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条件2 EU域内で生産された貨物が日EU・EPA上の「原産品」であると認められること

原産品の要件(第3・2条)

日EU・EPA上の原産品と認められるためには、輸入を予定している貨物について締約国(日本に輸入する貨物についてはEU域内)において一定の生産が行われていることが必要です。具体的には、生産された産品が以下の(a)〜(c)のいずれかの類型にあてはまることが必要です。

  • (a)完全生産品(第3・2条1(a))
  • (b)原産材料のみから生産される産品(第3・2条1(b))
  • (c)品目別原産地規則を満たす産品(第3・2条1(c))

(a)完全生産品(第3・2条1(a))

日EU・EPA第3・3条に定めるところにより、締約国において完全に得られ、又は生産される産品のことです。例えば、

  • 当該締約国において収穫される植物又は植物性生産品
  • 当該締約国において狩猟や捕獲により得られる動物

などが掲げられています。

第3・3条完全に得られる産品

1 前条の規定の適用上、次に掲げる産品は、締約国において完全に得られる産品とする。

  • (a) 当該締約国において栽培され、耕作され、収穫され、採取され、又は採集される植物又は植物性生産品
  • (b) 生きている動物であって、当該締約国において生まれ、かつ、成育されたもの
  • (c) 生きている動物(当該締約国において成育されたもの)から得られる産品
  • (d) とさつされた動物(当該締約国において生まれ、かつ、成育されたもの)から得られる産品
  • (e) 当該締約国において狩猟、わなかけ、漁ろう、採集又は捕獲により得られる動物
  • (f) 当該締約国において養殖により得られる産品
  • (g) 当該締約国において抽出され、又は得られる鉱物その他の天然の物質((a)から(f)までに規定するものを除く。)
  • (h) 当該締約国の船舶により、両締約国の領海の外側に位置し、かつ、国際法に基づく第三国の領海の外側に位置する海、海底又はその下から得られる魚介類その他の海洋生物
  • (i) 両締約国の領海の外側に位置し、かつ、国際法に基づく第三国の領海の外側に位置する当該締約国の工船上で(h)に規定する産品のみから生産される産品
  • (j) 当該締約国又は当該締約国の者により、両締約国の領海の外側に位置し、かつ、第三国が管轄権を行使する区域の外側に位置する海底又はその下から得られる産品(魚介類その他の海洋生物を除く。)。ただし、当該締約国又は当該締約国の者が、国際法に基づき当該海底又はその下を開発する権利を有することを条件とする。
  • (k) 次のいずれかの産品
     (@)当該締約国における生産から生ずる廃品又はくず
     (A)当該締約国において収集される使用済みの産品から生ずる廃品又はくずであって、原材料の回収にのみ適するもの
  • (l) 当該締約国において(a)から(k)までに規定する産品又はこれらの派生物のみから生産される産品

(b)原産材料のみから生産される産品(第3・2条1(b))

他方の締約国の原産材料のみから生産される産品のことです。

「締約国」とは

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日EU・EPA上の「締約国」とは、日本又はEUのことをいいます。
 EU域内を一の領域とみなしていることから、例えばフランスで生産したワインが原産品と認められる場合には、当該ワインは「日EU・EPA上のフランス原産品」ではなく、「日EU・EPA上のEU原産品」となります。

日EU協定における特恵税率の地理的適用範囲

「原産材料」とは

日EU・EPA上のEU原産品を材料として、他の産品の生産に使用する場合、当該材料を「原産材料」といいます。産品の生産に使用されている「一次材料」がすべて原産材料であるものを、「原産材料のみから生産される産品」といいます。

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(c)品目別原産地規則を満たす産品(第3・2条1(c))

非原産材料を使用して生産される産品であって、附属書3−B(品目別原産地規則)に定める要件を満たすもののことです。

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「非原産材料」とは

産品を生産するために、日EU・EPAの原産品ではない産品(原産品であるかどうかが不明な材料を含む)を材料として使用した場合、当該材料を「非原産材料」といいます。

品目別原産地規則(附属書3−B)とは

非原産材料を使用して生産される産品が原産品と認められるための基準を、HS番号ごとにとりまとめたものが品目別原産地規則です。日EU・EPAでは附属書3−Bに規定されています。

