(2) 大麻

 1)  世界的傾向
 (要旨)
大麻は、世界で最も多く乱用されている薬物であり、世界のあらゆる地域で生産されている。特に中・南米、東南アジアの一部地域、中近東地域が主要な生産地となっている。また、西欧地域及び北米地域の一部並びに豪州における大麻の室内水耕栽培の横行が懸念されている。
 
 (摘発状況)
<大麻草>
 2000年の総摘発数量は759,777キロであり、前年比で8%減少したものの、依然として高い水準で推移している。地域別の割合を見てみると、アメリカ地域が92.4%、欧州地域6.1%、アジア・大洋州地域が0.9%を占めている。全摘発数量に占める割合を国別に見てみると、米国が81.3%、パラグアイが6.7%、コロンビアが2.1%、イタリアが1.1%、イギリスが1.0%となっている。

大麻草

大麻草

 
<大麻樹脂>
 2000年における総摘発数量は419,433キロであり、前年比で16%増加した。地域別に見てみると、欧州地域が58.5%であり、アフリカ地域が29.5%、アメリカ地域が7.5%、アジア・大洋州地域が4.5%となっている。摘発数量が多い国は、スペイン(37.6%)、モロッコ(24.2%)、フランス(7.6%)、イギリス(6.4%)、パキスタン(4.1%)等である。

大麻樹脂

大麻樹脂

 2)  密輸ルート

大 麻 の 主 要 密 輸 ル ー ト

大麻の主要密輸ルート

 3)  地域別密輸傾向等の概要
 (欧州地域)
欧州地域における大麻草の摘発数量は近年減少傾向にある。2000年の摘発数量は、特にイギリス、オランダ、ドイツ等での摘発数量が大幅に減少したこともあり、前年比36%減の約46トンであり、近年における最低レベルとなった。これに対して、摘発件数は前年比で84%増加の456件となっており、一件あたりの密輸数量が比較的少量になっていることが窺われる。
2000年には5トン以上の大口密輸は摘発されておらず、ベルギーで摘発されたレバノン仕出しの海上コンテナーに積載された約3.4トンの大麻草が欧州地域における最大の摘発であった。
欧州地域で摘発された大麻草の32%がアルバニアを仕出地とするものであった。アルバニアからの密輸ルートとしては、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、スロベニアを経由し、イタリアを通過してオーストリアから西側方面に至るルートが好んで用いられている。ジャマイカは、特にイギリスに向けて密輸される大麻草の仕出地であり、2000年には欧州全体の摘発数量の13%(約6トン)を占めた。この他、コロンビア、南アフリカ等も欧州向け大麻草の仕出地となっている。
2000年における大麻樹脂の摘発数量は約245トン(1,364件)であり、前年比で10%減となった。モロッコは引き続き欧州向け大麻樹脂の主要な仕出国であり、スペインが主要な持ち込み地点となっている。スペインでの摘発数量は昨年に引き続き世界最多の約157.7トンであり、全世界の摘発数量の37.6%を占めている。
   (アメリカ地域)
大麻は北米、南米のあらゆる地域で、乱用されている主要な薬物であり、同地域内のいたるところで栽培されている。また、インターネットで簡単に情報が入手できることもあり、特に米国では大麻の室内水耕栽培の増加が深刻な問題となっている。
アメリカ地域における大麻草の摘発数量は前年比13%増の約755トンであり、特に南米地域及び米国において増加傾向が顕著である。
2000年における米国での大麻草の摘発数量は約617.4トン(14,775件)にのぼった。米国司法省によれば、米国に密輸される大麻草の主要な生産国は、コロンビア、カナダ、ジャマイカであり、中米及びメキシコを経由する陸路を使って膨大な量の大麻草が米国に密輸されている。国際麻薬統制委員会(INCB)の報告によると、カナダでの違法な大麻の年間生産量は約800トンであり、その内60%以上が米国に密輸されている。
南米地域では、パラグアイで約51トンの大麻草が摘発されており、引き続き大麻草の主要仕出し国となっている。コロンビアは米国や欧州地域向けの大麻の主要生産国となっている。
カリブ地域における大麻草の摘発数量は、前年の約16.6トンから大幅に減少し、約5.2トンとなった。ジャマイカで生産された大麻草は、飛行機や船を使って欧州、米国、カナダ等に密輸されている。
アメリカ地域における大麻樹脂の摘発数量は前年比3倍の約31.8トンであった。国別では、カナダが最多の約20.8トン(141件)の大麻樹脂を摘発しており、最大の大口事犯としては、パキスタンを仕出地とする海上コンテナーに隠匿された約10.2トンもの大麻樹脂が摘発されている。
   (中近東地域)
2000年には約3.7トン(24件)の大麻草が摘発された。この数量のうち約3.2トンは、イスラエルにおいて摘発された、南アフリカを仕出しとするルーマニア向けのものである。
2000年の大麻樹脂の摘発数量は、前年の約3.3トンから大幅に減少し、164キロにとどまった。
   (アフリカ地域)
大麻は、アフリカ地域で最も乱用されている薬物であり、地域内の多くの国々で栽培されている。特にガーナ産の大麻草は、西側アフリカ諸国での需要が多い。
2000年のアフリカ地域における大麻草の摘発数量は、いくつかの国々からの報告がなかったこともあり、前年の66,807キロ(118件)から大幅に減少し、1,054キロ(35件)となった。
アフリカ地域は、依然として世界各地、特に欧州向け大麻の仕出地であり、南アフリカを仕出地とする大麻草が、欧州及び北米において多々摘発されている。
2000年の大麻樹脂の摘発は、摘発数量で前年比143%増の124トン、摘発件数で同60%増の194件となり、過去最多となった。
モロッコは、引き続き大麻樹脂の主要な供給国となっており、全世界の総摘発数量の83%に相当する約163トンが同国を仕出しとするものであった。また、モロッコで摘発された大麻樹脂の70%が2トン以上の大口事犯であった。
東アフリカ地域の海港は、大麻草及び大麻樹脂密輸の主要な密輸中継地となっている。
   (アジア・大洋州地域)
2000年における大麻草の摘発数量は、インドにおける摘発数量が大幅に減少したこともあり、前年比57%減の約7.1トンであった。インドでの摘発数量は前年比57%減となったが、依然として地域内最大の摘発数量を誇っている。またバングラデシュでも前年比56%増の約1.5トンの大麻草が摘発されており、地域内において大麻草の密輸取引が活発に行われていることを裏付けている。
2000年の香港における大麻草の摘発数量は、主にタイからの郵便物に隠匿された大麻草の摘発が相次いだため、前年の9キロから大幅に増加して224キロ(12件)になった。
INCBの報告によれば、カンボジア、インドネシア、ラオス、フィリピン、インド及びネパールにおいて大規模な大麻草の不法栽培が行われている。また、オーストラリアやニュージーランドにおいては、大麻草の室内水耕栽培の増加が問題となっている。
2000年の大麻樹脂の摘発数量は、アフガニスタンと並ぶ主要な生産地でありかつ仕出国であるパキスタンでの摘発数量が減少したため、前年比22%減となる約18.9トン(134件)となった。
インド、パキスタン、フィリピン、ネパール、タイ及び中国から、主に欧州向けに大麻樹脂が密輸出されている。