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関税のしくみ

1.関税とは

 関税は、歴史的には古代都市国家における手数料に始まり、内国関税、国境関税というような変遷を経てきましたが、今日では一般に「輸入品に課される税」として定義されています。


2.関税率の種類

 日本国憲法第84条は租税法律主義を定めています。これは、租税の種類、納税者、税率など租税に関する重要事項は法律又は法律の条件で定めなければならないということです。従って、関税率は国会の議決を経た法律に基づいて設定されますが、国会の承認を受けて成立した条約に基づいて設定される場合もあります。
 また、関税については、海外及び国内の事情の変化に応じて迅速に対応する必要があることなどの理由から、法律で一定の条件を定め、その範囲内で政令により関税率の変更を行う制度があります。この例として緊急関税制度があげられます。
 わが国の関税率を大別すれば、法律に基づいて定められている税率と条約に基づいて定められている税率とに分けられます。


(1) 法律に基づいて定められている税率

 法律に基づいて定められている税率を国定税率といいます。わが国では、「関税定率法」と「関税暫定措置法」という二つの法律によって国定税率が定められています。「関税定率法」には、事情に変更のない限り長期的に適用される基本的な税率(基本税率)が定められており、平成25年4月現在7,254の税率が設定されています。一方、「関税暫定措置法」には、一時的に基本税率によりがたい事情がある場合に、一定期間基本税率に代わって適用される暫定的な税率(暫定税率)が定められており、常に基本税率に優先して適用されます。平成25年4月現在433の税率が設定されています。

 さらに、「関税暫定措置法」には、開発途上国・地域からの輸入品に対して適用される税率(特恵税率)も定められています。特恵税率は、経済が開発の途上にあり、特恵関税の供与を希望し、わが国が適当であると認めた国・地域に対して適用される税率であり、最恵国待遇の例外として、実行税率(国定税率(特恵税率を除く。)と協定税率のいずれか低い税率)よりも低く設定されています。特恵税率は、原産地等の条件を満たすことにより適用されます。


(2) 条約に基づいて定められている税率

 WTO協定上、WTO加盟国・地域に対して一定率以上の関税を課さないことを約束(譲許)している税率を協定税率(WTO譲許税率とも呼ばれる。)といい、その税率が国定税率より低い場合、WTO全加盟国・地域からの産品に対し等しく適用されます。本来、協定税率はWTO加盟国・地域に対してのみ適用される税率ですが、WTO非加盟国であっても、通商航海条約等の二国間条約(自由貿易協定を除く。)で最恵国待遇を約束している国に対しては、WTO加盟国・地域と同様に協定税率が適用されます。(注1)
 また、条約に基づく税率には、協定税率の他に、最恵国待遇の例外として、EPA(経済連携協定)を締結した相手国からの産品のみを対象とした税率があります。EPAでは、最恵国待遇による実行税率より低い税率が規定されており、原産地等の条件を満たすことにより、国定税率及び協定税率に優先してその税率が適用されます。なお、わが国がこれまでEPAを締結した相手国は、シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN(注2)、フィリピン、スイス、ベトナム、インド及びペルーです。
(注1)WTO非加盟国・地域でかつてわが国と二国間条約を締結していない国・地域であっても、わが国に対して実質的に最恵国待遇と同様の取扱いをしている国・地域については、相互主義に則り、その国・地域との外交関係も考慮しつつ、協定税率が適用される場合があります(便益関税制度)。
(注2)平成25年4月1日現在、ASEANとの協定の締約国は、日本、シンガポール、ラオス、ベトナム、ミャンマー、ブルネイ、マレーシア、タイ、カンボジア及びフィリピンの10か国


3.関税率表

 わが国の関税率については、関税定率法などの別表に定められており、この表のことを「関税率表」といいます。


(1) 関税協力理事会品目表

 関税の制度が各国まちまちで、かつ複雑であっては国際貿易の障害となりがちです。そこで、20世紀の初め、これを簡素化して各国統一しようという動きが欧州で起こり、1952年に関税協力理事会(CCC=現在はWCO)が発足し、ベルギーのブリュッセルに本部が置かれました。そして、CCCによって関税協力理事会品目表(CCCN)が作成され、「関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約」(品目表条約)として1959年に発効しました。


(2) 国際統一商品分類(HS)

