関税法基本通達(昭和47年3月1日蔵関第100号)(抄)
事前教示関係法令等
関税法基本通達(昭和47年3月1日蔵関第100号)(抄)
第2章 関税の確定、納付、徴収及び還付
第2節 申告納税方式による関税の確定
(納税申告等に係る事前教示)
7―17 法第7条第3項((申告))の規定による教示は、原則として、文書により照会(同項の規定により教示を求めることをいう。以下この項、7―18から7―19の3まで及び7―22において同じ。)を受け、文書で回答(照会に対して教示を行うことをいう。以下この項、7―18から7―19の3まで及び7―22において同じ。)することにより行うこととする。これによらず、口頭により照会があった場合には、口頭で回答することとするが、次のように、輸入申告時等における取扱いが文書による場合と異なることに留意する。
(1) 文書による回答は、一定条件の下で、輸入申告の際、回答書に記載された内容(内国消費税及び地方消費税(以下この項、7―18及び7―19において「内国消費税等」という。)の適用区分及び税率並びに法第70条((証明又は確認))に規定する他の法令(以下この項、7―18及び7―19において「他法令」という。)の適用の有無を除く。)について尊重される取扱いが行われるものであるのに対し、口頭による回答については、このような取扱いが行われるものではないこと。
(2) 文書による回答は、照会者が再検討を希望する場合は、意見の申出を行うことが可能であるが、口頭による回答は、意見の申出を行うことができないこと。
なお、具体的な手続等に関しては、関税率表適用上の所属区分、関税率、統計品目番号、内国消費税等の適用区分及び税率並びに他法令の適用の有無(以下この項、7―18及び7―19において「関税率表適用上の所属区分等」という。)並びに原産地に係るものについては後記7―18(事前照会に対する文書回答の手続等)及び7―19(事前照会に対する口頭回答の手続等)により、関税評価に係るものについては後記7―19の2(関税評価に係る事前照会に対する文書回答の手続等)及び7-19の3(関税評価に係る事前照会に対する口頭回答の手続等)によるものとする。
(関税評価に係る事前照会に対する文書回答の手続等)
7―19の2 文書による回答を求められた場合における関税評価に関する照会及び回答の手続等については次による。
(1) 照会者
照会は、貨物を輸入しようとする者、その委任を受けた通関業者等又は当該貨物の輸入取引の事情を概ね把握している利害関係者に行わせるものとする。
(2) 対象となる照会の範囲
貨物を輸入しようとする者により輸入される貨物の関税評価に係る法令の解釈、適用その他関税評価上の取扱い(以下この項において「法令の解釈等」という。)に関する照会で、次の要件のすべてを満たすときに、文書回答を行うこととする。
イ 仮定の事実関係に基づく取引によるものではなく、具体的な取引内容が確定した貨物又は将来行う予定の取引で個別具体的な資料の提出が可能なものに関する貨物に係る照会であるとき
ロ 照会者が、照会の申出の際に、下記(3)イの(イ)から(ト)までの事項を記載した書面及び下記(3)イの(チ)の資料を提出することが可能であるとき
ハ 取引等に係る関税評価上の取扱い等が、過去に公開された文書回答等において明らかになっていないとき
ニ 関税定率法等の関税等の免税の規定の適用を受ける貨物の照会でないとき
ホ 上記イからニまでのほか、照会の内容が次に掲げるような性質を有しないものであるとき
(イ) 関税評価に関する法令以外の法令等に係る解釈等を必要とするもの
(ロ) 照会に係る取引等が、法令等に抵触し、又は抵触するおそれがあるもの
(ハ) 照会に係る取引等が、関税・消費税の軽減を主要な目的とするもの
(ニ) 製造原価を下回る価格での継続した取引など、通常の経済取引としては不合理と認められるもの
(ホ) 回答内容が歪曲して宣伝される等、文書回答が、法令の解釈等についての予測可能性を与えるという本来の目的に反する形で利用されるおそれがある場合
(ヘ) 照会に係る取引等と同様の事案について、事後調査中、不服申立て中又は訴訟中である等関税評価上の紛争等が生じているもの
(ト) 照会に係る取引等について、関係者間で紛争中又は紛争のおそれが極めて高いもの
