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認定手続開始(輸入者等意思確認)通知書(名宛人用)を受け取った方へ

 知的財産を侵害する物品は、法律により「輸入してはならない貨物」と定められています。


 税関検査で知的財産を侵害すると思料される物品を発見した場合に、その物品が知的財産を侵害する物品に該当するかどうか、税関が認定するための手続を「認定手続」といいます。


 今回あなたに送付した通知書は、この認定手続を開始することを通知するものです。


 認定手続が開始された貨物は外国へ返送することはできません。また、認定手続の結果、知的財産を侵害する物品に該当すると認定された物品は輸入してはならない貨物となり、税関により没収・廃棄されることがあります。



1.認定手続のイメージ


「開始通知書」

認定手続開始(輸入者等意思確認)通知書(名宛人用)(税関様式C第5813号)をいいます。以下同じ。

「期限通知書」

証拠・意見提出期限通知書(輸入者等用)(税関様式C第5820号)をいいます。以下同じ。


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(注)あなたが輸入してはならない貨物ではない(知的財産を侵害しない)ことを積極的に主張するかどうかで、認定手続の流れや税関の認定の基礎が変わります。

 あなたが争う旨の申出書や意見書・証拠を提出しなかった事実は、あなたにとって不利な事実として税関に考慮されますので、知的財産を侵害する物品に該当すると認定される可能性が高まります。



2.貨物が輸入してはならない貨物に該当しないことの申出(争う旨の申出)について


(1) 争う旨の申出をしない場合

 あなたは、何もしなくても構いません。

 税関は、権利者が提出した輸入差止申立書に基づいて、輸入してはならない貨物に該当するか否かを認定し、その結果を書面で通知します(下記4.参照。)。


(2) 争う旨の申出をする場合

 貨物が輸入してはならない貨物に該当しないことを申し出る場合(争う旨を申し出る場合)は、開始通知書を受け取った日から10日(土日・休日は除く。)以内に税関に到着するよう、争う旨の申出書(下記を参照。)を開始通知書の下部に記載の[連絡先]まで郵送してください(税関から送付した開始通知書は同封せず、お手元にお持ちください。)。

 なお、提出された争う旨の申出書は権利者に開示されます。


(注) 争う旨の申出書を提出した場合に限り、意見書・証拠を提出することができます。意見書・証拠を提出しないと知的財産を侵害する物品に該当すると認定される可能性が高まります(意見書・証拠の提出については下記3.参照)

 なお、意見書・証拠は争う旨の申出書と併せて提出することもできます。


【争う旨の申出書について】

 任意の書式に、次の事項を日本語で記載して税関へ郵送してください。

・作成日

・あなたの氏名及びふりがな、住所、電話番号

・開始通知書番号(開始通知書右上の番号 例:123A-12345)

・「輸入してはならない貨物に該当しないので争う」という趣旨の文言


 認定手続の結果、輸入してはならない貨物に該当しないと認定され受け取ることができるものは、例えば、以下のものです。


【輸入してはならない貨物に該当しないと認定され受け取ることができるもの】

@ 特許権、実用新案権、育成者権、回路配置利用権については、業として輸入されるものでないもの

A 意匠権、商標権については、業として輸入されるものでなく、かつ、外国にある者が業として外国から日本国内に他人をして持ち込ませたものでないもの

B 著作権、著作隣接権については、国内において頒布する目的をもって輸入されるものでないもの

(注)上記@及びAにおける「業として」又は上記Bにおける「頒布する目的」に当たるか否かの判断に当たっては、輸入の目的、輸入者等及び貨物の送り主の職業又は事業内容、輸入取引の内容、輸入貨物の数量及び状況、並びに過去の輸入実績及び認定手続開始実績等の諸事情を総合的に勘案します。したがって、輸入貨物の数量が1個であるか複数個であるかは「業として」又は「頒布する目的」に当たるか否かを直ちに決定するものではなく、発見された侵害疑義物品が1個の場合でも、これらの諸事情を輸入者等から聴取する必要があります。このため、侵害疑義物品の数量の多寡にかかわらず認定手続を執り、提出される証拠や意見等に基づき判断することとなります。

