運送契約に基づき運送された場合は、当該運送契約に基づき当該運送の対価として運送人又は運送取扱人等に最終的に支払われる費用をいい、次の(イ)から(ニ)に掲げる費用を含む。
なお、輸入貨物が最低運賃(Minimum Freight)又はパーセル運賃(Parcel Freight)が適用される少量貨物である場合は、実際に支払われる当該最低運賃又はパーセル運賃をいう。
また、輸入貨物が積載数量を特約した航海用船契約に基づき運送された場合は、実際の積載数量が当該特約数量に満たなかったときであっても、当該契約に基づき実際に支払われた運賃をいう。ただし、実際の積載数量が特約数量より著しく少ない場合には、当該支払われた運賃に合理的な調整を加えて「通常必要とされる当該輸入港までの運賃等」(後記(8)参照)を計算する。
(イ) 輸入貨物を運送するために要した積付資材費、船舶改装費(運送終了後に復旧する場合にあっては、当該復旧に要する費用を含む。)等の費用
(注) 当該費用が2回以上の運送のためのものであるときは、原則として、運送回数、数量等を考慮してあん分した当該運送に要した額
(ロ) 航海用船契約に基づき輸入貨物の運送をした船舶の復路の積荷がない場合における空船回漕料
(ハ) 為替相場の変動による補てん金
(ニ) コンテナー賃借料(輸入港到着日(入港日を含む。)までの期間に対応する額が明らかな場合には、当該賃借料の額は、当該期間に対応する額によるものとし、輸入港到着日の翌日以降の期間に対応する額を含まないものとする。)
ロ 輸入貨物が運送貨物を積載しないで引渡港から輸入港まで自力運航により直行した船舶又は航空機である場合は、当該船舶又は航空機の燃料費、乗組員費等当該運航に要した費用をいう。
ハ 輸入貨物が買手の所有する船舶(航空機)又は買手が定期(期間)用船(機)し若しくは裸用船(機)した船舶(航空機)により運送された場合は、当該船舶(航空機)の減価償却費又は用船(機)料に、燃料費、乗組員費、保険料等の費用を加えたものをいう。ただし、当該運送の状況を勘案して、通常必要とされる費用の額を著しく超える費用の額がある場合には、当該著しく超える額を控除するものとする。
ニ 輸入貨物が用船契約に基づき船舶により運送された場合において、当該船舶が当該用船契約において約定された許容停泊期間を超えて停泊したことにより用船者が船主に対し支払う割増料金(輸入港到着後の滞船料を除く。)は、運賃に含まれるものとして取り扱う。ただし、実際の停泊期間が船舶の大きさ、港湾の状況等に応じて標準的な許容停泊期間と認められる期間を著しく超える場合であって、その発生原因からみて当該支払金を課税価格に算入することが適当でないと認められるような特別の事情があるときは、この限りでない。
ホ 輸入貨物が用船契約に基づき船舶により運送された場合において、当該用船契約において予定された航海日数を超える航海日数を要したことにより用船者が船主に対し支払う割増料金は、運賃に含まれるものとして取り扱う。ただし、実際の航海日数が船舶の性能、航路の状況等に応じて標準的な航海日数と認められる日数を著しく超える場合であって、その発生原因からみて当該支払金を課税価格に算入することが適当でないと認められるような特別な事情があるときは、この限りでない。
(4) 「保険料」とは、輸入貨物の輸入港までの運送に関して実際に要した保険料をいい、当該輸入貨物の輸出港までの運送に係る保険料を含み、次に掲げる場合には、それぞれに定めるところによる。
イ 輸入貨物に保険が付されていない場合は、通常必要とされる保険料を見積もることとはならない。
ロ 輸入貨物に付された保険がFuller Conditionによる保険(分損担保を基本とし、これにより担保されない雨淡水濡れ担保、汗蒸れ担保等を付加するもの)等で、損害がなかった場合に保険料の一部が払い戻されることとなっており、かつ、納税申告時の状況により払い戻される保険料の額が明らかである場合は、当該払い戻される額を控除した保険料をいう。
ハ 輸入貨物に保険が付されている場合であって、当該輸入貨物に係る納税申告時に当該保険料の額が明らかでないことを理由として、輸入者が、輸入申告実績に基づき通常要すると認められる保険料の額として税関長が公示する額を当該輸入貨物に係る保険料として申告するときは、これを認めても差し支えないこととする。ただし、以下について留意する。
(イ) 当該輸入貨物に係る納税申告が行われた後に実際に要した保険料の額が申告額と異なることが明らかになったときは、関税法第7条の14((修正申告))の規定により当該納税申告に係る税額等を修正する申告がされなければ、同法第7条の16((更正及び決定))の規定により当該税額等を更正することとなること
(ロ) 納税申告が上記の公示額により行われた場合で、上記(イ)により当該納税申告の修正又は更正が行われたときは、関税法第12条第6項((延滞税の免除))に規定する「やむを得ない理由により税額等に誤りがあつたため」に該当しないこと
(ハ) 納税申告が上記の公示額により行われた場合で、上記(イ)により当該納税申告の修正又は更正が行われたときは、関税法第12条の2第3項((過少申告加算税))に規定する「正当な理由」に該当しないこと
ニ 上記ハに規定する「税関長が公示する額」の意義及び取扱いは、次による。
(イ) 「税関長が公示する額」とは、暦年(1月から12月)の輸入申告実績に基づき通常要すると認められる保険料の額であり、当該輸入申告実績を基に関税局長が毎年決定することとする。
(注) 上記の額は、輸入申告実績における保険料又はC&F価格に対する保険料比率の中央値(メディアン)を参照して決定する。
(ロ) 関税局長は、上記(イ)により決定される額を、その公示日及び適用対象期間並びに算出根拠も含めて税関長に通知することとする。
(ハ) 税関長は、上記(ロ)の通知を受けた場合には、公示日から当該額の適用対象期間が終わるまでの間、本関、各税関支署、各税関出張所及び各税関支署出張所において、当該額を公示することとする。
(5) 「その他当該運送に関連する費用」とは、輸入貨物の輸入港までの運送に付随して発生する積卸しその他の役務の対価として支払われる費用をいい、次に掲げる費用を含む。
イ 輸出国における積込み前の一時的保管料 例えば、輸出国の工場渡価格で購入された貨物が、船積予定船の到着遅延により、当該船舶が到着するまでの間一時的に輸出港で保管される場合の当該保管に要する費用
ロ 輸出の際に税関手続等に要した費用
ハ 輸出国において要したコンテナー・サービス・チャージ
(6) 輸入港までの運賃等は、買手により負担されるものであるか否かを問わず、現実支払価格に含まれていない限度において、当該現実支払価格に加算する。例えば、次に掲げる場合は、それぞれに定めるところにより取り扱う。
イ 輸入取引に係る契約において輸入貨物の輸入港までの運賃を売手が負担することとされている場合(CFR又はCIF契約等の場合)は、当該運賃は現実支払価格に含まれているものとして取り扱い、当該輸入貨物を輸入港まで運送するために実際に要した運送費用の額を確認することは要しない。ただし、買手が現実支払価格のほかに当該輸入貨物の輸入港までの運送費用を別途負担するときは、買手による当該別途負担額を当該現実支払価格に加算する。
ロ 輸入取引に係る契約において輸入貨物の輸入港までの運賃を買手が負担することとされている場合(FOB契約等の場合)は、当該運賃は現実支払価格に含まれていないものとして取り扱い、当該輸入貨物を輸入港まで運送するために実際に要した運送費用の額を、その負担者を問わず、当該現実支払価格に加算する。
ハ 輸入取引に係る契約において船舶により運送されることとされていた輸入貨物が航空機によって運送された場合の取扱いは、法第4条の6第1項((航空運送貨物に係る課税価格の決定の特例))の規定の適用を受ける場合を除き、次による。
(イ) 当該契約において売手が輸入港までの運賃を負担することとされていた場合(CFR又はCIF契約等の場合)は、当該運送方法の変更に伴う費用を買手が負担するときは、買手による当該負担額を現実支払価格に加算するが、当該運送方法の変更に伴う費用を売手が負担するときは、売手による当該負担額は現実支払価格に含まれているものとして取り扱う。
(ロ) 当該契約において買手が輸入港までの運賃を負担することとされていた場合(FOB契約等の場合)は、当該運送方法の変更に伴う費用の額を、その負担者を問わず、現実支払価格に加算する。ただし、当該運送方法の変更に伴う費用が、当該契約における取決めに従って売手により負担される場合は、売手による当該負担額は現実支払価格に含まれているものとして取り扱う。
