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輸入事後調査手続に関するQ&A

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1.総論

問1 平成25年1月から輸入事後調査の手続に係る関税法改正規定が施行されることにより、輸入事後調査は変わるのでしょうか。

 今般の改正は、輸入事後調査手続の透明性及び輸入者の予見可能性を高め、調査に当たって輸入者の協力を促すことで、より円滑かつ効果的な調査の実施と、申告納税制度の一層の充実・発展に資する等の観点から、調査手続に関する従来の運用上の取扱いを法令上明確化するものであり、基本的には従来と大きく変化することはありません。
 税関では、法改正の趣旨を踏まえた上で、調査の実施に当たっては法令に定められた輸入事後調査手続を遵守するとともに、調査はその公益的必要性と輸入者の私的利益とのバランスを踏まえ、社会通念上相当と認められる範囲内で、輸入者の理解と協力を得て行うものであることを十分認識し、その適正な遂行に努めることとしています。

【参考】輸入事後調査改正に係る関税法改正の概要

(1)輸入事後調査手続の明確化

輸入事後調査手続について、以下のとおり、現行の運用上の取扱いが法令上明確化されました。

1輸入事後調査に先立ち、税関が原則として事前通知を行うこととされました。ただし、課税の公平確保の観点から、一定の場合には事前通知を行わないこととされています。

2税関の説明責任を強化する観点から、調査終了時の手続が整備されました。

3輸入者から提出された物件の預かりの手続のほか、税関が帳簿書類その他の物件の「提示」「提出」を求めることができることが法令上明確化されました。

〔平成25年1月1日以後に新たに輸入者に対して開始する調査について適用されます(ただし、輸入者から提出された物件の預かりの手続については、平成25年1月1日以後に提出された帳簿書類その他の物件から適用)。〕

(2)更正の請求期間の延長等

輸入者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」の期間(改正前:原則1年)が5年に延長されました。併せて、税関による増額更正の期間(改正前:原則3年)が5年に延長されました。

〔平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する年(度)分について適用されます。〕

(3)処分の理由付記等

関税関係法令上の処分(申請に対する拒否処分及び不利益処分)について理由を付記することとされました。

〔平成25年1月1日以後に行う処分から実施します。〕

2.質問検査権・留置き(預かり)に関する事項

問2 正当な理由がないのに帳簿書類等の提示・提出の求めに応じなければ罰則が科されるということですが、そうなると事実上は強制的に提示・提出が求められることにならないでしょうか。

 帳簿書類等の提示・提出をお願いしたことに対し、正当な理由がないのに提示・提出を拒んだり、虚偽の記載をした帳簿書類等を提示・提出した場合には、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科されることがあります。
 帳簿書類等の提示・提出をお願いする際には、提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、輸入者の理解と協力の下、その承諾を得て行うこととしていますが、適正で公平な課税の実現のため、協力をお願いします。

問3 提出される物件が、調査の過程で調査担当者に提出するために新たに作成された写しである場合には留置きには当たらないとのことですが、自己の事業の用に供するために調査前から所有している物件が写しである場合(取引書類の写しなど)であっても、留置きには当たらないのでしょうか。

 調査の過程で調査担当者に提出するために新たに作成した帳簿書類等の写し(コピー)の提出を受けても留置きには当たらないこととしているのは、通常、そのような写し(コピー)は返還を予定しないものであるためです。他方、輸入者が事業の用に供するために保有している帳簿書類等の写し(コピー)をお預かりする場合は、返還を予定しないものとは言えませんから留置きの手続によりお預かりすることとなります。

問4 提示・提出を求められた帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、どのような方法で提示・提出すればよいのでしょうか。

 帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にしてお示しいただくこととなります。
 一方、提出については、通常は、電磁的記録を調査担当者が確認し得る状態でプリントアウトしたものをお渡しいただくこととなります。また、電磁的記録そのものを提出いただく必要がある場合には、調査担当者が持参した電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)をお願いする場合もありますので、ご協力をお願いします。
(注)提出いただいた電磁的記録については、調査終了後、確実に廃棄(消去)することとしています。