(チ) 関連する複数の取引の一部のみを照会しているもの
(リ) 実地確認や取引関係者等への照会等による事実関係の認定を必要とするもの
(ヌ) 上記(イ)から(リ)までのほか、本手続による文書回答が適切でないと認められるもので、例えば、次のような場合。
i 照会の前提となる関税評価に係る法令以外の法令等により決定されるべき事項が未解決である場合
ii 法令の改正過程にあるものであり、現状における文書回答が困難である場合
なお、関税無税のもの(消費税のみ課されるもの)についても、事前教示の対象とすることに留意する。
(3) 受理
イ 照会については、原則として、照会者が次の(イ)から(ト)までの事項を記載した「事前教示に関する照会書(関税評価照会用)」(C―1000―6)(記載欄が不足する場合には、適宜の様式による「事前教示に関する照会書(関税評価照会用)(つづき)」をC―1000―6に添付の上、割印させるものとする。以下この項において「評価照会書」という。)及び(チ)の資料(以下この項において「照会文書」という。)を当該照会に係る貨物の主要な輸入予定地を管轄する税関の首席関税評価官(首席関税評価官を置かない税関にあっては関税評価官。以下この項及び7―19の3において「首席関税評価官等」という。)に対して1通提出することにより行わせる。なお、一評価照会書につき一取引の事前教示とする。
(イ) 照会に係る輸入貨物の一般的な品名、輸入通関予定官署及び輸入予定時期
(ロ) 輸入貨物の取引関係者の名称(すべて実名とする。)、及び関係者間の権利・義務等の事実関係
(ハ) 具体的な取引の内容及び照会事項
(ニ) 上記事実関係及び取引の内容に対して照会者の法令の解釈等の見解及びその理由
(ホ) 審査に必要な追加的な資料の提出及び補足説明(以下この項及び7―19の3において「資料の追加提出等」という。)に照会者が同意する旨
(ヘ) 照会内容及び回答内容について、非公開期間の要否、非公開とする場合はその理由及び非公開期間(180日を超えない期間)並びに公開に関して取引関係者等の了解を得ること及び仮に公開について取引関係者間等で発生した紛争については、照会者の責任において処理することについて、照会者が同意する旨
(注) 下記(13)イの公開の趣旨について、照会者に対し十分に説明を行い、理解と協力を得るように努めるものとするが、照会者が下記(13)ロの理由により非公開期間(180日を超えない期間)設定を要請する場合には、その意向を尊重するものとする。
(ト) 評価照会書及び下記(チ)の資料のうちに日本語以外の言語で記述されているものが含まれている場合には、その内容を日本語に翻訳した資料を提出することに照会者が同意する旨
(チ) 照会に係る取引等の事実関係を証明できる関係書類その他審査に必要とされる資料(例えば、売買契約書、仕入書、評価加算・控除額が確認できる書類)
ロ 評価照会書の提出があった税関の首席関税評価官等が指定する担当者(以下この項において「照会応答担当者」という。)は、「事前教示照会に係る形式要件審査表」(C―1000―7)((4)ロ(ロ)において「形式要件審査表」という。)により当該評価照会書に上記イの(イ)から(ト)までの事項の記載があること及び上記イの(チ)の資料の提出があることを確認し、記載事項及び資料の提出に不備がないときには、当該照会文書に自関の登録番号を付与し、受理するとともに、「事前教示照会書等事績整理票」(C―1000―8)((7)ロ(ハ)及び(8)ホにおいて「事績整理票」という。)の登録番号等の所要事項を記載する。ただし、記載事項に不明な点があるとき又は審査に必要な資料が不足しているときには、照会者に対して記載事項の補正又は資料の追加提出等を速やかに求め、当該記載事項の補正又は資料の追加提出等がなされるまでは、当該照会文書は受理しない。なお、記載事項の補正又は資料の追加提出等を求める場合には、原則、口頭により行うこととするが、必要に応じて、その旨を欄外に記載した評価照会書を返付することにより行うこととする。
また、照会応答担当者は、照会者に対して、次の事項を確実に伝える。
(イ) 回答内容は、税関としての見解であり、照会者の申告内容等を拘束するものではない旨
(ロ) 照会に対する文書回答がないことを理由に申告期限や納期限が延長されることはない旨