(7) 輸入港までの運賃等は、次に掲げるような輸入貨物の輸入港到着後の運賃等を含まない。ただし、当該輸入港到着後の運賃等の額が明らかでなく、当該明らかでない額を含んだものとしてでなければ把握できない場合は、当該明らかでない額を含んだ額を輸入港までの運賃等として取り扱う。
イ 輸入港における船卸し等の費用(例えば、船内荷役、沿岸荷役その他これらに類する荷役のための費用)
ロ 国内運賃
ハ 輸入税保険(Duty Insurance)に係る保険料
ニ 国内運送に係る保険料
ホ 輸入貨物の運送に関連する「着払運賃取扱料」(Collect Charge)及び「立替手数料」(Disbursement Fee)
(8) 輸入港までの運賃等は、輸入貨物(法第4条の6第1項((航空運送貨物に係る課税価格の決定の特例))に規定する貨物に該当するものは除く。)の運送が特殊な事情の下において行われたことにより、当該輸入貨物の実際に要した当該輸入港までの運賃等の額が当該輸入貨物の通常必要とされる当該輸入港までの運賃等の額を著しく超えるものである場合には、当該通常必要とされる当該輸入港までの運賃等による(令第1条の5第1項)。この場合において、「通常必要とされる当該輸入港までの運賃等」とは、当該貨物の種類及び数量並びに運送条件(運送手段の種類、運送経路等をいう。)等を勘案して、通常必要とされると認められる輸入港までの運送のための運賃等をいい、例えば、次に掲げる場合は、「通常必要とされる当該輸入港までの運賃等の額を著しく超えるものである場合」に該当するものとして、それぞれに定める運賃等を「通常必要とされる当該輸入港までの運賃等」として取り扱う。
イ 輸入貨物の輸入取引に係る契約(運送条項を含む契約に限る。)又は輸入貨物の運送契約の成立の時以後に、天災、戦争、動乱、港湾ストライキ等当該貨物の輸出者(売手を含む。)又は輸入者(買手を含む。)の責めに帰し難い理由により、当該契約に基づく運送方法及び運送経路により運送することができなかった場合・・・・・・実際の運送方法及び運送経路のいかんにかかわらず、当該契約が前提とする運送方法及び運送経路により運送されたものとした場合の通常の運賃
ロ 運送契約に係る揚港若しくは入港順位を変更し、又は積港若しくは揚港を追加したため割増料金を支払っている場合において、当該割増料金の額が、変更後の揚港で船卸し等をし若しくは変更後の入港順位で寄港し、又は追加後の積港若しくは揚港で積込み若しくは船卸し等をすることを条件として運送契約をしていたものとした場合に支払うことを要したと認められる割増料金の額(例えば、運送距離の増加により必要とされる額)を著しく超えることとなった場合・・・・当該支払うことを要したと認められる割増料金の額(後記(注)参照)
この場合において、当該支払うことを要したと認められる割増料金の額は、原則として、当該変更又は追加に係る貨物の課税価格に含めるものとするが、運送委託者からこれと異なる運賃の計算について申出(運送委託者が複数の場合には、全運送委託者の合意に基づく申出)があり、課税上支障がないと認められるときは、当該申出に係る計算方法によって差し支えない。
(注) 当初から当該変更後又は追加後の条件により運送契約をしていたものとした場合に支払うことを要しなかったと認められる額(例えば、揚地変更に伴う荷繰りに要する費用)は、通常必要とされる運賃等に含まれない。
(課税価格に含まれる仲介料その他の手数料)
4―9 法第4条第1項第2号イ《課税価格に含まれる仲介手数料その他の手数料》に規定する「仲介料その他の手数料(買付手数料を除く。)」の意義及び取扱いについては、次による。
(1) 「仲介料その他の手数料」のうち、「買付手数料」以外のものは、課税価格に算入する。
(2) 「仲介料その他の手数料(買付手数料を除く。)」とは、輸入取引の売手と買手との間にあつて、これらの者のために当該輸入取引の成立及び履行のための業務を行う者に対する手数料(下記(3)に該当するものを除く。)をいい、次のような手数料は、これに該当する。
(注) 当該手数料の額は、通常、当該業務の内容に応じ当該輸入取引の額(輸入貨物代金)に対する百分率として約定されることに留意する。
イ 売手及び買手のために輸入取引の成立のための仲介業務を行う者に対し買手が支払う手数料
ロ 輸入貨物の売手による販売に関し当該売手に代わり業務を行う者に対し買手が支払う手数料この場合において、「売手に代わり業務を行う者」とは、売手の管理の下で、売手の計算と危険負担により次のような業務を行う者をいう。
(イ) 契約の成立までの業務(例えば、買手を探し、買手から注文を取る業務)
(ロ) 商品の引渡しに関する業務(例えば、貨物を保管し、配送を手配する業務)
(ハ) その他(例えば、クレーム処理に関する交渉を行う業務)
ハ 輸入取引に関連して売手以外の者に対して買手が支払う手数料
(注) 当該手数料が「仲介料その他の手数料(買付手数料を除く。)」に該当するか否かの判断は、コンサルタント・フィ、情報提供手数料等の名称のみによるものではなく、当該手数料を受領する者が輸入取引において果たしている役割及び提供している役務の性質を考慮して行うものとする。
(3) 「買付手数料」とは、輸入貨物の購入に関し外国において買手に代わり業務を行う者に対し買手が支払う手数料をいい、その認定は、当該手数料の名称のみによるものではなく、当該手数料を受領する者が輸入取引において果たしている役割及び提供している役務の性質を考慮して行うものとし、具体的には、次による。
(注) 買付手数料は、通常、貨物代金とは別に支払われること、また、その額は、通常、手数料を受領する者が輸入貨物の購入に関し買手に代わり行う業務の内容に応じ当該輸入貨物代金に対する百分率として約定されることに留意する。
イ 手数料を受領する者が「買手に代わり業務を行う者」であることが、買付委託契約書等の文書により明らかであること
この場合において、「買手に代わり業務を行う者」とは、買手の管理の下で、買手の計算と危険負担により次のような業務を行う者をいう。
(注) 当該手数料を受領する者が売手又は売手と特殊関係にある者と特殊関係にある場合には、売手の計算と危険負担の下で活動している可能性が高いことに留意する。
(イ) 契約の成立までの業務(例えば、供給者を探し、買手の要求を売手に通知し、見本を集める業務)
(ロ) 商品の引渡しに関する業務(例えば、貨物を検査し、貨物についての付保、運送、保管、引渡しを手配する業務)
(ハ) 決済の代行に関する業務(ただし、手数料を受領する者が自己の資金により輸入貨物代金の支払を行う場合には、自己の計算と危険負担の下で活動し荷主としての損失を被っていたり又は利益を得ていたりする可能性があることに留意する。)
(ニ) その他(例えば、クレーム処理に関する交渉を行う業務)
ロ 手数料を受領する者が「輸入貨物の購入に関し買手に代わり業務」を実際に行っているという実態の存在が文書や記録その他の資料により確認できること
ハ 税関の要請がある場合には、売手と買手との間の売買契約書、輸入貨物の売手(製造者等)が買手にあて作成した仕入書等を提示することが可能であること
(注) 手数料を受領する者が買手にあて輸入貨物代金と手数料を併記した仕入書を作成している場合には、当該手数料を受領する者が当該輸入貨物の売手となる可能性があることに留意する。
なお、手数料を受領する者が、上記イに掲げるような輸入貨物の購入に関し買手に代わり行う通常の業務に加えてその他の役務(例えば、当該輸入貨物を工場から輸出港又は輸出場所へ輸送することについて手配するのではなく、自ら貨物を輸送する等)を提供し、当該役務の対価を含む手数料を買手が支払う場合、当該手数料の総額を買付手数料に該当するものとして取り扱うことはできない。ただし、当該手数料のうち、輸入貨物の購入に関し買手に代わり行う通常の業務の対価であることを買手が証明した額は、買付手数料に該当するものとして取り扱うものとする。
(課税価格に含まれる容器の費用)
4―10 輸入貨物の容器の費用については、当該費用が輸入取引に関し買手により負担される場合には法第4条第1項第2号ロ《課税価格に含まれる容器の費用》に規定する費用に該当し、当該容器が輸入貨物の一部を構成する場合で当該費用が当該輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して、買手により無償で又は値引きをして直接又は間接に提供された物品又は役務に係るものである場合には、同項第3号《買手が無償で又は値引きをして提供した物品又は役務の費用》に規定する費用に該当する。
なお、「容器」とは、法別表関税率表の解釈に関する通則5《ケースその他これに類する容器並びに包装材料及び包装容器の取扱い》の規定により「当該物品に含まれる」ものとされるケースその他これに類する容器及び包装容器をいい、法第14条第11号《再輸入する容器の無条件免税》、第14条の2《再輸入減税》又は第17条第1項第2号《再輸出する容器の免税》の規定により、関税が軽減され又は免税されるものを除くものとする。