問5 帳簿書類等の提示・提出の求めに対して、正当な理由なく応じない場合には罰則が科されるとのことですが、どのような場合に正当な理由があるとされるのですか。

 どのような場合が正当な理由に該当するかについては、個々の事案に即して具体的に判断する必要がありますし、最終的には裁判所が判断することとなりますから確定的なことはお答えできませんが、例えば、提示・提出を求めた帳簿書類等が、災害等により滅失・毀損するなどして、直ちに提示・提出することが物理的に困難であるような場合などがこれに該当するものと考えられます。

問6 対象となる帳簿書類等が私物である場合には求めを断ることができますか。

 法令上、調査担当者は、調査について必要があるときは、帳簿書類等の提示・提出を求め、これを検査することができるものとされています。 この場合に、例えば、輸入者が法人である場合に代表者名義の個人預金について事業関連性が疑われる場合にその通帳の提示・提出を求めることは、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものと考えられます。
 調査担当者は、その帳簿書類等の提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、ご理解を得られるよう努めることとしていますので、調査へのご協力をお願いします。

問7 調査対象となる輸入者やその関係者について、医師、弁護士のように職業上の守秘義務が課されている場合や宗教法人のように個人の信教に関する情報を保有している場合、業務上の秘密に関する帳簿書類等の提示・提出を拒むことはできますか。

 調査担当者は、調査について必要があると判断した場合には、業務上の秘密に関する帳簿書類等であっても、輸入者の理解と協力の下、その承諾を得て、そのような帳簿書類等を提示・提出いただく場合があります。
 いずれの場合においても、調査のために必要な範囲でお願いしているものであり、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものです。調査担当者には調査を通じて知った秘密を漏らしてはならない義務が課されていますので、調査へのご協力をお願いします。

問8 X年における輸入貨物についての輸入事後調査を行うという事前通知を受けましたが、調査の過程でX年よりずっと以前の帳簿書類等を提示するよう求められました。これはX年以外の輸入事後調査を行っていることになりませんか。

 例えば、X年における輸入貨物に係る金型の無償提供費用などがあった場合にこれについて課税価格に適正に加算されているかどうかを確認するためといった場合のように、調査担当者がX年の輸入貨物に係る申告内容を確認するために必要があると判断したときには、X年以外の帳簿書類等の提示等をお願いすることがあります。
 これはあくまでもX年の輸入貨物に係る調査であって、X年の輸入貨物以外の調査を行っているわけではありません。

問9 調査担当者から、提出した帳簿書類等の留置き(預かり)を求められました。その必要性について納得ができなくても、強制的に留め置かれることはあるのですか。

 輸入事後調査において、例えば、輸入者の事務所等に十分なスペースがない場合や検査の必要がある帳簿書類等が多量なため検査に時間を要する場合のように、調査担当者が帳簿書類等を預かって税関官署内で調査を継続した方が、調査を円滑に実施する観点や輸入者の負担軽減の観点から望ましいと考えられる場合には、帳簿書類等の留置き(預かり)をお願いすることがあります。
 帳簿書類等の留置き(預かり)は、帳簿書類等を留め置く必要性を説明した上、留め置く必要性がなくなるまでの間、帳簿書類等を預かることについて輸入者の理解と協力の下、その承諾を得て行うものですから、承諾なく強制的に留め置くことはありません。

問10 留置き(預かり)に応じた場合でも、申し出れば直ちに返還してもらえますか。また、返還を求めたにもかかわらず返還されない場合、不服を申し立てられますか。

 法令上、留め置いた帳簿書類等については、留め置く必要がなくなったときは遅滞なく返還すべきこととされています。
 また、帳簿書類等の提出をされた方から、お預かりしている帳簿書類等を業務で使用する必要がある等の理由で返還を求められた場合には、特段の支障がない限り速やかに返還しますが、例えば、留め置いた書類が大量にあり、そのコピーに時間がかかる場合のように、直ちに返還すると調査の適正な遂行に支障がある場合には、しばらく返還をお待ちいただくこともあります。
 なお、返還をお待ちいただく場合には、引き続き留置きをさせていただく旨とその理由をご説明しますが、これに納得できないときは、税関長に異議を申し立てることができます。


3.事前通知に関する事項


問11 事前通知は、調査の何日くらい前に行われるのですか。

 実地の調査を行う場合の事前通知の時期については、法令に特段の規定はなく、また、個々のケースによって事情も異なりますので、何日程度前に通知するかを一律にお示しすることは困難ですが、調査開始日までに輸入者が調査を受ける準備等をできるよう、調査までに相当の時間的余裕を置いて行うこととしています。