(ハ) 照会に対する文書回答については、不服申立ての対象とはならない旨
(注) 照会に対する文書回答について照会者が意見を有する場合には、下記(9)により処理することとなる。
(ニ) 審査の状況等によっては文書回答を行う前に納税申告が行われる場合が生じるが、この場合には、実際の納税申告に基づき事実関係等を審査する必要があるため、照会に対する文書回答は行わない旨
(ホ) 回答内容は、あくまで照会者によって説明された取引内容を前提としたものであり、具体的な事例において異なる事実がある場合や新たな事実が生じた場合には、当該回答内容は尊重されないこととなり、当該回答内容と異なる課税関係が生ずることがある旨
ハ 照会応答担当者は、当該照会文書に係る照会が上記(2)イからニまでに掲げる要件を満たすものであるか否かを可能な限り確認し、文書回答の対象とならない照会に当たるおそれがあると考えられる場合には、照会者に対して、文書回答の趣旨や範囲等を説明した上で、今後、文書回答を行わないこととなる可能性がある旨を伝えるなど適切に対応する。
(4) 受理後の処理
イ 評価照会書を受理した税関の首席関税評価官等は、上記(3)の処理が済んだ当該評価照会書の写しを総括関税評価官へ送付する。
評価照会書の写しの送付を受けた総括関税評価官は、当該評価照会書が複数の税関に提出されているか否かを確認し、複数の税関に提出されている場合には、照会者の意見を聴取し、調整した後、当該事前教示の以後の事務を担当する税関(以下この項において「担当税関」という。)を指定する。複数の税関に提出されていない場合には、当該評価照会書を受理した税関を担当税関とする。なお、総括関税評価官は、担当税関以外の税関に当該評価照会書の写しを配付する。
ロ 担当税関は、評価照会書の受理後においても、必要に応じ、照会者に対して資料の追加提出等を求めるものとし、その方法は、次のいずれかによるものとする。
(イ) 「事前教示に係る補足説明書」(C―1002)(以下この項において「補足説明書」という。)の所定の欄に質問事項又はどのような追加資料が必要かを記載して照会者に交付し又は送達し、「補足説明事項」欄に必要事項を記載させ、追加資料がある場合には、当該追加資料とともに提出させる。
(ロ) 評価照会書の所定欄に必要事項を追記させ、追加資料がある場合には、当該追加資料とともに提出させる。
なお、資料の追加提出等を求める場合には、納税申告予定日及び当該資料の追加提出等に必要な調査期間等を勘案して適当と認められる期限を付しておくものとする。
また、補足説明を受けた場合には、形式要件審査表に必要事項を記載するとともに、補足説明書の提出があったときには、補足説明書は提出済の評価照会書と割印をし、保管する。
ハ 担当税関は、照会者から、照会に係る取引等の中止や前提となる事実関係の変更等により、評価照会書を取り下げたい旨の申出があった場合には、任意の様式による取下書の提出を照会者に求める。取下書を受理した場合には、その処理の内容を当該評価照会書に記載し、当該取下書とともに、事前教示関係書類として保管する。また、当該評価照会書に係る協議を総括関税評価官にしている場合には、当該評価照会書と取下書の写しを総括関税評価官に送付する。
(5) 担当税関における審査
担当税関は、評価照会書に係る審査を次の要領により行うものとする。
イ 照会に係る法令の解釈等を速やかに検討した上で、「事前教示回答書(変更通知書兼用)(関税評価回答用)」(C―1000―9)(以下この項において「評価回答書」という。)を作成する。
ロ やむを得ない理由により、下記(10)イの検討期間内に回答を行うことができないと見込まれる場合には、照会者に対し、速やかにその旨通知するものとする。また、照会者に対して審査の進行状況及び回答時期の目途を適宜連絡するなど配慮しつつ、速やかに回答するよう努めるものとする。
ハ 審査している評価照会書に関して、次のいずれかに該当する場合には、総括関税評価官と協議する。
(イ) 関税評価上の取扱いにつき、照会者が他関における取扱いとの相違を申し立てた場合
(ロ) 関税評価上の取扱いにつき、照会者が担当税関と異なる見解を有する場合
(ハ) 取引形態その他関税評価上の取扱いに影響を与える事項につき、担当税関における前例がない場合
(ニ) 従前の取扱いを変更しようとする場合