(課税価格に含まれる包装に要する費用)
4―11 輸入貨物の包装に要する費用については、当該費用が輸入取引に関し買手により負担される場合には法第4条第1項第2号ハ《課税価格に含まれる包装に要する費用》に規定する費用に該当し、当該包装が輸入貨物の一部を構成する場合で当該費用が当該輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して、買手により無償で又は値引きをして直接又は間接に提供された物品又は役務に係るものである場合には、法第4条第1項第3号《買手が無償で又は値引きをして提供した物品又は役務の費用》に規定する費用に該当する。
なお、法第4条第1項第2号ハ《課税価格に含まれる包装に要する費用》に規定する「包装に要する費用」には、材料費のほか、人件費その他の費用を含むものとする。
(課税価格に含まれる物品及び役務に要する費用)
4―12 法第4条第1項第3号《課税価格に含まれる物品及び役務に要する費用》に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
(1) 「材料、部分品又はこれらに類するもの」には、商標ラベル、商品ラベル等(我が国の法律等に基づき表示することが義務付けられている品質表示が併せて表示されているものを含む。)を含むものとする。ただし、食品衛生法に基づく品名、原産国、原材料等の表示ラベル、家庭用品品質表示法に基づく繊維製品に対する品質、洗濯ラベル等我が国の法律等に基づき表示することが義務付けられている事項のみが表示されているラベルは除く。
(2) 「工具、鋳型又はこれらに類するもの」には、機械、設備、金型、ダイス等を含むものとする。
(3) 「当該輸入貨物の生産の過程で消費された物品」には、燃料、触媒等を含むものとする。
(4) 「技術、設計その他当該輸入貨物の生産に関する役務で政令で定めるもの」(以下、この項において「技術等」という。)とは、当該輸入貨物の生産のために必要とされた技術、設計、考案、工芸及び意匠であつて本邦以外において開発されたものをいい(令第1条の5第2項)、例えば、次のような場合がこれに該当する。
この場合において、「本邦以外において開発された」とは、実際の作成が、本邦以外の場所で行われたことをいい、当該技術等に係る契約が締結された場所、作成者の国籍は問わないので留意する。
イ 買手が外国において開発された製法に係る技術(ノウハウを含む。)を有償で取得し、当該技術を無償で海外の生産者に提供し、これに基づき輸入貨物を生産させた場合
ロ 買手が外国において作成された意匠を購入し、当該意匠を無償で海外の生産者に提供し、これに基づき輸入貨物を生産させた場合
(5) 同号に掲げる物品及び技術等に要する費用の額は、次に定めるところによる。
イ 同号イからハまでに掲げる物品に要する費用の額は、買手が当該物品を自己と特殊関係にない者から取得した場合には、当該物品の当該買手による取得価格によるものとし、買手が当該物品を自己と特殊関係にある生産者から取得し又は買手が自らこれを生産した場合には、当該物品の生産費によるものとするが、当該物品が輸入貨物の生産のために提供される前に使用されたものである場合には、当初の取得価格又は生産費は、その使用度に応じて減額するものとする。この場合において、「取得価格」には、当該物品を取得するために要する費用を含むものとする。
なお、次のような場合には、各々に定める方法により費用の額を計算するものとする。
(イ) 買手により提供された物品中に生産ロスを見込んだスペア部品等が含まれている場合には、当該スペア部品等を含む費用の総額とする。
(ロ) 買手により提供された同号ロに掲げる物品(工具等)を使用して輸入貨物の生産が行われた場合において、生産された貨物のうち一部を買手が輸入し、残余を生産国で販売し又は第三国へ輸出しているときは、工具等の費用の総額を本邦輸入分と生産国での販売分等にあん分した額とする。
(ハ) 買手により提供された同号ロに掲げる物品(工具等)の生産のために役務(技術、設計、考案、工芸及び意匠をいう。)が必要とされた場合において、当該物品の取得価格又は生産費に当該役務の費用が含まれているときは、当該役務が開発された場所のいかんにかかわらず、当該役務の費用を含む額とする。
ロ 同号ニに掲げる技術等に要する費用の額は、買手が当該技術等を自己と特殊関係にない者から購入し又は賃借した場合には、当該技術等の購入費又は賃借料の額によるものとし、買手が当該技術等を自己と特殊関係にある開発者から購入若しくは賃借し又は買手が自らこれを開発した場合には、当該技術等の開発費によるものとする。なお、その権利が消滅状態にある技術等については、当該技術等に係る資料の写しを入手するための費用の額によるものとする。
ハ 買手が上記イの物品を取得するため又は上記ロの技術等を購入、賃借若しくは入手するために要した費用(買手が自己の代理人に対し支払う手数料等)の額は、上記イに規定する取得価格又は上記ロに規定する費用の額に含めるものとする。
ニ 買手が上記イの物品又は上記ロの技術等を提供するため運送費用、保険料等を負担した場合には、当該負担した費用等の額は、上記イ又はロに規定する費用の額に含めるものとする。
なお、買手が携帯して輸出した場合等で当該負担した費用等の額が明確でない場合は、通常必要とされる費用等の額により算出するものとする。
(課税価格に含まれる特許権等の対価)
4―13 法第4条第1項第4号《課税価格に含まれる特許権等の対価》に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
(1) 「特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもので政令で定めるもの」(以下「特許権等」という。)とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権及び著作隣接権並びに特別の技術による生産方式その他のロイヤルティ又はライセンス料の支払の対象となるものをいう。
なお、「特別の技術による生産方式その他のロイヤルティ又はライセンス料の支払の対象となるもの」とは、特許権その他の工業所有権にはいたらないが、生産その他の事業等に関して繰り返して使用される程度に確立された技術上の創作、独自の考案、秘けつその他経済的価値を有するもの(例えば、ノウハウ、登録されていない意匠等)をいう。
(2) 特許権等の使用に伴う対価は、「輸入貨物に係る」ものであり、かつ、「輸入取引の条件として、買手により直接又は間接に支払われるもの」である場合には、当該輸入貨物の課税価格に算入する。
(3) 「輸入貨物に係る」特許権等の使用に伴う対価とは、輸入貨物に関連のあるものをいい、例えば、次のような場合における特許権等の対価をいう。
イ 特許権(実用新案権についても同じ。)については、輸入貨物が特許発明である物品(特許発明である物品の生産に専ら使用される部品、材料等を含む。)である場合、特許製法による生産物である場合、方法特許を実施するための物品である場合
ロ 意匠権については、輸入貨物が意匠(模様、形状等)を有している場合
ハ 商標権については、輸入貨物が商標を付したものである場合又は加工後に商標が付されるものである場合
ニ 著作権(著作隣接権についても同じ。)については、輸入貨物が著作権の対象を含んでいるものである場合(例えば、録音したテープに著作権の具体的内容である歌詞、旋律等が記録されている場合)
なお、特許権等のうち、上記に掲げるもの以外のものについては、上記に準じて取り扱うものとする。
(4) 「輸入貨物の輸入取引の条件として、買手により支払われるもの」とは、買手が当該輸入貨物を売手から購入(輸入取引)するために支払うことを要する対価をいう。例えば、次のような対価が「輸入取引の条件」として支払われる場合があることに留意する。
イ 輸入貨物に係る特許権者等(特許権者、実用新案権者、意匠権者、商標権者、著作権者及び著作隣接権者並びに特別の技術による生産方式その他のロイヤルティ又はライセンス料の支払の対象となるものを有する者をいう。以下この項において同じ。)が当該輸入貨物の売手である場合において、買手が当該売手に対して支払う当該特許権等の使用に伴う対価
ロ 輸入貨物に係る特許権者等が売手及び買手以外の第三者である場合において、当該売手と当該買手との取決めにより当該買手が当該特許権者等に対して支払う当該特許権等の使用に伴う対価
ハ 輸入貨物に係る特許権者等が売手と特殊関係にある場合において、買手が当該特許権者等に対して支払う当該特許権等の使用に伴う対価