問12 事前通知を受けた調査開始日時については、どのような場合に変更してもらえるのですか。

 輸入事後調査の事前通知に際しては、あらかじめ輸入者のご都合をお尋ねすることとしていますので、その時点でご都合が悪い日時が分かっている場合には、お申し出ください。お申し出のあったご都合や申告業務、決算業務等の輸入者の事務の繁閑にも配慮して、調査開始日時を調整することとしています。
 また、事前通知後においても、通知した日時について、例えば、一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が生じた場合等には、申し出ていただければ変更を協議します。
 なお、例示した場合以外でも、理由が合理的と考えられれば変更を協議しますので、調査担当者までお申し出ください。

問13 事前通知の際には、なぜ実地の調査が必要なのかについても説明してもらえるのですか。

 法令上、調査の目的(例えば、提出された申告書の記載内容を確認するため)については事前通知すべきこととされていますが、実地の調査を行う理由については、法令上事前通知すべき事項とはされていませんので、これを説明することはありません。

問14 事前通知の際には、調査に要する時間や日数、臨場する調査担当者の人数は教えてもらえるのですか。

 調査に要する時間や日数は調査開始後の状況により異なってきますので、事前通知の時点であらかじめお知らせすることは困難であることをご理解願います。
 なお、調査の臨場が複数回に及ぶこととなる場合には、調査開始後に輸入者のご都合をお尋ねしたところで、次回以降の臨場日などを調整いたします。
 また、調査開始日時に複数の調査担当者が臨場する場合は、事前通知に際し、調査担当者を代表する者の氏名・所属官署に加え、臨場予定人数も併せて連絡することとしています。

問15 実地の調査が行われる場合には必ず事前通知がなされるのですか。

 実地の調査を行う場合には、原則として、調査の対象となる輸入者に対して、調査開始前に相当の時間的余裕を置いて、電話等により、実地の調査を行う旨、調査を開始する日時・場所や調査の対象となる輸入貨物、調査の目的などを通知します。
 ただし、法令の規定に従い、申告内容、過去の調査結果、事業内容などから、事前通知をすると、1違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ、又は、2その他、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合には、事前通知をしないこともあります。
 なお、事前通知が行われない場合でも、運用上、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的などについては、臨場後速やかに説明することとしています。

問16 事前通知なしに実地の調査が行われた場合、事前通知が行われなかった理由の説明はありますか。また、事前通知をしないことに納得できない場合には不服を申し立てられますか。

 法令上、事前通知を行わないこととした理由を説明することとはされていません。ただし、事前通知が行われない場合でも、運用上、調査の対象となる輸入貨物や調査の目的などについては、臨場後速やかに説明することとしています。
 また、事前通知をしないこと自体は不服申立てを行うことのできる処分には当たりませんから、事前通知が行われなかったことについて納得いただけない場合でも、不服申立てを行うことはできません。

問17 取引先等に対する調査を実地の調査として行う場合には、事前通知は行われないのですか。

 税関では、取引先など輸入者以外の方に対する調査を実施しなければ輸入者の申告内容に関する正確な事実の把握が困難と認められる場合には、その取引先等に対し、いわゆる反面調査を実施することがあります。
 いわゆる反面調査の場合には、事前通知に関する法令上の規定はありませんが、運用上、原則として、あらかじめその対象者の方へ連絡を行うこととしています。


4.調査終了の際の手続


問18 調査結果の内容説明を受けた後、調査担当者から修正申告を行うよう勧奨されましたが、勧奨には応じなければいけませんか。

 調査の結果、更正決定等をすべきと認められる非違がある場合には、その内容を説明する際に、原則として、修正申告(又は期限後特例申告)を勧奨することとしています。これは、申告に問題がある場合には、輸入者が自ら是正することが今後の適正申告に資することとなり、申告納税制度の趣旨に適うものと考えられるためです。
 この修正申告の勧奨に応じるかどうかはあくまでも輸入者の任意の判断であり、修正申告の勧奨に応じなければ更正処分が行われますが、応じなかったからといって不利な取扱いを受けることは基本的にはありません。
 なお、修正申告を行った場合には、更正の請求をすることはできますが、不服申立てをすることはできませんので、こうした点をご理解いただいた上で修正申告を行ってください。

