新しい分析法の調査・研究
私たちは、次々に開発される新しい素材・材料および組成の複雑な輸入品などに的確かつ迅速に対応するため、つねに新しい分析法の研究開発に努めています。また、世界各国の分析法に関する研究、最先端の分析技術の応用などによって、すでに各税関で使われている分析法に関しても改良のための研究を重ねています。この他、いろいろな角度から税関の分析技術水準の向上をバックアップしています。
ワシントン条約に関する分析法の改良・開発
絶滅の危機に瀕している動植物やそれに関する商品(象牙、鯨肉など)はワシントン条約で、貿易取引禁止あるいは輸入が規制されています。私たちは、それらの動物の肉や動物の骨などを材料とした物品を迅速に鑑別するため、最新の分析技術を駆使してより効率的で、より正確な分析法を研究しています。
▲密輸を摘発された象牙動物肉のタンパク質分析による鑑別
タンパク質は、約20種類のアミノ酸が結合したもので、その数や組み合わせによりそれぞれ違いがあります。「電気泳動装置」を使って、動物肉に含まれるタンパク質を大きさごとに分離することで、牛肉や鯨肉の鑑別が行えます。
動物種のDNA塩基配列による鑑別
DNAは細胞内の核やミトコンドリアに存在し、その構造は4種類の塩基がりん酸と糖からなる鎖に結合したものです。塩基の数や組み合わせは動物種によりそれぞれ異なります。「DNA分析装置」を使って、塩基配列を調べることで、動物種の鑑別が可能です。
税関分析法の開発・制定
輸入される物品の種類や材質・材料などは、時代とともに変化していきます。私たちは、つねに時代が求める輸入品の分析法をタイムリーに開発する必要があります。また、同じ物品を分析するときに、税関ごとに異なる分析法を採用すると、分析結果が異なる場合があり、関税の公平性が損なわれることが想定されます。このため、私たちは全国のすべての税関で分析方法の統一化を図るための「税関分析法」を制定し、関税の公平性の確保に貢献しています。