(ホ) その他、特に慎重に検討する必要があると認められる場合
(6) 総括関税評価官における審査
総括関税評価官は、担当税関との協議を行う評価照会書等に係る審査を次の要領により行うものとする。
イ 担当税関から送付を受けた評価照会書、評価回答書(案)及びその他の関連資料をもとに、法令の解釈等の検討を速やかに行うものとし、照会者に対して資料の追加提出等を求める必要がある場合には、担当税関に速やかにその旨通知するものとする。当該通知を受けた担当税関は、上記(4)ロにより照会者に対して資料の追加提出等を求めるものとする。
ロ 審査の結果、担当税関と同じ回答(結論に至る過程を含む。以下この項において同じ。)となった場合には、その旨を担当税関に通知し、協議を終了する。ただし、担当税関と総括関税評価官が同じ回答に至った場合でも、以前に行った事前教示の回答内容につき変更を行うときには、総括関税評価官は、必要に応じ、当該変更の理由を関税局に上申し調整した後に、担当税関に対して通知を行うものとする。
ハ 審査の結果、担当税関と異なる回答となった場合には、担当税関と調整を行い、さらに必要に応じて関税局と調整を行った上で、最終的結論を決定する。
(7) 文書回答手続等 照会に対する文書回答手続等は、次による。
イ 文書回答の対象とならない場合
(イ) 担当税関は、評価照会書の受理後に文書回答の対象とならないことが判明したものについては、その理由を記載した「文書回答の対象となる事前教示照会に当たらない旨のお知らせ」(C―1000―10)を作成し、照会者に対して送付する。また、上記(4)ロにより照会者に対して期限を付して資料の追加提出等を求めた場合において、当該期限を徒過し、適宜要請をしても当該資料の追加提出等がないときも、同様に処理するものとする。
(ロ) 担当税関は、照会に対する回答を行う前に当該照会に係る貨物の納税申告が行われた場合は、「事前教示照会に対する文書回答の対象とならなくなった旨のお知らせ」(C―1000―11)を作成し、照会者に対して送付する。
ただし、照会に対する回答を行う前に当該照会に係る貨物の納税申告が行われた場合でも、当該貨物の輸入が継続して行われ、かつ、回答内容が当該申告以後の納税申告に予測可能性を与えるものであると認められるときには、改めて当該申告以後の輸入に係る照会を求めることなく、当該申告以後の納税申告に係る照会に対するものとして文書回答を行って差し支えない。
ロ 文書回答の対象となる照会に対する評価回答書の交付等
(イ) 担当税関は、評価照会書の内容が文書回答の対象となる場合には、評価回答書に必要回答事項を記載し、押印した上、これを原本として、首席関税評価官等名で、照会者に評価照会書(補足説明書を含む。)の写しとともに交付し又は送達することにより回答を行うものとする。また、総括関税評価官及び他関についても評価回答書の写しを送付する。
(注) 評価照会書と評価回答書が同一案件であることを確保するため、担当税関が評価照会書に付与した登録番号を評価回答書にも付すものとする。
(ロ) 担当税関は、回答を行うに際して、照会者に対して、評価回答書の注意事項について説明するものとする。
(注) 評価回答書を送達する場合には、併せて、照会者に対して注意事項が評価回答書に記載されている旨の通知を行うものとする。
(ハ) 回答を行った担当税関は、事績整理票に処理結果等必要事項を記載し、評価回答書(写)とともに保管する。
(8) 変更又は撤回等
イ 担当税関は、法令の改正により、以前に行った回答が影響を受ける場合であっても、照会者に対し、その旨通知することを要しない。ただし、照会者から法令の改正により回答が影響を受けるか否かについて照会があった場合には、適切な回答を行うものとする。
(注) 評価回答書は、法令の改正によりその回答内容が影響を受ける場合には、下記(11)ただし書きの規定により当該改正に係る法令の施行日以後は、その有効期限内であっても、評価申告及び納税申告の審査上尊重されないこととなることに留意する。