C 権利者から輸入の許諾を得て輸入されるもの

D 商標権等に係る並行輸入品

E その他、知的財産を侵害しないもの


(3) 期限通知書の送付

 税関は、上記(2)の争う旨の申出書を受け取った後、あなたが輸入してはならない貨物に該当しないことについて証拠を提出し、意見を述べることができる期限、輸入してはならない貨物に該当しないと主張する場合はそれを証する書類の提出を求めること、日本語以外で記載された書類は日本語に翻訳した書類も併せて提出することを記載した期限通知書を送付します。



3.意見書・証拠の提出について


 上記2.(3)の期限通知書記載の期限までに、輸入してはならない貨物に該当しない(知的財産を侵害しない)理由を記した意見書(下記を参照。)及びそれを明らかにする証拠(下記を参照。)を期限通知書の下部に記載の[連絡先]まで郵送してください(税関から送付した開始通知書や期限通知書は同封せず、お手元にお持ちください。)。

 争う旨の申出書に輸入してはならない貨物に該当しない理由を記した意見を併せて記載し、それを明らかにする証拠とともに提出した場合であっても期限通知書は届きますが、追加する意見・証拠がない場合は、既に提出したものと同じものを再度提出する必要はありません。

 なお、意見書・証拠を提出すれば貨物を必ず受け取れるというわけではありません。また、提出された意見書・証拠は、権利者に開示されます(権利者から提出された意見書・証拠は、あなたに開示されます。)。


【意見書について】

 任意の書式に、次の事項を日本語で記載して証拠とともに税関へ郵送してください。

・作成日

・あなたの氏名及びふりがな、住所、電話番号、職業

・開始通知書番号(開始通知書右上の番号 例:123A-12345)

・商品名、個数

・知的財産を侵害しない理由


【知的財産を侵害しない理由について】

 知的財産を侵害しない理由は、開始通知書の7.に記載の知的財産の内容に応じて、例えば、以下のようなものが考えられます。

 @ 「業として輸入するものでなく、外国にある者が業として日本に持ち込ませたものでないこと」を理由として主張する場合

 貨物を輸入する目的、あなたの職業及び輸入取引の内容(購入先、購入金額、支払方法等)、貨物の送り主の氏名又は名称、職業又は事業を具体的に記載してください。

 (対象:意匠権、商標権)

 A 「業として輸入するものでないこと」を理由として主張する場合

 貨物を輸入する目的、あなたの職業及び輸入取引の内容(購入先、購入金額、支払方法等)を具体的に記載してください。

 (対象:特許権、実用新案権、育成者権、回路配置利用権)

 B 「頒布目的の輸入でないこと」を理由として主張する場合

 貨物を輸入する目的、あなたの職業及び輸入取引の内容(購入先、購入金額、支払方法等)を具体的に記載してください。

 (対象:著作権、著作隣接権)

 C 「権利者から貨物を輸入することについて許諾を得たこと」を理由として主張する場合

 権利者から得た許諾について具体的に記載してください。

 (対象:全権利)

 D 「適法な並行輸入品であること」を理由として主張する場合

 適法な並行輸入となるための要件(下記を参照。)を充足することを具体的に記載してください。

 (対象:特許権、実用新案権、意匠権、商標権)

 E その他の理由で「知的財産を侵害しないものであること」を主張する場合

 知的財産を侵害しない理由を具体的に記載してください。

 (対象:全権利)


【知的財産を侵害しないことを明らかにする証拠について】

 知的財産を侵害しないと主張する理由に応じて、その裏付けとなる証拠を提出してください。侵害しないと主張しても、証拠が提出されない場合は、その主張の根拠が不足するため、知的財産を侵害する物品に該当すると認定される場合がありますのでご注意ください。

 知的財産を侵害しないことを明らかにする証拠は、主張する理由に応じて、例えば、以下のようなものが考えられます(いずれも写しで構いません。)。

 @ 「業として輸入するものでなく、外国にある者が業として日本に持ち込ませたものでないこと」を理由として主張する場合

 ア あなたと貨物の送り主との間でやり取りしたメール、手紙等

 イ あなた及び貨物の送り主の職業を示す資料

 ウ 輸入貨物の用途又は使用目的を示す資料

 エ あなた及び貨物の送り主の身分証明書

 A 「業として輸入するものでないこと」を理由として主張する場合

 ア あなたの職業を示す資料

 イ 輸入貨物の用途又は使用目的を示す資料

 ウ あなたの身分証明書

 B 「頒布目的の輸入でないこと」を理由として主張する場合

 ア あなたの職業を示す資料

 イ 輸入貨物の用途又は使用目的を示す資料

 ウ あなたの身分証明書

 C 「権利者から貨物を輸入することについて許諾を得たこと」を理由として主張する場合

 権利者の輸入同意書

 D 「適法な並行輸入品であること」を理由として主張する場合

 適法な並行輸入品であることを示す資料(下記を参照。)