問19 調査が終了し、修正申告の勧奨を受けた際に、修正申告をしても更正の請求をすることはできる旨の説明を受けました。これはどういう意味ですか。

 更正の請求は、輸入者が行った申告の課税標準又は税額が過大であったと輸入者が考える場合に、税関に対し、申告した課税標準又は税額を減額する更正を行うことを求めるための手段です。
 例えば、いったんは調査結果の内容説明に納得して修正申告を行ったものの、その後にその修正申告に誤りがあると考えられる場合、一定期間内であれば、更正の請求という手段をとることができます。
 なお、更正の請求に際しては、例えば、正しいと考える税額や更正の請求をする理由など法令で定められた事項を「更正の請求書」に記載するとともに、請求の理由の基礎となる「事実を証明する書類」を併せて提出していただく必要がありますので、ご留意ください。


5.再調査


問20 実地の調査が終了し、「更正決定等をすべきと認められない」旨を通知する書面を受け取りましたが、今後は調査を受けることはないのでしょうか。

 特定の輸入貨物について調査が行われ、調査の結果、更正決定等をすべきと認められないとして最終的な説明が行われた場合や、更正決定等をすべき額があるとして説明を受け修正申告を行うか更正処分を受けた場合は、原則として、その輸入貨物について再度の調査が実施されることはありません。
 ただし、例えば、調査終了後に行われた国内販売先への調査で、当初の調査の際には把握されていなかった非違があることが明らかになった場合のように、法令上定められている「新たに得られた情報に照らして非違があると認めるとき」との要件に該当する場合は、既に調査の対象となった輸入貨物についてであっても再調査を実施することがあります。

問21 過去に調査対象となった輸入貨物について再調査が行われる場合、なぜ再調査が行われるのかについて説明してもらえるのでしょうか。

 過去に調査を行った輸入貨物であっても、例えば、国内販売先への調査により非違につながる情報を把握した場合には、再度、同じ輸入貨物について調査を行うことがあります。このような場合には、再調査することにつき原則として事前通知を行いますが、当初の調査の場合と同様、再調査を行う理由については説明することはありません。


6.理由付記


問22 今回の関税法改正により処分の理由付記の対象が拡大されたとのことですが、その内容を教えてください。

 関税法又は関税に関する法律に基づく処分については、従来、関税法上、行政手続法における理由付記に係る規定が適用されないこととされていましたが、今回の改正により、その適用があることになりました。
 原則として、平成25 年1月1日以後に行われる更正処分や加算税の賦課決定処分から対象となります。


7.その他


問23 調査の過程で、事前通知を受けた対象期間以外の期間の輸入貨物についても調査が及ぶこととなった場合には、調査の対象を拡大する旨や理由は説明してもらえるのですか。また、調査の対象が拡大することに対して納得できない場合には、不服を申し立てられますか。

 実地の調査を行う過程で、把握された非違と同様の誤りが事前通知をした調査対象期間より以前にも発生していることが疑われる場合のように、事前通知した事項以外の事項について非違が疑われた場合には、事前通知した事項以外の事項について調査を行うことがあります。
 この場合には、輸入者に対し、調査対象に追加する事項について説明し理解と協力を得た上で行いますが、当初の調査の場合と同様、追加する理由については説明することはありません。

 また、調査を行うこと自体は不服申立てを行うことのできる処分には当たりませんから、仮に事前通知事項以外の事項を調査することの必要性についてご納得いただけない場合でも、不服申立てを行うことはできません。

問24 事業の相談にのってもらっている会計事務所の方などに調査の現場に立ち会ってもらうことはできますか。

 調査に立ち会って、税関に対して輸入者の代わりに調査につき主張・陳述を業として行うことは通関業務に当たりますから、原則として、通関業者等しか行うことはできません。
(注)通関業者のほか、弁護士や弁護士法人、事務の内容により弁理士及び特許業務法人も行うことができます。
 また、単に調査に立ち会うだけであっても、第三者が同席している状態で調査を行うことで調査担当者に課せられている守秘義務に抵触する可能性がある場合には、通関業者等以外の第三者の立会いはお断りしています。
 ただし、その方が、日頃、輸入者の記帳事務等を担当しているような場合には、調査を円滑に進めるために、調査担当者が必要と認めた範囲で調査に同席いただくことはあります。

以上