ニ 売手が輸入貨物に係る特許権者等の下請会社である場合において、買手が当該特許権者等に対して支払う当該特許権等の使用に伴う対価
ホ 売手が輸入貨物に係る特許権者からその特許権についての専用実施権の許諾を受けている場合において、当該売手が買手に対して当該特許権についての通常実施権を許諾したときに、当該買手が当該売手に対して支払う当該特許権の使用に伴う対価
へ 買手が輸入貨物に係る特許権者からその特許権についての専用実施権の許諾を受けている場合において、当該買手が売手に対して当該特許権についての通常実施権を許諾したときに、当該買手が当該特許権者に対して支払う当該特許権の使用に伴う対価
(5) 「輸入貨物を本邦において複製する権利」(以下「複製する権利」という。)とは、輸入貨物を本邦において物理的に複製する権利その他の輸入貨物に化体され又は表現されている考案、創作等を本邦において複製する権利をいい、例えば、次に掲げる権利がこれに該当する。
なお、複製する権利の取扱いに際しては、複製することが複製する権利の対象であること、複製する権利が売買契約その他契約で買手に付与されていること及び複製する権利を有する者(当該者から再許諾権を付与された者を含む)が複製する権利の対価の支払を要求していることについて確認すべきことに留意する。
イ 特許発明が実施されている機械が輸入された場合において、これと同じものを本邦において製造する権利
ロ 特許発明が実施されている遺伝子操作により生み出された昆虫種が輸入された場合において、当該昆虫種を本邦において繁殖させる権利
ハ 特許発明が実施されている細菌株であってワクチン製造に使用するものが輸入された場合において、当該細菌株を本邦において純粋培養する権利
ニ 意匠が実施されているおもちゃの原型が輸入された場合において、当該原型を使用して、同じものを本邦において製造する権利
ホ 著作権の対象である写真が輸入された場合において、当該写真を使用した写真集を作成するため、当該写真を本邦において印刷する権利
へ 著作権の対象である音楽が編集された録音テープが輸入された場合において、当該録音テープを本邦においてダビングする権利
ト 回路基盤を効率的に利用するため開発された、回路配置利用権の対象である回路図が輸入された場合において、当該回路図を利用して、回路基盤を本邦において作成する権利
チ 意匠が実施されている新型自動車の縮小モデルが輸入された場合において、当該縮小モデルを使用して、当該意匠が実施されている自動車を本邦において製造する権利
リ 意匠が実施されている彫像の原型が輸入された場合において、当該原型を使用して、当該意匠が実施されている小売販売用の彫像ミニチュアを本邦において製造する権利
ヌ 意匠(衣服デザイン)が実施されている型紙又はトワルが輸入された場合において、当該型紙又はトワルを使用して、当該意匠が実施されている衣類を本邦において製造する権利
ル 著作権の対象である漫画キャラクタが描かれたセル画が輸入された場合において、当該セル画を使用して、漫画キャラクタを本邦においてポストカードに付す権利
ヲ 著作権の対象である小説の原稿が輸入された場合において、当該原稿を使用して、当該小説を本邦において書籍化する権利
ワ 著作権の対象である映画が収録されたフィルムが輸入された場合において、当該フィルムを使用して、当該映画を本邦において上映する権利
(6) 輸入貨物を本邦において頒布し又は再販売するための権利を取得するための対価は、当該輸入貨物の輸入取引の条件となつていないときは、当該輸入貨物の課税価格に算入しない。
(7) 輸入貨物に係る特許権等の使用に伴う対価で、当該輸入貨物の輸入取引の条件として支払われるものを課税価格に算入する場合の具体的な計算は、次による。
イ 当該対価が一括して支払われる場合には、当該支払われる総額を算入する。
ロ 当該対価が分割して支払われる場合において、各分割支払額が確定しているときは、その総額を算入する。
ハ 当該対価が当該輸入貨物を使用して生産される製品の出来高に応じて支払われる場合において、支払われることとなる総額(支払の最低額について取決めがあり、当該総額が当該最低額を超えるときは、当該総額)を計算することができるときは、当該総額を算入する。この場合における使用年数については、輸入貨物の耐用年数、技術革新による陳腐化等を考慮し、出来高については、当該輸入貨物の生産能力、生産される製品の需要状況等を考慮するものとする。なお、これにより計算された総額と実際に支払われた額とがかい離することとなつたときは、必要に応じ、調整を行うものとする。
(課税価格に含まれる売手帰属収益)
4―14 法第4条第1項第5号《課税価格に含まれる売手帰属収益》に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
(1) 「輸入貨物の処分又は使用による収益」とは、当該輸入貨物の再販売その他の処分又は使用により得られる売上代金、賃貸料、加工賃等を構成するものをいう。
(2) 同号の規定により課税価格に算入することとなる収益には、例えば、輸入貨物の利潤分配取引に基づき買手が売手に分配する利潤がある。なお、買手による売手への配当金の移転その他の支払であって輸入貨物と関係のないものは、当該収益に該当しないので留意する。
(輸入取引に関する特別な事情)
4―15 輸入貨物に係る輸入取引に関し、法第4条第2項第1号から第4号までに掲げる事情のいずれかがある場合には、当該輸入貨物の課税価格は、法第4条第1項によらず、法第4条の2以下の規定により計算する。ただし、法第4条第2項第4号に該当する場合であっても、輸入貨物の取引価格が同項ただし書に定める同種又は類似の貨物の課税価格と同一の額又は近似する額であることを輸入者が証明したときは、この限りでない(後記4―20参照)。
なお、輸入貨物に係る輸入取引に関して次のような事情があることのみにより、法第4条第1項の適用を排除することとはならないので留意する。ただし、輸入貨物に係る輸入取引に関して次の(1)から(3)までの事情がある場合には、当該輸入取引に関し法第4条第2項第1号から第4号までに掲げる事情の有無について十分な検討を行うものとする。
(1) 輸入貨物の取引価格が、当該輸入貨物と同種の貨物の市価よりも低価であること
(2) 輸入貨物の取引価格が、当該輸入貨物の製造原価よりも低価であること
(3) 輸入貨物が、法第8条第1項に規定する「不当廉売された貨物」であること
(注) 法第8条第1項に規定する「不当廉売差額」は当該輸入貨物に係る現実支払価格に含まれず、法第4条第1項第1号に掲げる費用等にも該当しないことから、課税価格に算入しない。
(4) 輸入貨物が、法第7条第1項に規定する「外国において生産又は輸出について直接又は間接に補助金の交付を受けた貨物」であること
(注) 当該補助金は当該輸入貨物に係る現実支払価格に含まれず、法第4条第1項第1号に掲げる費用等にも該当しないことから、課税価格に算入しない。
(買手による輸入貨物の処分等についての制限)
4―16 輸入貨物に係る輸入取引に関し、法第4条第2項第1号((買手による輸入貨物の処分等についての制限))に規定する買手による輸入貨物の処分又は使用についての制限がある場合(例えば、輸入貨物を売手の指示に従って展示用又は慈善用としてのみ使用させることを条件としてその価格を実質的に引き下げて輸入取引をした場合、特殊関係にある者のみに再販売させることを条件として実質的に価格を引き下げて輸入取引をした場合)には、当該輸入貨物の課税価格は、法第4条の2以下の規定により計算する。ただし、次のような制限は、法第4条第1項の適用を排除するものではないので留意する。
(1) 買手による輸入貨物の販売が認められる地域についての制限(令第1条の7第1号)。例えば、輸入貨物の買手である独占販売権者が売手から当該輸入貨物を再販売することができる地域について制限を受けているときは、これに該当する。
(2) 買手による輸入貨物の処分又は使用についての制限で法令により又は国若しくは地方公共団体により課され又は要求されるもの(同条第2号)。例えば、輸入医薬品について薬事法に基づく使用方法等の制限があるときは、これに該当する。
(3) 上記(1)及び(2)に掲げるもののほか、買手による輸入貨物の処分又は使用についての制限で当該輸入貨物の取引価格に実質的な影響を与えていないと認められるもの(同条第3号)。例えば、輸入自動車のモデルイヤーの初日に先立って国内でこれを販売し又は展示することを禁止することや、販売代理人を通じた消費者への訪問販売形式により事業を行っている売手が、買手に対して当該形式による輸入貨物の国内販売を義務付けることは、これに該当する。