 CCCN作成後の貿易構造の変化や科学技術の進歩に対応させるとともに、CCCNを採用していなかったアメリカ、カナダも含めて商品分類の真の国際的統一を図るために、CCCNに替わる新しい品目表としてHSが開発されました。これは、1983年に「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約(HS条約)」として採択され、1988年1月に発効しました。HSは、国際貿易の対象となるすべての商品を網羅するように構成されており、分類の最小単位は号と呼ばれる6桁の数字で示される項目で、5,052号からなっています。これらが21部、97類、1,220項にまとめられています。


(3) わが国の関税率表

 わが国は、昭和62年までCCCNを関税率表に採用していましたが、HS条約の発効とともに、関税率表をHSに合致させるよう改正し、昭和63年1月1日からこの改正した関税率表を使用しています。
わが国の関税率表の6桁分類は、全部で5,051号で、任意採用号である電気エネルギーは採用されていません(わが国は、電気エネルギーの輸出入がないことから、この号は現在は不要ですが、欧米諸国などでは電気エネルギーの輸出入は珍しくありません)。更に、各号には必要に応じて、わが国独自の細分が設けられています。
 なお、HS条約では、関税率表のほか、輸出入統計品目表もHSに適合させることとされているので、わが国は輸出入統計品目表も全面改正し、同年1月1日からHSに適合した統計品目表を使用しています。


4.関税率の形態

(1) 無税品と有税品

 関税率表は、輸入されるすべての商品を分類して税率を定めていますが、その中の一部は無税となっています。
 この無税品は、関税定率法の税率数では全体の約35%です。
 主な無税品としては、鉄鉱石、羊毛、綿花、写真用フィルム、ゴムタイヤ、機械類などがあります。


(2) 税率の形態

 関税は、輸入貨物の価格または数量を課税標準として課されますが、価格を課税標準とするものを「従価税」、数量を課税標準とするものを「従量税」といいます。


イ.従価税
 わが国で最も一般的な関税率の形態は従価税です。従価税は、輸入品の価格に比例して関税負担がかかること、輸入品の価格変動につれて関税額も変化しインフレに適応できるなどの長所がありますが、輸入品の適正な価格の把握が困難であること、輸入品の価格が低くなるほど関税額も低くなり国内産業保護という機能が薄れるなどの短所もあります。
グラフ:従価税 

ロ.従量税
 従量税とは、輸入品の個数、容積、重量などの数量を基準として関税を課するもので、輸入品価格の高低は関税率に影響しません。従量税は、税額を容易に算定できるなどの長所がある反面、物価変動に際し負担の不均衡を生ずるなどの短所があります。
グラフ:従量税 

ハ.混合税
 従価税と従量税を組み合わせたものを混合税といい、これには従価・従量選択税(選択税)と従価・従量併用税(複合税)とがあります。
 選択税は、同一の物品について従価税と従量税の両方を定め、そのうちいずれか税額の高い方(一部の品目については低い方)を課すものです。課税価格の高いところでは従価税が、低いところでは従量税が適用されることになりますので、関税の国内産業保護機能を十分に発揮することができます。現在、毛織物、卵黄、魚油、鉛合金の塊などについて適用されています。
 複合税は、従価税と従量税を同時にかけるもので、従量税は輸入品の価格が高くなるにつれて税率が低くなるため、これに一定の従価税をプラスして国内産業を特に保護しようとするものです。現在、一部の乳製品について適用されています。また、一部の綿織物には、従価税と複合税との選択税が適用されています。
グラフ:混合税

(選択税)

グラフ:複合税

(複合税)


(3) 特殊な形態の関税

イ.差額関税
 輸入品の価格が低い場合には、輸入品の価格と一定水準の価格との差額を関税として課す一方、輸入品の価格が高い場合には、無税又は低税率を適用することにより、国内生産者と国内需要者のバランスを図るものです。
グラフ:差額関税 

ロ.スライド関税
 現在、たまねぎ、銅の塊、鉛の塊など国際市況の変動の激しい物品については、輸入品の価格が低下すれば適当な関税を課す一方、輸入品の価格が上昇すれば無税とすることにより、国内生産者と国内需要者のバランスを図る仕組がとられています。この関税は無税となる付近で、輸入品の価格が高くなるにつれて関税額が減少していくような部分(スライド部分)を有するので、一般にスライド関税と呼ばれています。 
グラフ:スライド関税 

