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WCO(世界税関機構)からの依頼分析

貿易取引される物品が、取引をする国どうしで同じように分類されないと、関税分類上の問題が起こります。2国間で分類の意見に相違が生じた場合は、《WCO(世界税関機構)》が、当事国以外の信頼できる分析機関に依頼します。WCOが依頼する機関は世界に数ヵ所だけですが、そのうちの一つが日本の「関税中央分析所」です。WCOの依頼を受けると、私たちは、問題になっている物品をきわめて高精度に分析します。そして、客観的に、公平に物品の組成を特定し、WCOに結果を報告します。

説明図:WCOからの依頼分析の流れ
▲依頼分析の流れ

WCO(世界税関機構)とは?

貿易は、世界各国の経済を担う重要なものですが、各国の関税制度がまちまちで複雑だと国際貿易の障害になります。そこで1952年、各国の関税制度の調和・統一、およびそのための技術協力を推進することにより国際貿易の発展に貢献することを目的に設立された国際機関が『WCO(世界税関機構)』です。
(正式名称:関税協力理事会)
ベルギーのブラッセルに本部を置き、世界182ヵ国・地域が加盟しています。(2017年7月現在)

国際統一商品分類(HS)とは?

WCOは、貿易商品の分類項目を国際統一するため、1988年に『商品の名称および分類についての統一システムに関する国際条約(HS条約)』を発効しました。
HSは、国際貿易の対象となるすべての商品を網羅するように構成されています。現在では、世界中の貿易量の98%以上がHS分類を使用しています。わが国は、HS条約の発効とともに関税率表をHSに合致させ、1988年1月1日から使用しています。


-こんな分析を依頼されました。-

フルーツパルプジュース

ジュースといっても、しぼっただけの「さらさら」のオレンジジュース、グレープフルーツジュースやアップルジュース、「ちょっとこってり」のトマトジュース、「細かい繊維(パルプ分)たっぷり」のバナナ、マンゴー、グァバジュースとさまざまなジュースがあります。これらのジュース類について、果肉分やパルプ分の量を測ることによって、ジュースなのかパルプなのかを判定します。

酸化鉄

酸化鉄といっても、ふだんみなさんが目にする「鉄さび」のことではありません。じつは、赤茶色の顔料の材料として使われていることも多く、このような場合はりっぱな「商品」として扱うことになります。そこで、酸化鉄の純度などを測定することにより、酸化鉄という無機化合物なのか、調製された顔料なのかを判定します。

ドライフルーツ

フルーツを乾燥させたお菓子は、単に乾燥させたもの、砂糖水漬けの後に乾燥させたもの、砂糖水で煮込んで乾燥させたものなど、姿・形は同じに見えても作り方によって税率は異なります。そこで、ドライフルーツの成分をくわしく分析し、砂糖が加えられているか、もともとフルーツに入っている砂糖分だけなのかを判定します。



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