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 フェロシリコマンガンに対して課する不当廉売関税に関する政令をここに公布する。

御 名  御 璽

平成五年二月三日
内閣総理大臣 宮澤 喜一 

政令第十五号
フェロシリコマンガンに対して課する不当廉売関税に関する政令
 内閣は、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)第九条第一項及び第十三項の規定に基づき、この政令を制定する。
 (課税物件)
第一条 関税定率法(以下「法」という。)の別表第七二〇二・三〇号に掲げるフェロシリコマンガン(炭素の含有量が全重量の〇・一五パーセント以下で、かつ、りんの含有量が全重量の〇・一パーセント以下のものであって、硫黄の含有量が全重量の〇・〇ニパーセント以下のものを除くものとし、目開きが十ミリメートルのふるいに対する通過率が全重量の九十パーセント未満のものに限る。以下単に「フェロシリコマンガン」という。)のうち中華人民共和国(以下「特定輸出国」という。)を原産地とするものであって、特定輸出国から輸入されるもの(特定輸出国から本邦及び特定輸出国以外の国又は地域を経由して輸入されるものを含み、別表第一の上欄に掲げるフェロシリコマンガンで同表の下欄に掲げる輸出者から輸入されるものを除く。以下「特定貨物」という。)には、法第九条の規定及びこの政令により、不当廉売関税を課する。
2 この政令における原産地の意義については、関税暫定措置法施行令(昭和三十五年政令第六十九号)第二十二条の七第一項に定めるところによる。
3 特定輸出国を原産地とするフェロシリコマンガンの特定輸出国から本邦への輸出(本邦及び特定輸出国以外の国又は地域を経由して本邦に輸出される場合にあっては、当該国又は地域への輸出)に係る契約の特定輸出国における当事者が単なる名義人であって、当該フェロシリコマンガンの輸出に係る対価を享受せず、その者以外の者がその対価を享受する場合には、当該フェロシリコマンガンの輸出は、当該対価を享受する者が行ったものとして、この政令の規定を適用する。
4 保税工場又は総合保税地域において行われた特定貨物を原料の一部とする製造による製品である外国貨物が輸入される場合には、当該外国貨物の関税の確定については、関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第六十二条において準用する同法第五十二条第一項又は同法第六十二条の十の規定によりその原料である外国貨物を当該保税工場若しくは総合保税地域に置くこと又は製造に使用することが承認された時の性質及び数量によるものとする。
5 関税法施行令(昭和二十九年政令第百五十号)第四十八条(同令第五十一条の十五において準用する場合を含む。)の規定は前項に規定する製造を開始しようとする場合について、同令第四十八条の二(同令第五十一条の十五において準用する場合を含む。)の規定は同項に規定する製品である外国貨物が輸入される場合について、それぞれ準用する。この場合において、同令第四十八条中「法第六十条第一項(原料課税)の税関長の承認を受けようとするとき」とあり、及び同令第五十一条の十五において準用する同令第四十八条中「法第六十二条の十五(総合保税地域)において準用する法第六十条第一項(原料課税)の税関長の承認を受けようとするとき」とあるのは「フェロシリコマンガンに対して課する不当廉売関税に関する政令第一条第一項に規定する特定貨物を原料の一部とする製造を開始しようとするとき」と、同令第四十八条第一号中「、製品及び法第六十条第一項の規定の適用を受けようとする期間」とあり、及び同令第五十一条の十五において準用する同令第四十八条第一号中「、製品及び法第六十二条の十五(総合保税地域)において準用する法第六十条第一項の規定の適用を受けようとする期間」とあるのは「及び製品」と、同令第四十八条第二号(同令第五十一条の十五において準用する場合を含む。)中「品名」とあるのは「品名並びに特定貨物の製造者及び輸出者」と、同令第四十八条の二中「法第六十条第一項(原料課税)の税関長の承認を受けたもの」とあり、及び同令第五十一条の十五において準用する同令第四十八条の二中「法第六十二条の十五(総合保税地域)において準用する法第六十条第一項(原料課税)の税関長の承認を受けたもの」とあるのは「前条に規定する特定貨物を原料の一部として製造されたもの」と読み替えるものとする。
(税率)
第二条 特定貨物に課する不当廉売関税の税率は、二十七・二パーセント(別表第二の上欄に掲げる特定貨物で、同表の中欄に掲げる輸出者から輸入されるもの(本邦及び特定輸出国以外の国又は地域を経由して輸入されるものを含む。)にあっては、それぞれ同表の下欄に定める税率)とする。
(提出書類)
第三条 税関長は、フェロシリコマンガン又は保税工場若しくは総合保税地域において行われたフェロシリコマンガンを原料の一部とする製造による製品である外国貨物を輸入しようとする者に対し、当該フェロシリコマンガンの原産地を証明した書類を提出させることができる。