(注) 買手による輸入貨物の処分又は使用についての制限が当該輸入貨物の取引価格に実質的な影響を与えているか否かの判断は、制限の種類、輸入貨物の種類、産業の種類及び商慣行並びに価格への影響の商取引上の重要性等の要素を考慮して行うものとする。
(課税価格の決定を困難とする条件)
4―17 法第4条第2項第2号((課税価格の決定を困難とする条件))に規定する輸入貨物の課税価格の決定を困難とする条件に関する取扱いは、次による。
(1) 輸入貨物に係る輸入取引に当該輸入貨物の課税価格の決定を困難とする条件が付されている場合は、当該輸入貨物の課税価格は、法第4条の2以下の規定により計算する。例えば、次のような場合がこれに該当する。
イ 輸入貨物の買手が特定の数量の他の貨物をも購入することを条件として、売手が当該輸入貨物の価格を設定する場合
ロ 輸入貨物の買手が売手に販売する他の貨物の価格に、当該輸入貨物の価格が依存している場合
ハ 輸入貨物の売手が、特定の数量の完成品を受け取ることを条件として、その半製品である当該輸入貨物を買手に提供する形態その他これに類する特殊な支払の形態を基礎として、輸入貨物の価格が設定される場合
(2) 輸入貨物に係る輸入取引について、条件(法第4条第1項各号に掲げる事項又は買手が自己のために行う活動に係る条件を除く。)が付されている場合において、当該条件に係る額が明らかであるときは、当該条件は課税価格の決定を困難とする条件に該当しない。この場合、当該条件に係る額は当該輸入貨物の現実支払価格に含まれるものとして、法第4条第1項((課税価格の決定の原則))の規定により当該輸入貨物の課税価格を計算する。
(特殊関係の意義)
4―18 法第4条第2項第4号に規定する「特殊関係」とは、同号に規定する「売手と買手とがその行う事業に関し相互に事業の取締役その他の役員となつている」場合における当該売手と買手との関係のほか、令第1条の8((特殊関係の範囲))に定める関係をいうが、これらの規定に関する用語の意義は、次による。なお、同条に規定する者には、法人を含むものとする。
(1) 「取締役その他の役員」(法第4条第2項第4号)とは、取締役、監査役、理事、監事等をいう。
(2) 「法令上認められた共同経営者」(令第1条の8第1号)とは、それぞれ、その金銭、資産、労務、技術等を出資し、共同事業を営む者をいう。
(3) 一方の者が法律上又は事実上他方の者を拘束し又は指図する地位にある場合には、当該一方の者は当該他方の者を「支配」しているものとする(令第1条の8第4号。なお、同条第6号及び第7号においても同様に取り扱うものとするが、同条第3号及び第5号に該当する場合を除く。)。
この場合、原則として、締結及び解除が自由な契約に基づき民事法上通常発生する権利義務関係は含まず、一方の者が他方の者の事業経営の根幹(例えば、取締役その他の役員、事業の所有若しくは議決権又は営業拠点所在地の変更)について拘束し又は指図する関係に限るものとする。
(4) 「親族」(同条第8号)とは、6親等以内の血族、配偶者及び3親等以内の姻族をいう。
(特殊関係による取引価格への影響)
4―19 輸入取引の売手と買手とが法第4条第2項第4号に規定する特殊関係にある場合において当該特殊関係が輸入貨物の取引価格に影響を与えているか否かについて審査する場合の取扱いについては、次による。
なお、当該特殊関係が輸入貨物の取引価格に影響を与えていないことについて疑義がない場合(例えば、売手及び買手について既に詳細な情報を取得していることにより、当該特殊関係が輸入貨物の価格に影響を与えていないと認める場合)又は輸入者が法第4条第2項ただし書きの規定により当該特殊関係が輸入貨物の取引価格に影響を与えていないことを証明した場合は、当該審査をすることは要しない。
(1) 輸入者から提出された資料その他の資料を参考として、当該輸入貨物の価格の成立の仕組み、取引関係の実態その他当該輸入取引の種種の側面について必要な検討を行うことにより、当該特殊関係の取引価格への影響の有無について審査するものとする。この場合において、輸入取引の売手と買手が特殊関係にないような状態で当該輸入取引を行っていることが判明したときは、当該特殊関係による取引価格への影響がないものとして取り扱う。例えば、次のような場合には、これに該当する。
イ 輸入貨物に係る産業での通常の価格設定に関する慣行に適合する方法で当該輸入貨物の価格が設定されている場合
ロ 輸入貨物の売手がこれと特殊関係にない本邦の買手に販売する場合の価格設定方式に適合する方法で当該輸入貨物の価格が設定されている場合
ハ 輸入貨物の価格が当該輸入貨物に係るすべての費用に、売手によるこれと同類の貨物の販売に係る通常の利潤を加えた額を回収するのに十分な価格である場合
ニ 輸入貨物の価格が、買手と特殊関係にない他の製造者等から購入する当該輸入貨物と同種又は類似の貨物の価格と同一又は近似していると認められる価格である場合
ホ 買手が、その海外現地法人(独自の法人格を有する支店を含む。)が特殊関係にない製造者等から購入した貨物を当該海外現地法人から輸入する場合において、輸入貨物の価格が当該製造者等からの購入価格に当該海外現地法人の販売に係る通常の利潤が上乗せされている価格である場合
ヘ 買手と売手が特殊関係にあり、当該売手が製造者等から購入した貨物を当該買手が輸入する場合において、輸入貨物の価格が当該製造者等から他の売手を経て、これと特殊関係にない他の買手が輸入する当該輸入貨物と同種又は類似の貨物の価格と同一又は近似していると認められる価格である場合
(2) 特殊関係が輸入貨物の取引価格に影響を与えているとの心証を得た場合には、その理由を輸入者に通知するものとし、また、輸入者に対しては、当該通知について意見を述べるための機会を与えるものとする。なお、輸入者が要請する場合には、理由の通知は書面で行う。
(輸入貨物の取引価格が特殊関係により影響を受けていないことの証明)
4―20 法第4条第2項ただし書((輸入貨物の取引価格が特殊関係により影響を受けていないことの証明))は、輸入貨物の取引価格が同項ただし書に規定する課税価格と同一の額又は近似する額であることを、輸入者が証明することについて規定したものであるが、この場合の具体的取扱いは、次による。
(1) 同項ただし書の証明は、令第1条の6第3項((輸入貨物の取引価格が特殊関係により影響を受けていないことの証明の手続))に規定する事項を記載した適宜の書面を税関長に提出させることにより行わせるものとする。この場合において、当該証明に使用する課税価格について調整を必要とするときは、同条第2項((輸入貨物の取引価格が特殊関係により影響を受けていないことの証明をする場合における価格差の調整))の規定に基づき当該調整を行わせる。なお、当該輸入貨物に係る輸入取引と当該輸入貨物と同種又は類似の貨物に係る輸入取引との間に、取引段階又は取引数量に係る差異がある場合であっても、当該差異が価格に影響を及ぼしていないと認められるときは、当該調整は要しない。
(2) 輸入貨物の取引価格が当該輸入貨物と同種又は類似の貨物に係る課税価格と「近似する」か否かの判断は、当該輸入貨物の種類、輸入時期、産業の種類、双方の価格の差異の商業上の重要性等を勘案して行うものとする。
(3) 法第4条第2項ただし書に規定する「同種の貨物」、「類似の貨物」、「輸出の日」又は「これに近接する日」の意義は、それぞれ後記4の2―1(同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定)の(1)から(4)までに定めるところによる。
(同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定)
4の2―1 法第4条の2の規定に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
(1) 「同種の貨物」とは、形状、品質及び社会的評価を含むすべての点で輸入貨物と同一である貨物(外見上微細な差異があっても他の点で同一であるものを含む。)をいい、輸入者又は使用目的に係る差異は問わない。ただし、本邦で開発されたために法第4条第1項第3号ニ((課税価格に含まれる役務に要する費用))の規定に基づくその費用の加算が行われなかった技術、設計、考案、工芸又は意匠を使用し又は取り入れた貨物を除く。
(2) 「類似の貨物」とは、輸入貨物とすべての点で同一ではないが、同様の形状及び材質の貨物であって、当該輸入貨物と同一の機能を有し、かつ、当該輸入貨物との商業上の交換が可能である貨物をいい、品質、社会的評価及び商標は、類似の貨物であるか否かの認定上考慮するものとするが、輸入者又は使用目的に係る差異は問わない。なお、上記(1)のただし書の規定は、「類似の貨物」についても準用する。