ロ 担当税関は、法令の解釈の変更により、以前に行った回答を変更する場合には、照会者に対し、交付済又は送達済の評価回答書にかえて効力を持つ変更の理由その他必要事項を記載した変更通知書(C―1000―9を適宜修正したもの。以下この項において「変更通知書」という。)を新たに発出することにより行うものとする。さらに評価照会書と変更通知書が同一案件であることを確保するため、評価照会書及び変更通知書には従前の登録番号と同じ登録番号に枝番を付し、当該変更通知書の原本に評価照会書の写しを添付して交付し又は送達することによりその旨通知するものとし、交付済又は送達済の評価回答書は返付させる。
(注1) 法令の解釈の変更により、交付済又は送付済の変更通知書を変更する場合も、上記に準じて処理するものとする。
(注2) 評価回答書は、上記により変更通知書が新たに発出された場合には、下記(11)ただし書きの規定により当該変更通知書の交付又は送達の時以後は、その有効期限内であっても、評価申告及び納税申告の審査上尊重されないこととなることに留意する。
ハ 担当税関は、下記(12)イ(イ)なお書き(下記(12)ロにおいて準用する場合を含む。)の規定による協議を受ける等により、照会に係る事実関係について誤り又は変更等があることが判明し、以前に行った回答が影響を受け、評価申告及び納税申告の審査上、尊重されないこととなる場合には、照会者に対し、交付済又は送達済の評価回答書(変更通知書を含む。)の登録番号と同じ登録番号を記載した適宜の様式による書面により、当該評価回答書が尊重されないこととなる理由及び当該評価回答書を撤回する旨を通知し、当該評価回答書を返付させるものとする。
ニ 担当税関は、以前に行った回答を上記ロにより変更する場合又は上記ハにより撤回する場合には、総括関税評価官と協議するものとし、総括関税評価官は上記(6)に準じて当該変更又は撤回に係る審査を行う。
ホ 担当税関は、上記ロ又はハの手続きにより照会者から評価回答書(変更通知書を含む。)の返付を受けたときは、その処理の内容を当該評価回答書及びその写し並びに事績整理票に記載し、その他関連資料とともに保管するものとする。また、総括関税評価官及び他関に対しても、その処理の内容を通知するものとする。なお、上記ロの処理の内容は、発出した変更通知書の写しを送付することにより通知するものとする。
(9) 意見の申出 照会に対する文書回答(変更通知を含む。)に対し、照会者が意見を有し、当該回答の再検討を希望する場合には、当該回答を行った担当税関に対して意見の申出をさせることとし、その手続及び処理については、次による。
イ 意見の申出は、「事前教示回答書(変更通知書)(関税評価回答用)に関する意見の申出書」(C―1001―1)(以下この項において「申出書」という。)により行わせるものとする。
ロ 意見の申出は、当該申出に係る評価回答書(変更通知書を含む。)の交付又は送達のあった日の翌日から起算して2月以内においてのみ受け付けるものとする。
ハ 意見の申出を受付けた担当税関は、申出書の写しに当該申出に係る自関の意見等を添えて、速やかに総括関税評価官に送付する。
なお、やむを得ない理由により、下記(10)ロの検討期間内に回答を行うことができないと見込まれる場合には、照会者に対し、速やかにその旨通知するものとする。また、照会者に対して再検討の進行状況及び回答時期の目途を適宜連絡するなど配慮しつつ、速やかに回答するよう努めるものとする。
ニ 総括関税評価官は、当該申出書の写し等をもとに申出に係る評価回答書の内容について速やかに再検討を行い、必要に応じて、関税局と調整した後、担当税関に結果を通知するものとする。
ホ 担当税関は、総括関税評価官から回付された再検討結果をもとに申出者への回答書を作成し、上記(7)ロ及び(8)の手続に準じて処理するものとする。
(10) 検討期間
イ 照会に対する文書回答
担当税関及び総括関税評価官は、原則として、上記(3)により評価照会書を受理してから90日以内の極力早期に、照会に対する回答を行うように努めるものとする。
ロ 意見の申出に対する回答
担当税関及び総括関税評価官は、原則として、上記(9)により申出書を受理してから30日以内の極力早期に、申出に対する回答を行うように努めるものとする。
ハ 期間の計算及び例外
(イ) 上記イ及びロの期間には、資料の追加提出等を求めた日から当該資料の追加提出等がなされた日までの期間は含めないものとする。
(ロ) 次に掲げるような場合には、上記イ又はロの期間にとらわれず、十分に審査又は再検討を行ったうえで回答することとする。
