主要分析機器 Analytical Instrument
超臨界分析システム
Supercritical Fluid Chromatograph (SFC)
通常、気体または液体である物質が「臨界点」とよばれるある温度と圧力の一定条件を超えると、気体と液体の区別がつかない超臨界流体となり、混合物から特定の成分を抽出分離する能力に優れた性質を示します。
この超臨界流体にした二酸化炭素により多数の成分からなる試料から各々の成分を分離・抽出し、その成分の含有量を測定する装置です。
- 石油製品中の芳香族成分の分離・定量及びこしょう中のピペリンの抽出等に使用します。
粘弾性測定装置
Viscoelasticity Measuring Instrument
プラスチック等の粘性(ある温度における流動性)や弾性(物質に力を加えて変形させた後、その物質が元の形に戻ろうとする性質)の度合いを測定する装置です。
- 関税率表第34類のワックス類(ろう)等の分析に使用します。
アミノ態窒素測定装置
Amino Nitrogen Analyzer
たんぱく質は、約20種類のアミノ酸が数千〜数万個結合した高分子物質の一種であり、酵素等により、アミノ酸が数十〜数百個程度結合したペプトンや最小単位であるアミノ酸に分解します。たんぱく質やペプトンは亜硝酸を加えても反応しませんが、アミノ酸に亜硝酸を加えると化学反応によりその構成元素の一つである窒素を発生するため、これを利用して、試料に含まれるアミノ酸由来の窒素量を測定する装置です。
- たんぱく質の分解物(ペプトン)、濃縮ジュース等の分析に使用します。
酸素透過率測定装置
Oxygen Transmission Rate Measurement System
プラスチックフィルム等の片面に酸素を当て、透過してきた酸素をセンサーで検出し、酸素の透過率を測定する装置です。
- 包装用フィルムが、関税分類における気密容器に該当するか否かを判定するために使用します。
ICP発光分光分析装置
Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometer (ICP-AES)
アルゴンプラズマ(アルゴンガスを高周波で放電させたもの)中に金属元素を溶かした溶液を噴霧したとき、各元素に固有の波長の光を発し、かつ、その発光強度は元素の濃度と比例関係にあります。この性質を利用して、光の波長及び発光強度を検出することにより、元素の判定及び含有量を測定する装置です。
- 金属中の各元素の定量に使用します。
安定同位体比質量分析装置
Isotope Ratio Mass Spectrometer (IR-MS)
各元素には、元素が同じでありながら質量が異なる「同位体」と呼ばれるものが存在します。このうち、長期間たっても質量が変化しないものを「安定同位体」と呼びます。
有機化合物等には、その構成している元素(炭素、水素、窒素)の安定同位体が必ず微量に存在し、原産地の違いなどによりその重量割合(同位体比)が異なってきます。
この装置は、試料を燃焼させて生じた炭酸ガス(質量44)及び窒素ガス(質量28)とこれらの安定同位体からなる炭酸ガス(質量45、46のもの)及び窒素ガス(質量29、30のもの)を質量分析計で検出し、その信号強度から炭素及び窒素の同位体比を算出します。
- 糖類、有機化合物等について、原料の特定、天然・人造の判別、原産地の特定等に使用します。
CHN元素分析装置
CHN-Elemental Analyzer
一般的に、有機化合物は炭素、窒素、水素からなり、これを燃焼させるとそれぞれ、炭酸ガス、二酸化窒素、水蒸気を発生します。この発生した炭酸ガス、二酸化窒素及び水蒸気を検出し、炭素、水素及び窒素の含有量を測定する装置です。
- プラスチックや医薬品等の組成(炭素、水素、窒素の構成比)を求めるために使用します。
比表面積測定装置
Surface Area Measuring Instrument
一般的に物質を活性化させると、比表面積(単位重量あたりの物質の表面積)は元の物質の比表面積に比べて著しく大きくなり、かつ、吸着能力も著しく高くなります。
この装置は、試料に窒素ガスを極めて低温(−196℃)で吸着させた後に再び水で暖めて窒素ガスを脱着させ、吸着及び脱着したガス量と表面積を測定し、試料重量との関係式から試料の比表面積を算出します。