(3) 「輸出の日」とは、原則として、輸出国において、輸入貨物を本邦に向けて船舶等に積み込み又は本邦に仕向けた日とし、仕入書、船荷証券等により確認するものとする。
(4) 「これに近接する日」とは、輸入貨物の価格に影響を与える商慣行及び市場条件が輸出の日と同じであると認められる期間内の日をいう。ただし、原則として、輸出の日の前後1月以内の日として取り扱って差し支えない。
(注) 輸出の日の前後1月以内の日であっても、その日と輸出の日との間で輸入貨物の価格に影響を与える商慣行及び市場条件が異なると認められる場合は、「これに近接する日」には該当しない。
(5) 法第4条の2を適用する場合における同種の貨物に係る取引価格及び類似の貨物に係る取引価格の適用に関する優先順位については、次による。
イ 同種の貨物に係る取引価格と類似の貨物に係る取引価格の双方があるときは、前者が優先する(法第4条の2第1項)。
ロ 輸入貨物の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格と他の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格の双方があるときは、前者が優先し、類似の貨物に係る取引価格についても同様である(令第1条の9第1項)。
ハ 上記イ及びロによっても、なお競合する同種又は類似の貨物に係る取引価格が2以上あるときは、それらの取引価格のうち、最小のものが優先する(令第1条の9第2項)。
(6) 法第4条の2に規定する「調整」は、令第1条の9第3項((調整に関する規定の準用))において準用する令第1条の6第2項の定めるところによる。なお、輸入貨物に係る輸入取引と当該輸入貨物と同種又は類似の貨物に係る輸入取引との間に、取引段階又は取引数量に係る差異がある場合であっても、これらの貨物の価格表又は取引実績等の資料に基づき、当該差異が価格に影響を及ぼしていないと認められるときは、当該調整は要しない。
(国内販売価格に基づく課税価格の決定)
4の3―1 法第4条の3第1項の規定に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
(1) 「国内販売価格」とは、国内における最初の取引段階における販売に係る単価に基づいて計算された価格(ただし、法第4条第1項第3号イからニまでに掲げる物品又は役務を無償で又は値引きをして直接又は間接に提供した者に対する販売価格及び特殊関係者間の取引に係る販売価格を除く。)をいうが、この場合において、当該販売が2以上あり、その単価が異なるときは、当該異なる単価ごとの販売に係る数量が最大である販売に係る単価に基づいて計算された価格によることとなっている(令第1条の10第2項)。
例
イ 販売数量に応じて異なる価格で販売される場合
(1回の販売数量) | (単価) | (販売回数) | (各単価での総販売数量) |
1〜10単位 | 100 | 5単位×10回 |
|
|
| 3単位× 5回 | 65単位 |
11〜25単位 | 95 | 11単位× 5回 | 55単位 |
26単位以上 | 90 | 30単位× 1回 |
|
|
| 50単位× 1回 | 80単位 |
この場合における「国内販売価格」は、単価90による価格である。
ロ 販売が2回に分けて行われる場合
(販売) | (単価) | (販売数量) |
1回目 | 95 | 500単位 |
2回目 | 90 | 400単位 |
この場合における「国内販売価格」は、単価95による価格である。
ハ 種々の価格で種々の数量が販売される場合
(販売) | (単価) | (販売数量) |
1回目 | 100 | 40単位 |
2回目 | 90 | 30単位 |
3回目 | 100 | 15単位 |
4回目 | 95 | 50単位 |
5回目 | 105 | 25単位 |
6回目 | 90 | 35単位 |
7回目 | 100 | 5単位 |
(単価) | (各単価での総販売数量) | |
| 90 | 65単位 |
| 95 | 50単位 |
| 100 | 60単位 |
| 105 | 25単位 |
この場合における「国内販売価格」は、単価90による価格である。
(2) 「同種の貨物」及び「類似の貨物」の意義は、それぞれ前記4の2―1(同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定)の(1)及び(2)に定めるところによる。
(3) 「近接する期間内」とは、「課税物件確定の時の属する日に近接する日」までの期間内をいい、これによることができないときは、「当該課税物件確定の時の属する日後90日以内の最も早い日」までの期間内をいうが(令第1条の10第1項)、この場合における「近接する日」とは、おおむね、当該課税物件確定の時の属する日の前後1月以内の日をいうものとし、「最も早い日」とは、当該輸入貨物又はこれと同種若しくは類似の貨物がこれらの貨物の単価を確定するに足りる数量で国内において販売されるに至った日をいう。
(4) 「同類の貨物」には、輸入貨物の場合と同一の国以外の国から輸入された貨物を含む。
(5) 「手数料又は利潤及び一般経費」に関する具体的取扱いは、次による。
イ 「利潤及び一般経費」は、一体のものとして取り扱う。したがって、「利潤」及び「一般経費」は、原則として、通常のものであるかどうかを判断するに当たって、それぞれ別個に取り扱わないものとする。
ロ 「利潤及び一般経費」は、輸入者により又は輸入者のために提出された資料により計算するものとする。ただし、当該資料の数値が同類の貨物に係る「通常の利潤及び一般経費」とかい離していると認められるときは、他の適当な資料に基づき計算するものとする。なお、「手数料」についても同様とする。
ハ 「手数料」又は「利潤及び一般経費」のうちいずれを控除するかについては、当該貨物に係る商慣習を勘案して判断する。例えば、「手数料」の控除は、通常、当該貨物の販売が手数料上乗せ方式の場合に行われ、「利潤及び一般経費」の控除は、通常、当該貨物の販売が手数料を伴わない場合に行われることに留意する。
(6) 法第4条の3第1項第1号を適用する場合における当該輸入貨物の国内販売価格又は当該輸入貨物と同種若しくは類似の貨物に係る国内販売価格の適用に関する優先順位については、次による。
イ 当該輸入貨物の国内販売価格があるときは、当該国内販売価格による。
ロ 当該輸入貨物の国内販売価格がないときは、同種の貨物に係る国内販売価格による。
ハ 当該輸入貨物の国内販売価格及び同種の貨物に係る国内販売価格がないときは、類似の貨物に係る国内販売価格による。
ニ 当該輸入貨物の輸入者が輸入した同種の貨物の国内販売価格と他の輸入者が輸入した同種の貨物の国内販売価格の双方があるときは、前者が優先し、類似の貨物に係る国内販売価格についても同様である。
(7) 法第4条の3第1項第2号((加工後の国内販売価格に基づく課税価格の決定))の規定は、輸入者の要請がある場合に限り適用するが、同号の規定は、新たな加工が施されたため輸入貨物の同一性が失われた場合には、原則として、適用することができない。もっとも、同一性が失われた輸入貨物についても、新たな加工により付加された価額を過大な困難を伴うことなく正確に決定することができる場合がある。他方、輸入貨物の同一性が維持されている場合において、輸入国において販売される貨物に当該輸入貨物が微細な要素として組み込まれているにすぎないため同号に定める課税価格の計算方法を用いることが適当でない場合がある。したがって、個々の事例についてそれぞれの事情を勘案するものとする。
(製造原価に基づく課税価格の決定)
4の3―2 法第4条の3第2項の規定に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
(1) 「製造原価」は、生産者により又は生産者のために提供された輸入貨物の生産に関する資料、特に、生産者の商業帳簿に基づくものによることとする。なお、「製造原価」の確認に当たつては、本邦に居住していない者に対し、商業帳簿その他の記録を検査のために提出し又は開示することを要求し又は強制しないものとする。なお、提出された資料について確認することにつき、輸入貨物の生産者が同意を与え、かつ、当該輸入貨物の生産に係る国の政府が反対しないときは、当該国において必要な確認を行うことができるので留意する。
(2) 「製造原価」には、法第4条第1項第2号及び第3号に規定する輸入貨物の容器及び包装の費用並びに物品及び役務の費用を含むものとし、本邦で開発された技術、設計、考案、意匠又は工芸に要する費用であつても、生産者がこれを負担した場合には、当該負担した額を含むものとする。
(3) 「同類の貨物」は、輸入貨物の場合と同一の国から輸入される貨物に限るものとする。