ハ.季節関税
 季節関税とは、輸入される時期によって適用する税率を異にする関税です。
 季節関税の目的は、国産品の出回り期が、季節的に偏っている場合、その期間にこれと競合する輸入品に対し高い関税を課すことにより国産品の保護を図り、その他の季節には低い関税を課すことにより消費者の要望に応えることにあります。現在、バナナ、オレンジなどについて適用されています。
グラフ:季節関税 

ニ.関税割当制度
 関税割当制度は、一定の数量以内の輸入品に限り、無税又は低税率(一次税率)の関税を適用して、需要者に安価な輸入品の提供を確保する一方、この一定数量を超える輸入分については比較的高税率(二次税率)の関税を適用することによって、国内生産者の保護を図る制度です。
 この制度は、昭和36年度の貿易自由化に際し、国内産業に対する急激な衝撃を緩和し、自由化を円滑に定着させるための過渡的措置として採用されたもので、一定数量以内の輸入しか認めない輸入数量制限と比べると一定数量を超えるものであっても二次税率で輸入できるという点で大きく違っています。WTOは原則として数量制限を禁止していますが、関税割当制度については、特定の国に対して差別的に適用しないことを条件として認められています。
 平成25年度現在、ナチュラルチーズ、革、革靴及びウルグアイ・ラウンド合意により関税化された雑豆、こんにゃく芋など20品目について関税割当制度が適用されており、毎年度ごと(品目によっては上半期、下半期ごと)に政令で数量が定められています。

(4) 特殊関税

 特殊関税とは、WTO協定で認められたルールとして、不公正な貿易取引や輸入の急増など特別の事情がある場合に、自国の産業を一時的に救済するため、通常課されている関税に追加的に課される割増関税で、不当廉売関税、相殺関税、報復関税及び緊急関税(セーフガード)などがあります。その他、各経済連携協定に基づく二国間セーフガードがあります。
 このような特殊関税制度については、WTOによる多角的貿易体制の維持・強化等の観点から、制度の濫用や恣意的な運用は避けつつも、適切に活用されることが重要です。


(5) 関税の減免戻税及び還付

 輸入貨物には、無税品でない限り、原則としてそれぞれの実行税率により関税が課されます。
 しかし、輸入貨物が一定の条件に適合する場合には、関税の全部または一部が免除されます(免税または減税)。また、関税納付済の貨物が一定の条件に適合する場合には、納付した関税の全部または一部を払い戻す制度があります(戻税)。そのほか、戻税に類似したものとして関税還付制度があります。
 関税の減免戻税及び還付は、租税法律主義の原則から、法律の根拠が必要ですが、その大部分は関税定率法と関税暫定措置法にあります。これらの制度はわが国の経済、社会、文教などに関する政策上の要請や国際慣行などに基づいて設けられたものですが、その中の主なものについて簡単に説明しましょう。


〔生活関連物資の減免税〕
 主要食糧である米、麦などの輸入価格が国内価格よりも高いとき、価格変動の大きい豚肉の国内価格、輸入価格がともに高いとき、関税を一時的に軽減・免除する制度です。また、食料品、衣料品など国民生活に関連が深いそれ以外の品物についても、輸入価格が著しく上昇した場合などで国民生活の安定のため緊急の必要があり、国内産業に損害を与えるおそれがないときに関税を軽減・免除することもできます。これらは消費者物価の安定のため設けられた措置です。


〔製造用原料品の減免税〕
 特定の製品(飼料等)を製造するために必要な原料(とうもろこし等)について、関税を軽減・免除する制度です。


〔無条件免税〕
 外国旅客の携帯品(酒類3本など)、身体障害者用の物品、1万円以下の少額物品などを免税する制度です。


〔特定用途免税〕
 学術研究用、社会福祉用の寄贈品などを免税する制度です。


〔外交官用貨物などの免税〕
 大使館の公用品などを免税する制度です。


〔輸入時と同一状態で再輸出される場合の戻税〕
 委託販売契約や見込み輸入などによって関税を納付して輸入された貨物が、売れ残りなど何らかの理由で国内使用されることなく、輸入許可の日から1年以内に再輸出される場合には、納付した関税の払戻しをするものです。


〔航空機の部分品などの免税〕
 航空機の部分品などのうち、わが国において製作が困難と認められるものについて関税を免除する制度です。製品類の無税化が進み、その範囲は漸次縮小されています。


〔加工再輸入減税制度〕
 近隣の発展途上国との間の貿易の拡大に資するため、加工または組立てのためわが国から輸出された原材料を用いて1年以内に輸入される織物製衣類などについて、その関税を軽減する制度です。