i 取引の形態が不明確で、法令の解釈等の前提となる事実の認定に時間を要する場合
ii 外国における関税評価上の取扱実態等の調査に時間を要する場合
iii 事務処理能力を超える多数の照会又は意見の申出があったことにより、業務に著しい支障が生じるおそれがある場合
(注) 上記イ又はロの期間内に回答を行うことができないと見込まれる場合には、上記(5)ロ又は(9)ハのとおり、速やかに照会者に通知するものとする。
(11) 回答の有効期限評価回答書(変更通知書を含む。以下(11)において同じ。)については、発出日(変更通知書については、その当初の評価回答書の発出日)から3年間を限度として示された有効期限内において、評価申告及び納税申告の審査上尊重するものとする。ただし、当該評価回答書については、法令の改正によりその回答内容が影響を受ける場合にあっては当該改正に係る法令の施行日以後、上記(8)ロにより変更通知書が新たに発出された場合には、当該変更通知書の交付又は送達の時以後は、その有効期限内であっても、評価申告及び納税申告の審査上尊重しないものとする。
なお、担当税関は、照会者に対して当該照会に係る包括申告書の提出予定日を聴取し、当該照会に対する評価回答書の有効期限と包括申告書の適用期限との整合性を考慮し、これらの期限を一致させることに努める。
(注) 回答内容は、あくまで照会に係る事実関係を前提としたものであり、照会者が事前教示に関する事実を誤って提示する等により、具体的な事例において異なる事実がある場合や新たな事実が生じた場合には、有効期限内であっても評価回答書は尊重されないこととなる。この場合には、当該回答内容に従って納税申告が行われていたとしても、修正又は更正の対象となることに留意する。
(12) 評価回答書の取扱い
イ 評価申告における評価回答書の取扱い
評価申告書に添付された上記(7)ロにより照会者に対して交付又は送達された評価回答書又は上記(8)ロにより照会者に対して交付又は送達された変更通知書(以下この項において「回答書等」という。)の取扱いは次によるものとする。
なお、評価申告書に回答書等を添付する場合は、評価申告書に回答書等に付された登録番号及び回答年月日を記載させるものとする。
(イ) 評価申告書に回答書等が添付されている場合には、当該申告書の審査上、当該回答書等(下記(ロ)に該当するものを除く。)に記載された取引に係る関税評価上の解釈を尊重するものとし、この場合においては、必要に応じ、当該回答書等について上記(8)ロによる変更が行われていないことについて確認しておくものとし、事前教示の対象となった取引と評価申告されている取引が同一であるかについても十分に確認するものとする。なお、当該回答書等の内容に疑義がある場合には、当該回答書等を交付又は送達した税関の首席関税評価官等と協議するものとする(通関部門が他関の首席関税評価官等と協議するときは自関の首席関税評価官等を通じて協議するものとする)。
(ロ) 評価申告書の審査上、尊重しないものとされる回答書等は、当該申告書の審査を終了した後、返付させるものとする。(例えば、上記(11)の規定により示された有効期限を経過した評価回答書、法令の改正により影響を受け、参考とならなくなった評価回答書、又は上記(8)ロによる変更が行われた場合における変更前の評価回答書等。)
ロ 納税申告書(評価申告書が提出されたものを除く)に添付された回答書等の取扱いについては、上記イに準じるものとする。
ハ 包括申告書が撤回された場合の評価回答書の取扱い
回答書等の添付された包括申告書について、前記7―15(包括申告書の撤回)の規定により撤回する旨の申出がなされた場合は、当該回答書等は返付させるものとする。
(13) 公開
イ 回答書等の内容は、行政サービスの一環として納税者の予測可能性を確保する観点から、回答後原則として公開することとし、税関ホームページ等を利用して一般の納税者の閲覧に供するものとする。
また、照会者から申出があった場合は照会者名を公開することができる。
ただし、回答書等の内容のうち、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に定める不開示情報に該当すると考えられる部分や法令上の守秘義務に抵触すると考えられる部分が含まれている場合には、当該部分を伏せて公開する。