附属書3−B(品目別原産地規則)

品目別原産地規則検索

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※品目別原産地規則を満たしたとしても、非原産材料に対する締約国における作業が、単純な作業(十分な変更とはみなされない作業又は加工)であれば、原産品とは認められません。(第3・4条)

(参考)原産品であることの証明負担の軽減について

「(b)原産材料のみから生産される産品」であることを示すためには、使用している全ての一次材料について、原産品であるか非原産品であるかを確認することが必要となります。
 一方で、一次材料の全てについて原産品であるかを確認するよりも「(c)品目別原産地規則を満たす産品」にあてはまるかを確認する方が、証明負担が軽い場合も考えられます。

※品目別原産地規則を満たしたとしても、非原産材料に対する締約国における作業が、単純な作業(十分な変更とはみなされない作業又は加工)であれば、原産品とは認められません。(第3・4条)

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(例)イタリアで生産される「野菜の酢漬け」(HS2001.90)に、日EU・EPAの特恵税率を適用して輸入したい

【材料】きゅうり、玉ねぎ、にんじん(いずれも第7類)、食塩(第25.01項)、酢酸(第22.09項)

方法1

当該野菜の酢漬けが、「(b)原産材料のみから生産される産品」として日EU・EPA上のEU原産品であることを示すためには、全ての一次材料(きゅうり・玉ねぎ・にんじん・食塩・酢酸)が原産材料(=日EU・EPA上のEU原産品)であることが必要であるため、それを示す情報(書類)が必要となる。

方法2

材料の全てについてEUの非原産品であるとみなした場合において、それらの材料が全て品目別原産地規則を満たせば、当該野菜の酢漬けは「(c)品目別原産地規則を満たす産品」として日EU・EPA上のEU原産品であると認められる。

【日EU・EPA 品目別原産地規則 第20.01項:CC】

この例では、HS番号にCC(類レベルでの変更)が起きていることが原産品であるための要件なので、当該事実を示す産品とすべての材料のHS番号を示す情報は必要であるが、全ての材料が原産材料である情報は必要ない。

(結論)

どちらの方法を適用しても、日EU・EPA上のEU原産品と認められる。
方法1の場合→ (b) 原産材料のみから生産される産品
方法2の場合→ (c) 品目別原産地規則を満たす産品
→ 負担がより軽い方を選択して証明すればよい。

(参考)関税分類変更基準を検討するときのHS番号について

「関税分類変更基準」とは、産品のHS番号と、使用された全ての非原産材料のHS番号が異なることとなった場合に、当該産品を原産品と認めるというものです。
 しかし、関税分類変更が起きていることを示すにあたっては、材料のHS番号は必ずしも「号」(6桁)まで特定する必要はありません。類(上2桁)や項(上4桁)まで判明すれば十分な場合もあります。

【例】スペインで生産される「虫よけスプレー」(HS番号第3808.99号)に、日EU・EPAに係る特恵税率を適用して輸入したい。

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非原産材料が使用されていることから、産品(虫よけスプレー)がEU原産品と認められるためには、品目別原産地規則を満たすことが必要となる。

【品目別原産地規則第38.08項】

CTSH、
化学反応、精製、・・・若しくは生物工学的工程が行われること、
MaxNOM50パーセント(EXW)又は
RVC55パーセント(FOB)

上記の品目別原産地規則に規定されるいずれかの要件を満たせば原産品と認められるが、以下では「CTSH」を検討する。
(注)CTSH:産品の生産に使用された全ての非原産材料について号(6桁)変更が行われること

本事例においては全ての非原産材料に号変更が起きていますが、それを示すためには当該非原産材料が

  1. 第38類に属するものではない場合には、2桁までの確認で十分です(例:第29類であること)。
  2. 第38類に属するものである場合であっても、第38.08項以外である場合には、4桁までの確認で十分です。
  3. しかし、第38.08項に属するものであることが判明した場合には、号(6桁)まで特定しなければ、非原産材料と産品との間で号変更が起きていることがわからないことから、号まで特定することが必要となります。
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