(4) 「利潤及び一般経費」に関する取扱いは、前記4の3―1の(5)に定めるところに準ずるものとする。
(特殊な輸入貨物に係る課税価格の決定)
4の4―1 法第4条の4((特殊な輸入貨物に係る課税価格の決定))の規定により輸入貨物の課税価格を計算する場合には、令第1条の11第1号又は第2号((特殊な輸入貨物に係る課税価格の決定))の規定によることとなっているが、同条第2号に規定する「税関長が定める方法」は、次に掲げる方法とする。なお、これらの方法の適用順序は、前記4〜4の8―1(1)に定めるところに準ずるものとする。
(1) 法第4条に規定する方法を弾力的に適用して課税価格を計算する方法 例 修理委託契約により外国において修理された後に輸入される貨物について、修理代を対価として当該貨物の売買が委託者(買手)と受託者(売手)との間で行われたものとみなし、修理のために委託者(買手)から受託者(売手)に提供された貨物を「当該輸入貨物に組み込まれている材料、部分品又はこれらに類するもの」に該当するものと解釈して、課税価格を計算する方法
(2) 法第4条の2に規定する方法を弾力的に適用して課税価格を計算する方法
例
イ 「これに近接する日」を弾力的に解釈して、課税価格を計算する方法
ロ 輸入貨物の生産国以外の国で生産された当該輸入貨物と同種又は類似の貨物に係る取引価格に基づいて課税価格を計算する方法
ハ 法第4条の3第1項又は第2項の規定により計算された同種又は類似の貨物の課税価格に基づいて輸入貨物の課税価格を計算する方法
(3) 法第4条の3第1項に規定する方法を弾力的に適用して課税価格を計算する方法
例
イ 「性質及び形状」を弾力的に解釈して、課税価格を計算する方法
ロ 「これに近接する期間内」を弾力的に解釈して、課税価格を計算する方法
(4) 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書一Aの1994年の関税及び貿易に関する一般協定第7条及び1994年の関税及び貿易に関する一般協定(GATT)第7条の実施に関する協定(以下「関税評価協定」という。)の規定に適合する方法として税関長が適当と認める課税価格の決定方法
(注) 次に掲げる方法は関税評価協定第7条2において禁じられている。
イ 本邦において生産された貨物の本邦における販売価格に基づいて課税価格を計算する方法
ロ 特定の2の価格のうちいずれか大きい方の価格を課税価格とする方法
ハ 輸出国の国内市場における貨物の価格に基づいて課税価格を計算する方法
ニ 同種の貨物又は類似の貨物について法第4条の3第2項の規定により計算された積算価格以外の積算価格に基づいて課税価格を計算する方法
ホ 本邦以外の国への輸出のために販売された貨物の価格に基づいて課税価格を計算する方法
へ 最低課税価格による方法
ト 恣意的な又は架空の価格に基づいて課税価格を計算する方法
(LME指定倉庫から引き取られるアルミ地金の課税価格の決定)
4の4―2 LME(ロンドン金属取引所)指定倉庫から引き取られるアルミ地金の課税価格の計算については、次による。
(1) 我が国のLME指定倉庫から引き取られる輸入アルミ地金の課税価格の計算に当たって、当該アルミ地金を海外から我が国のLME指定倉庫に搬入することとなった輸入取引価格が明らかでないこと及び当該アルミ地金の販売価格がLME相場により絶えず変動すること等のため、法第4条第1項((課税価格の決定の原則))、第4条の2((同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定))、第4条の3第1項((国内販売価格に基づく課税価格の決定))及び同条第2項((製造原価に基づく課税価格の決定))の規定に基づく評価方法において課税価格を計算することができない場合には、法第4条の4((特殊な輸入貨物に係る課税価格の決定))の規定を適用し、LME価格を指標とする取引に基づいて国内に引き取られる当該アルミ地金のインボイス価格を課税価格とする。
(2) この場合において、当該アルミ地金に係る納税申告に際しては、原則として、次に掲げるすべての書類の提出又は提示を行わせ、課税価格を計算するものとする。
イ 当該アルミ地金に係るLMEワラントの写し
ロ LME指定倉庫業者が発行する当該アルミ地金の所有者を証明する確認書
ハ 当該ワラントの入手に係るインボイスで当該ワラント番号が記載されているもの(ただし、当該インボイスを納税申告時に提出又は提示することができない場合には、当該インボイスの写し)
(変質又は損傷に係る輸入貨物の課税価格の決定)
4の5―1 法第4条の5の規定に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
(1) 「その輸入取引の条件からみて輸入申告(等)の時までに輸入貨物に変質又は損傷があつた」とは、輸入契約において取り決められた性質、形状、数量等を基準として、輸入申告等の時までに当該輸入貨物に変質又は損傷が生じたことをいう。したがつて、輸入契約が当該貨物につき一定の変質又は損傷が生じた場合をも予想して締結されているとき(例えば、損傷率が3%以下の場合には、値引きの対象とならないことを取り決めているとき)には、同条の規定の適用はないので留意する。
(2) 蔵入承認を受けて保税蔵置場に置かれた貨物又は総保入承認を受けて総合保税地域に置かれた貨物について、変質又は損傷の結果、課税価格の低下のみならず、適用税率の変更をきたした場合には、法第10条第1項《変質、損傷等の場合の減税》の規定を適用することとなり、同条の規定の適用はないので留意する。
(3) 同条の規定を適用する場合には、輸入申告に際し、その変質又は損傷に関する明細書(適宜の様式による。)を添付させる。
(航空運送貨物に係る課税価格の決定の特例)
4の6―1 法第4条の6第1項に規定する貨物で政令で定めることとされている貨物の範囲は、令第1条の12第2項に定められているが、これらの条項に関する用語の意義は、次による。
(1) 法第4条の6第1項に規定する「航空機による運送方法以外の通常の運送方法による運賃及び保険料」とは、航空機以外の運送手段(船舶、鉄道等)による通常の運賃及び保険料をいい、実務上の取扱いは、原則として、船舶による通常の運賃及び保険料によって処理して差し支えないが、この場合においては、航空機への積込地までの陸路の運賃及び保険料と通常の船積港までの陸路の運賃及び保険料との差額の加算又は減算を必要とする場合があるので留意する(例えば、アメリカ中央部から直接本邦まで空路運送された場合には、アメリカ大陸内の陸路による運賃及び保険料とアメリカの船積港から本邦までの海路運賃及び保険料との合計額となる。)。
航空機による運送方法以外の通常の運送方法による運賃及び保険料は、運賃率表及び保険料率表等の資料により輸入貨物に係る単位当たりの当該運賃及び保険料を求め、これに基づいて算出する。ただし、令第1条の12第2項第6号に該当する貨物については、当該貨物を運送するために当初手配されていた運送方法に係る運賃及び保険料の額による。なお、上記により算出することが困難な場合で、輸入者が、輸入申告実績に基づき通常要すると認められる運賃及び保険料の額として税関長が公示する額を当該輸入貨物に係る運賃及び保険料として納税申告を行うときは、これを認めて差し支えないこととする(令第1条の12第2項第6号に該当する貨物を除く。)。
(2) 上記(1)に規定する「税関長が公示する額」の意義及び取扱いは、次による。
イ 「税関長が公示する額」とは、暦年(1月から12月)の輸入申告実績に基づき通常要すると認められる運賃及び保険料の額であり、当該輸入申告実績を基に関税局長が毎年決定することとする。 (注) 上記の運賃の額は、輸入申告実績における運賃又はFOB価格に対する運賃比率の中央値(メディアン)を参照して決定し、上記の保険料の額は前記4―8(4)ニ(イ)により決定する額とする。
ロ 関税局長は、上記イにより決定される額を、その公示日及び適用対象期間並びに算出根拠も含めて税関長に通知することとする。
ハ 税関長は、上記ロの通知を受けた場合には、公示日から当該額の適用対象期間が終わるまでの間、本関、各税関支署、各税関出張所及び各税関支署出張所において、当該額を公示することとする。
(3) 法第4条の6第1項及び令第1条の12第2項第7号に規定する「無償」とは、輸入貨物の輸出国における積出しの際の価格が無償の場合をいう。
(4) 法第4条の6第1項に規定する「見本」とは、注文の取集めのための商品見本、市場の需要傾向の調査若しくは製作の資料とするためのし好調査等のために使用する物品、販売する機械を用いて作られた試作品であって当該機械の性能を認識させるためのもの、製作見本又はこれらに類するものをいう。