- 炭が活性化されているか否かの判別等のために使用します。
高速液体クロマトグラフ
High Performance Liquid Chromatography Equipment
複数の成分を含有する試料を液体に溶かし、固定相(カラム)に対する親和力の差を利用することにより各々の成分に分離して、その成分の含有量を測定する装置です。
- ジュース中の砂糖の含有量や医薬品中に含まれる向精神薬等の含有量の測定に使用します。
ガスクロマトグラフ
Gas Chromatography Equipment
複数の成分を含有する試料を加熱してガス化し、固定相(カラム)に対する親和力の差を利用することにより各々の成分を分離して、その成分の含有量を測定する装置です。
- 油脂、石油、香料、医薬品等の分析に使用します。
赤外分光光度計
Infrared Spectrophotometer
物質は、ある特定の波長の光(赤外線)を吸収する性質を有し、この吸収する光の波長は、化学構造において固有のものです。この性質を利用し、物質に光(赤外線)を照射して吸収される光(赤外線)の波長を測定する装置です。
- 有機化合物、麻薬、プラスチック等の種類の特定に使用します。
DNA分析装置DNA Analytic Equipment
生物の遺伝情報は、細胞中のDNA(デオキシリボ核酸)の並び方(塩基配列)によって記録されており、微生物から人間までほとんど同じ塩基配列を有する部分と生物の種によって異なる塩基配列の部分があります。このうち、生物により異なる塩基配列の部分を選択的に抽出し、生物がどの種のものであるかを鑑別する装置です。
- まぐろ、鯨、鮭、あさり等の種を鑑別するために使用します。
質量分析装置(MS)
Mass Spectrometer (MS)
物質に電子をぶつけ、その化学構造を壊してできた断片(フラグメント)は、物質により固有のものです。この性質を利用して、断片(フラグメント)の重さ(質量)を測定することで、物質を特定する装置です。
- 錠剤等に含まれている薬物成分を特定するために使用します。
核磁気共鳴装置(NMR)
Nuclear Magnetic Resonance (NMR) Equipment
物質を構成している元素(炭素、水素等)は、ある特定の周波数の電磁波と共鳴(外部からのエネルギーにより振動すること)するという性質をもっています。この性質を利用して、いろいろな周波数の電磁波を発生させてどの周波数と共鳴するかを測定することにより、物質の化学構造を特定する装置です。
- 医薬品、麻薬、プラスチック等の化学構造の特定に使用します。
ゴム試験装置
Rubber Testing Equipment
ゴムの特性である伸縮性を測定する装置です。
- 関税率表第40類の合成ゴムか、第39類の合成高分子かの判定を行うために使用します。
X線回折装置
X-ray Diffractometer
物質にX線を照射し、その物質の角度を変えると、物質の結晶構造により固有の角度でX線が反射します。この性質を利用して、X線の反射角度を測定することにより物質の結晶構造を測定する装置です。
- 金属や鉱物等の組成分析に使用します。
蛍光X線分析装置
Fluorescence X-ray Spectrometer
物質にX線を照射したときに発生する元素固有のX線(特性X線)を検出することにより、物質に含まれる元素の種類を特定する装置です。
- 金属、鉱物等の元素の特定に使用します。
走査電子顕微鏡
Scanning Electron Microscope
電子線を物質の表面にあて、反射してくる電子線の量の違いを用いて画像化する装置です。また、電子顕微鏡は、電子線をあてる領域により拡大倍率を変える方法を用いており、光学顕微鏡より拡大できる倍率が高く(物質を最大30万倍に拡大できる)、表面をより詳細に観察できます。
- 鉱物、繊維、皮革等の表面状態を詳細に観察するために用います。
全自動窒素・たんぱく質迅速定量装置
Fully Automatic Nitrogen/Protein Rapid Measurement Equipment
たんぱく質は、食品中に含まれる3大栄養素のひとつであり、窒素を含む化合物です。この窒素の量を測定することにより、たんぱく質含有量を測定する装置です。
- 乳製品、飼料等に含まれるたんぱく質の含有量測定に使用します。