 E その他の理由で「知的財産を侵害しないものであること」を主張する場合

 知的財産を侵害しないことを示す資料


【適法な並行輸入品について】

 @ 商標権に係る並行輸入品の取扱い

 商標権者以外の者が、日本における商標権の指定商品と同一の物品につき、その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為であっても、次のアからウまでの全てを満たすことをあなたが立証した場合には、当該物品は、適法な並行輸入品として扱われ受け取ることができます。

 ア 当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものである場合

 イ 当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視しうるような関係があることにより、当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示するものである場合

 ウ 我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該物品の品質管理を行いうる立場にあり、当該物品と我が国の商標権者が登録商標を付した物品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価される場合

 A 特許権に係る並行輸入品の取扱い

 ア 我が国の特許権者又はこれと同視し得る者(以下「特許権者等」という。)が国外において適法に拡布した特許製品が、特許権者等又は当該製品を輸入する権利を有する者以外の者によって輸入される場合において、次の(ア)及び(イ)のいずれにも該当しないことをあなたが立証した場合には、当該製品は、適法な並行輸入品として扱われ輸入することができます。

 (ア) 輸入者が譲受人であるときは、特許権者等と譲受人との間で当該製品について販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨の合意がされた場合

 (イ) 輸入者が譲受人から特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者であるときは、特許権者等と譲受人との間で当該製品について販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨の合意がされた場合であって、かつ、その旨が当該製品に明確に表示された場合

 イ 上記アにおいて、特許権者等と譲受人との間で当該製品について販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨の合意がされたことを確認するための資料とは、契約書又はこれに類する文書で、販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨の合意があることを確認できる資料をいう。

 ウ 上記アの(イ)中「その旨が当該製品に明確に表示された場合」とは、当該製品の取引時において、製品の本体又は包装に刻印、印刷、シ−ル、下げ札等により、通常の注意を払えば容易に了知できる形式で当該製品について販売先ないし使用地域から我が国が除外されている旨の表示がされている場合で、当該製品の取引時にはその旨の表示がされていたことが輸入時において確認できる場合をいう。

 B 実用新案権・意匠権に係る並行輸入品の取扱い

 上記Aの特許権に準じます。



4.認定結果の通知


 税関は、あなたから提出された意見書・証拠及び権利者から提出された意見書・証拠等を踏まえ、貨物が知的財産を侵害する物品に該当するか否かを認定し、その結果を書面で通知します。

 知的財産を侵害する物品に該当すると認定された場合は、貨物を受け取ることができません。知的財産を侵害する物品に該当しないと認定された場合には、貨物を受け取ることができます。



5.自発的処理について


 あなたは、税関が貨物を没収するまでは、以下の「自発的処理」をすることができます。


(1) 任意放棄

 任意放棄書(税関様式C第5380号)に必要事項を記入の上、開始通知書又は期限通知書に記載の[連絡先]へ郵送することにより、貨物の所有権を放棄することができます。

ア 認定手続中に任意放棄をした場合は、認定手続が取りやめになります。

イ 任意放棄した貨物以外の貨物は受け取ることができます。


任意放棄書(税関様式C第5380号)


(2) 知的財産を侵害するおそれのある部分又は侵害する部分の切除等による修正

 あなた自身が、開始通知書又は期限通知書に記載の[連絡先]の税関に赴き、侵害のおそれのある部分又は侵害する部分の切除等の修正(簡単に元に戻せる修正は不可)を行うことができます。

 修正後の貨物が知的財産を侵害する物品に該当しないと認められれば、受け取ることができます。ただし、切除した部分(標章等)を受け取ることは認められません。


(3) 権利者からの輸入許諾

 あなたが、権利者から輸入許諾を取り付け、輸入同意書を開始通知書又は期限通知書に記載の[連絡先]の税関に提出した場合は、貨物を受け取ることができます。



この手続についてご不明な点は、税関が送付した通知書に記載の[連絡先]にお問合せください。

 

(参考)

専門委員制度