(5) 令第1条の12第2項第1号に規定する「本邦に住所を有する者」とは、個人のみをいい、法人は含まない。
(6) 令第1条の12第2項第2号に規定する「ニュース写真、ニュースフィルム又はニューステープ」とは、一般的日刊新聞を発行する新聞社、当該新聞社にニュースを提供する通信社、映画会社又は放送局が一般的日刑新聞へのニュースの掲載用、ニュース映画の上映用又はラジオ若しくはテレビジョンの放送用に供するために輸入するものに限るものとし、ニューステープには録音したもののほか録画したものを含む。
(7) 令第1条の12第2項第2号に規定する「時事に関する記事を掲載する一般的日刊新聞」とは、内外の政治、経済、文化、社会等一般のニュースを総合して報道することを目的とする日刊新聞をいう。
(8) 令第1条の12第2項第2号に規定する「新聞の紙型」は、一般的日刊新聞の紙型に限らない。
(9) 令第1条の12第2項第3号に規定する「航空機用品」には、航空機上において使用される物品のほか、航空機の発着に伴い使用される旅客の乗降用、貨物の積卸用又は航空機の運航準備作業若しくは地上誘導用の機器類及びこれらの部分品を含む。
(10) 令第1条の12第2項第3号に規定する「航空機整備用品」とは、航空機を整備するために用いる物品であって、航空機の修繕のために使用される補修材料並びに航空機部分品の取替え、試験、補修等に使用される工具類、機器類及びこれらの部分品をいう。
(11) 令第1条の12第2項第3号に規定する「事務用品」とは、本邦において航空運送事業を営む者がその事業を運営するために行う事務に使用するタイプライター、帳簿書式類その他これらに類する物品をいう。
(12) 令第1条の12第2項第6号に規定する「輸入者」は、当該輸入貨物の輸入者と買手が異なる場合には、当該買手を含む。
(13) 令第1条の12第2項第6号に規定する「その輸入者以外の者が運送方法の変更に伴う費用を負担する」とは、航空運賃の全額又はその船運賃との差額を輸出者、船会社等輸入者以外の者が負担することをいう。
(14) 令第1条の12第2項第7号に規定する「修繕又は取替えのため」の物品とは、修繕材料、修理用品、取替用品(全部取替えのための物品を含む。)のほか、修理用具、取替用具を含む。
(輸入者等の個人的な使用に供される輸入貨物に係る課税価格の決定の特例)
4の6―2 法第4条の6第2項《輸入者等の個人的な使用に供される輸入貨物に係る課税価格の決定の特例》の規定に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
(1) 「本邦に入国する者により携帯して輸入される貨物」には、令第14条《別送する携帯品又は引越荷物の免税の手続》の手続を経て別送により輸入される貨物を含む。
(2) 「その他その輸入取引が小売取引の段階によるものと認められる貨物」とは、一般消費者が通信販売により輸入する貨物、外国に所在する知人に購入依頼して輸入する貨物等をいう。
(3) 「当該貨物の輸入が通常の卸取引の段階でされたとした場合の価格」とは、本邦の卸売業者が一般的に本邦における再販売等の商業目的のために当該貨物と同種の貨物を当該外国において卸取引の段階で購入するとした場合の価格をいい、「海外小売価格×0.6」により算出するものとする。
この場合において「海外小売価格」とは、原則として輸入者が当該貨物を取得する際実際に支払つた価格(郵便物にあつては、税関告知書等に記載されている価格)とする。ただし、申告価格又は税関告知書等に記載されている価格が著しく低価である等その真実性に明らかな疑念が持たれる場合又は価格が不明である場合は、類似品の価格、税関が調査した鑑定資料等を参考として、賦課課税方式が適用される貨物にあつては課税価格を決定し、申告納税方式が適用される貨物にあつては修正申告をさせ、又は更正をする。
(4) 「寄贈を受ける者の個人的な使用に供されると認められるもの」には、受贈者が社会福祉施設等である場合には、当該施設に入院し若しくは入所し又は収容されている者等のため直接に使用され、又はそれらの者の個人的使用に供するために支給される物品等(海外から日本赤十字社、新聞社等を通じて本邦の被災者等に贈与される物品等で、形式的には、日本赤十字社等が受贈者となるものを含む。)を含む。
(価格の換算に用いる外国為替相場)
4の7―1 法第4条の7に規定する財務省令で定める「外国為替相場」は、規則第1条《価格の換算に用いる外国為替相場》に定められているが、その具体的取扱いについては、次による。
(1) 外国為替相場の決定について
イ 規則第1条に規定する「当該週間の平均値(当該平均値の算定の基礎とされる実勢外国為替相場が当該前々週にないときは、その週の直前の当該実勢外国為替相場のある週における実勢外国為替相場の当該週間の平均値とする。)に基づき税関長が公示する相場」は、次に掲げる各通貨の区分に応じ、次に掲げる各相場の当該週間の平均値とする。
(イ) アメリカ合衆国通貨 本邦の外国為替市場における銀行間の直物取引(翌々営業日渡し)の中心相場
(ロ) アメリカ合衆国通貨以外の通貨 当該通貨のニューヨーク外国為替市場における上記(イ)に掲げる相場に類するアメリカ合衆国通貨に対する相場(ニューヨーク外国為替市場に当該相場がないときは、その他最も適当と認められる外国為替市場における当該相場)を上記(イ)に掲げる相場により裁定した相場
ロ 上記イによることが困難な通貨については、当該通貨の他の通貨(上記イの(ロ)に掲げるものに限る。)に対する市場実勢を当該他の通貨の上記イの(ロ)に定める相場をもつて裁定した相場の当該週間の平均値等に基づき、関税局長が指示する相場とする。
ハ 実勢外国為替相場の著しい変動により平均値に基づくことが適当でないと認められる場合には、上記イ又はロにかかわらず、法第4条の7第1項に規定する日の直近の実勢外国為替相場に基づき関税局長が別途指示するところによる。
ニ 上記イ、ロ又はハにより決定される外国為替相場は、外国通貨の主たる通貨単位1単位又は100単位に対する本邦通貨の額(最小単位を銭とし、銭未満は四捨五入する。)をもつて表示するものとする。
(2) 外国為替相場の公示について
イ 関税局長は、上記(1)により決定される外国為替相場を、その公示日及び当該外国為替相場の適用対象期間も含めて税関長に通知することとする。
ロ 税関長は、上記イの通知を受けた場合には、公示日から当該外国為替相場の適用対象期間が終わるまでの間、本関、各税関支署、各税関出張所及び各税関支署出張所において、当該外国為替相場を公示することとする。
(当事者間で合意された外国為替相場の取扱い)
4の7―2 取引の当事者の間において、当該取引に係る仕入書等に表示されている価格を、当該当事者間で合意された外国為替相場により、その表示において用いられている通貨とは異なる通貨に換算し、当該通貨により支払うことが取り決められている場合で、当該通貨により現実に支払が行われるときは、当該通貨による価格に基づいて課税価格を計算する。具体的取扱いについては、次による。
(1) 外国通貨により表示されている価格が当事者間で合意された外国為替相場により本邦通貨に換算され、本邦通貨により現実に支払われる場合は、当該本邦通貨による価格に基づいて課税価格を計算する。
例
(仕入書価格) | (当事者間で合意された外国為替相場) | (支払価格) |
10,000米ドル | 1米ドル=120円 | 1,200,000円 |
この場合、課税価格の計算に際し、法第4条の7第2項の規定により財務省令で定める外国為替相場による本邦通貨への換算は要しない。
(2) 外国通貨により表示されている価格が当事者間で合意された外国為替相場により第三国通貨に換算され、当該第三国通貨により現実に支払われる場合は、当該第三国通貨による価格に基づいて課税価格を計算する。
例
(仕入書価格) | (当事者間で合意された外国為替相場) | (支払価格) |
10,000米ドル | 1米ドル=0.75ユーロ | 7,500ユーロ |
この場合、課税価格の計算に際し、7,500ユーロを法第4条の7第2項の規定により財務省令で定める外国為替相場により本邦通貨へ換算する。
(3) 本邦通貨により表示されている価格が当事者間で合意された外国為替相場により外国通貨に換算され、当該外国通貨により現実に支払われる場合は、当該外国通貨による価格に基づいて課税価格を計算する。
例
(仕入書価格) | (当事者間で合意された外国為替相場) | (支払価格) |
1,000,000円 | 100円=0.85米ドル | 8,500米ドル |
この場合、課税価格の計算に際し、8,500米ドルを法第4条の7第2項の規定により財務省令で定める外国為替相場により本邦通貨へ換算する。