(注1) 取引関係者名については、事案の性格上、明らかにすることが必要な場合を除き、例えば、X、Y等と記載することにより匿名化することとする。
(注2) 個別性が高い内容で、他の輸入者(納税者)の参考とならないと認められるものは、公開をしないものする。
ロ 次の要件に該当する場合で、照会者から非公開期間(180日を超えない期間)設定の要請があったものについては、当該要請に係る期間後に公開とするものとする。
(イ) 照会の対象となった取引内容について、取引を実際に行う前に他者に知られることにより不利益を受けるおそれがある場合
(ロ) 照会の対象となった取引内容のうち製造方法に特徴があり、公開によって競合する者に知られ不利益を受けるおそれがある場合
(ハ) 照会の対象となった取引に係る情報が、照会に際して秘匿を条件として照会者より任意に提出されたものであり、当該取引の関係者から秘匿を要請されている場合
(ニ) その他一定期間非公開とすることにつき、正当な理由があると認められる場合
ハ 回答書等の内容の公開に関する見直しは、原則として、当該回答がなされてから3年が経過したとき(その後は3年ごと)に行う。ただし、法令の改正又は法令の解釈の変更等により一般の納税者に予測可能性を与えなくなった場合には、その時点で見直しを行う。
なお、個々の事案に関して尊重されなくなったものであっても、一般の納税者に予測可能性を与える場合には、公開の対象とする。
(関税評価に係る事前照会に対する口頭回答の手続等)
7―19の3 口頭による回答を求められた場合における関税評価に関する照会及び回答の手続等については、次による。
(1) 照会者 照会は、貨物を輸入しようとする者、その委任を受けた通関業者等又は当該貨物の輸入取引の事情を概ね把握している利害関係者に行わせるものとする。
(2) 照会者から口頭による回答を希望する照会がなされた場合で、当該照会が口頭による回答が可能な照会であるときは、口頭により回答を行うものとする。
なお、照会に係る取引内容を的確に把握し、適切な回答を行うために特に必要があると認められるときは、資料の追加提出等を求めるものとする。
また、具体的な取引内容説明及び資料の提出がなされ、文書による事前教示回答が可能な関税評価に関する照会については、下記(5)の説明を照会者に対して行い、可能な限り、文書回答を行う場合の事前教示手続により行ってもらうよう努めるものとする。
(注) 「口頭による回答が可能な照会」の要件は、前記7―19の2(関税評価に係る事前照会に対する文書回答の手続等)(2)(ロからニを除く。)に準ずるものとし、関税評価上の取扱いについて回答ができる程の取引内容説明や資料の提出があるような場合には、具体的な輸入予定がなくとも構わないこととする。
(3) 通関部門に照会があった場合には、取引等に係る関税評価上の取扱い等が、法令、法令解釈通達あるいは過去に公開された文書回答等において明らかになっているときを除き、通関部門は自関の首席関税評価官等に引き継ぎ、首席関税評価官等が回答を行うものとする。
(4) 総括関税評価官への協議については、前記7―19の2(5)及び(6)に準じて行うものとする。
(5) 口頭により回答を行うに当たっては、照会者に対し、口頭による照会及び回答の趣旨について説明を行うこととし、特に次の事項を伝えるものとする。
イ 口頭による照会に対する回答については、評価申告及び納税申告の審査上、尊重されるものではなく、尊重される回答を希望する場合には、前記7―19の2の手続により、文書による回答を求める必要があること。
ロ 口頭による照会に対する回答については、不服審査の対象とならないこと。また、文書回答とは異なり、意見の申出を行うことはできないこと。
(6) 口頭により回答を行ったものについては、その照会の概要及び回答内容等のポイントを「口頭照会に対する回答記録票(関税評価用)」(C―1000―12)にとどめるものとする。
(注) 照会を受けた際に、当該照会に係る取引の内容のほか、照会者の名称、担当者名、連絡先電話番号、業種並びに当該照会に係る貨物の輸入時期及び輸入予定官署等について、聴取しておくものとする。




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