2 特定輸出国を原産地とするフェロシリコマンガン又は保税工場若しくは総合保税地域において行われた特定輸出国を原産地とするフェロシリコマンガンを原料の一部とする製造による製品である外国貨物を輸入しようとする者は、当該フェロシリコマンガンの製造者の作成した当該フェロシリコマンガンの輸出者との間の取引についての書類その他税率の適用のために必要な書類を税関長に提出しなければならない。
3 関税暫定措置法施行令第二十二条の八第三項及び第四項並びに第二十二条の十の規定は第一項の書類について、同令第二十二条の九の規定は前二項の書類について、それぞれ準用する。
(関税法の適用)
第四条 特定貨物に課する不当廉売関税及び一般税率(法の別表の税率(関税暫定措置法(昭和三十五年法律第三十六号)別表第一(B)に定める税率の適用がある場合にあっては、当該税率)及び条約に規定する税率のうちいずれか低いもの(関税暫定措置法第八条の二第一項の規定の適用がある場合にあっては、無税)をいう。)による関税については、それぞれ別個の関税として関税法第二章の規定を適用する。
(還付)
第五条 特定貨物に係る法第九条第一項に規定する正常価格と不当廉売価格との差額(以下この項において「不当廉売差額」という。)が平成三年十月一日以後において減少したことその他の事情により、特定貨物の輸入者が当該特定貨物の輸入につき納付した不当廉売関税の額が、当該輸入の日の属する計算期間(毎年二月一日から翌年一月三十一日までの期間をいう。以下この項において同じ。)について当該特定貨物及びその輸出者につき算出される不当廉売差額(第四項において「輸入時の不当廉売差額」という。)に当該輸入に係る特定貨物の数量を乗じて得た額を超えることとなった場合には、当該輸入者は、当該計算期間の経過後において、当該特定貨物の輸入地を所轄する税関長に対し、当該超える部分の額の当該計算期間における合算額(以下この条において「要還付額」という。)に相当する不当廉売関税の還付を請求することができる。
2 前項の規定により還付を請求しようとする者は、還付を受けようとする不当廉売関税の額及びその計算の基礎を記載した還付請求書に要還付額があることについての十分な証拠を添えて、同項の輸入地を所轄する税関長に提出しなければならない。
3 税関長は、前項の規定により提出された書面の写し二通を大蔵大臣に送付するものとする。この場合において、大蔵大臣は当該写し一通を通商産業大臣に送付するものとする。
4 大蔵大臣及び通商産業大臣は、前項の書面の写しの送付を受けた場合において、当該還付の請求につき第二項に規定する十分な証拠があると認めるときは、当該還付の請求に係る特定貨物に係る輸入時の不当廉売差額について調査を行うものとする。この場合において、大蔵大臣及び通商産業大臣は、調査に関し常に緊密な連絡を保つとともに、調査に関する重要事項について協議の上定めるものとする。
5 前項の調査は、第二項に規定する十分な証拠を添えた還付請求書の提出があった日から一年以内に終了するものとする。ただし、特別の理由により必要があると認められる期間に限り、その期間を延長することができる。
6 大蔵大臣は、第四項の調査が終了したときは、その調査の結果を税関長に通知するものとする。
7 税関長は、前項の規定により通知された調査の結果に基づき、要還付額の有無その他必要な事項について調査し、その調査したところにより、その請求に係る金額を限度として不当廉売関税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する。
8 関税法第十三条第二項から第七項まで及び第十四条の三の規定は、前各項の規定により不当廉売関税を還付する場合について準用する。この場合において、同法第十三条第二項に規定する還付加算金の計算の基礎となる同項の期間は、第一項の規定による還付の請求がされた日の翌日から起算するものとする。
附 則
1 この政令は、公布の日から施行する。
2 この政令の施行前にフェロシリコマンガンの原産地である国又は地域から本邦に向けて(本邦及び当該原産地である国又は地域以外の国又は地域を経由する場合にあっては、当該国又は地域に向けて)送り出されたフェロシリコマンガンについては、この政令の規定は適用しない。
別表第一(第一条関係)
フェロシリコマンガン
輸  出  者
山西省陽泉市平州硅#合金厰により製造されたもの
五礦国際有色金属貿易公司
上思鉄合金厰により製造されたもの
中国冶金進出口公司広西分公司
別表第二(第二条関係)
特 定 貨 物
輸  出  者
税  率
峨眉鉄合金厰又は広漢市金山冶煉一厰により製造されたもの
中国冶金進出口公司四川分公司
四・五%
甘粛省嘉峪関市電石厰により製造されたもの
中国冶金進出口総公司
一〇・一%
吉林鉄合金工厰により製造されたもの
中国冶金進出口公司吉林鉄合金分公司
一一・三%
上海鉄合金厰により製造されたもの
上海市五金鑛産進出口公司
一九・一%
中国有色金属進出口総公司浙江分公司
八・五%
平成三年十月一日以後に特定輸出国においてフェロシリコマンガンの製造の事業を開始した者により製造されたもの
特定輸出国のすべての輸出者
八・九%
大蔵大臣 林  義郎 
通商産業大臣 森  喜朗 
内閣総理大臣 宮澤 喜一 

(平成5年2月3日官報第1087号掲載)

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